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人手不足なのに行う失業対策
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ogasawaraseiji/20140405-00034262/
2014年4月5日 11時27分 小笠原 誠治 | 経済コラムニスト
突然ですが、失業対策事業というのをご存知でしょうか?
地方公共団体などが、仕事のない人々のために敢て仕事を作ってあげ、そのような人々の生活を支援する事業を言うのです。例えば、公園の草むしりをさせたり‥しかし、失業対策事業という言葉が相応しいかどうかは別として、景気対策のために実施する公共事業も、広い意味では失業対策であるのです。
ところで、ここにきて外国人労働者の受け入れをさらに拡充しようとする動きが出ています。
よっぽど人手不足が深刻になってきているのでしょう。
もし、貴方が企業の経営者だったとして、必要な労働者の確保が難しい場合に、どんなことを考えるでしょうか?
先ずは賃金を上げてみる。しかし、賃金を上げるといっても限度があるし‥そうなれば、外国人でもいいから働いてもらえないかと考える。
確かに、企業経営者にとってみれば、日本人の労働者を雇おうと、或いは外国人の労働者を雇おうと、一生懸命に働いてくれるのであれば、どちらでもいいかもしれません。
では、政治家たちが外国人労働者の受け入れ枠を増やそうとしていることに関して、貴方はどう思いますか?
これも、例えば特定の職種で、どうしても必要な人材が確保できないというのであれば、外国人労働者を受け入れることが例外的に認められるかもしれません。しかし、外国人労働者の受け入れが当たり前のようになってしまえば‥それは本末転倒だとしか言いようがありません。
何故でしょうか?
それは、日本の政府は、専ら日本人の福利、厚生の向上に尽くすべきものであるからです。それなのに、外国人の雇用の機会を増やせば、その分、日本人労働者に悪影響を与えることが必至であるからです。
誤解のないように再び言います。どのような職種においても決して外国人の労働者に頼ってはいけないというのではありません。例えば外国語を教える先生を雇うような場合は、外国人を採用した方が合理的であり、また、そうして外国人を雇ったからといっても、日本人の雇用に格別の影響を与えるとは考えられません。
では、公共事業を実施するために必要とされる土木作業員などについてはどうでしょうか?
このような分野では、明らかに日本人の労働者と外国人の労働者が競合関係に立つのです。従って、外国人労働者は低賃金で採用できるからということで、外国人労働者の受け入れ枠を拡大していくと、日本人労働者たちが大変迷惑を被ることになるのです。
では、土木作業員等に関しては、絶対に外国人労働者を受け入れてはいけないのか?
しかし、国内において必要な人材の確保が大変に困難であり、しかも期限が決まっている場合には、例外的、そして一時的に外国人労働者を雇うことも是認されるでしょう。というのも、そのような場合には、日本人の労働者たちだけでは労働需要に対応することができないからなのです。そのような場合には、外国人労働者を受け入れても、特段日本人の労働者に深刻な影響を与える恐れがないのです。
では、ここで貴方に質問したいと思います。
今、日本では建設現場などで深刻な人材不足が発生していると報じられていますが、だとしたら政府がやろうとしている外国人労働者の受け入れ枠の拡大は認めてしかるべきなのか?
さあ、如何でしょうか?
私は、政府のやっていることは論理が一貫していないと思うのです。
確かに一部業種では人手不足が深刻になっています。しかし、だからと言って、労働者の賃金は、まだ期待どおりには上がっていないからなのです。
そうでしょう? 確かに今年は何年振りかで賃上げが実施された企業も多い。しかし、賃上げ幅は1%とか2%程度のものなのです。決して今回の消費税率の引き上げ分をカバーできるものではないのです。つまり、もっと賃金が上がらなければ労働者の生活水準の向上はあり得ないのです。
では、今後さらに賃金が上がることが期待できるのか?
問題はそこにあるのです。
繰り返しになりますが、一部業種では深刻な人手不足が発生しています。従って、仮にそのような状況がさらに全産業に波及して行けば、さらに賃金が上がることが期待できないでもない、と。
しかし、そうした動きに冷や水をかけるかの如く、政府は、外国人労働者の受け入れ拡大を決定したのです。あれほど賃上げに協力しろと企業に迫っていたのに‥そして、今がさらなる賃上げのチャンスであるのに‥政府は賃金が上がらないように行動しているのです。
だって、そうでしょう? こうして人手不足が深刻になればなるほど賃金は上がる筈ですから。
では、何故人手不足が深刻になっているのか?
それは、政府が、消費税の増税によって景気の落ち込みが懸念されるために、その影響を少しでも和らげようとして公共事業の実施を急がせているからです。
では、何故政府は、景気対策として公共事業を行うのか?
それは、公共事業を行うことによって、失業している労働者たちを救うことができるからなのです。
翻って、今の日本の雇用状況はどうなのか? 今でも景気対策のための公共事業を拡大すべき時期にあるのか?
政府は、消費税増税の影響があるから景気対策が必要だと考えているようなのですが‥しかし、土木や建設業界では、反対に深刻な人手不足が発生していて、公共事業を急ぐような時期にはないのです。
そうでしょう?
にも拘らず、公共事業にさらに力を注ぐ、と。しかし、その一方で人材不足が発生しているから、外国人労働者の力を借りる、と。
だとすれば、完全に外国人労働者を救うための公共事業でしかなくなっているということなのです。
安倍政権のやっている経済政策は、支離滅裂になっているとしか言いようがありません。
以上
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