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中銀のジレンマ
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52567986.html
2014年04月05日 在野のアナリスト
トルコのエルドアン首相が、中銀に利下げを要求しました。通貨リラ防衛のため、1月末に上げた分を戻す、ということですが、中銀の独立性を危うくする行為といえます。しかし翻ってみれば、世界各国で中銀の独立性に首をかしげる問題が、そこかしかに現れてきています。
ECBのドラギ総裁は追加緩和に言及、具体策は提示しなかったものの、若干のユーロ安へとふれています。FRBのイエレン総裁は6ヶ月発言で、タカ派の印象を強めたものの、すぐにハト派へと修正するなど、市場との対話に苦労しています。欧州ではディスインフレの懸念があり、米国では労働の質に懸念を生じている。これまで直面していない、中銀の機能拡大という問題が出てきたのです。
中銀には物価安定の役割があるので、ディスインフレへの対応は当然に見えますが、ユーロの特殊性がそれを難しくしています。国債市場は各国個別で、金利も、格付けもばらばら。仮に資金供給をはかるため、国債購入をしようとしても、手が出せません。金融機関に強制的に資金を押し付けたLTROにしても、資本不足を補うことが目的であって、決してインフレ目的ではなかった。むしろそれがマネーストックに回るようなら、極めて問題があったと云えるのでしょう。
イエレン議長が、労働者の個別の実態にまで言及したものの、それが犯罪歴のある人物だったことで、波紋を広げています。しかし中銀が、労働省の機能まで肩代わりするなら別ですが、犯罪歴のある人が就職困難なことを金融政策で賄うことはできません。深刻な労働力不足の状態にあるなら別ですが、そこまで金融政策を拡大すれば、必ずどこかにバブルを生じているはずです。
できないことまで言及し始めた中銀、その問題は日銀にも生じています。追加の金融緩和への期待、です。すでに国債市場の7割を占めるメインプレイヤーであり、それこそ浜田内閣官房参与のように、国債市場から金融機関を追いだす以外、資金供給策はありません。ETFなどの金融商品の購入を増やせば、それは市場対策に資金を放出していることになり、中銀の機能とも反します。今の市場が凡そそうであるように、中銀依存症が強まれば、市場崩壊をより早めるでしょう。
米国の雇用統計が、市場予想にやや物足りないだけで、米株市場は大きな下落に見舞われました。ここまで市場予想よりやや悪い数字でも、すべて好感して上げてきただけに、違和感のある動きですが、逆に市場予想が機能し難くなってきたことを、今回の動きは表しています。つまり予想と、期待という2つの数字があり、期待には願望的な中銀への想いが映されている。今、市場がどちらをみて動いているかといえば、予想よりも期待の方に強く反応して動いています。
中銀がその期待に応えなければ、失望という形で市場に現れる。しかし本来、期待はあくまで夢物語であって、現実とはかけ離れたものであり、数字から導かれる予想でもありません。世界各国の中銀が抱えるジレンマとは、これまで対応してこなかった現象への、道の対策ばかりでなく、高すぎる期待への向き合い方、でもあるのでしょう。15000円台を回復した日本市場ですが、期待ばかりが膨らみ、この水準になっているのであって、夢から醒めたときの反動に震えているところでもあるのでしょうね
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