http://www.asyura2.com/14/hasan86/msg/720.html
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消費税(付加価値税)に対する理解の違いを如実に示す実に面白い記事である。
中国メディアは「消費税増税政策の後、日本の一部の店では「便乗値上げ」する状況が見られる」と書いているが、多くの日本国民は、そのように非難がましく指摘する意味がわからないかもしれない。
この記事は、日本のように、消費税(付加価値税)増税を理由に販売価格が引き上げられる状況はおかしいという理解に基づいて書かれていると推測できる。
しかし、日本国民の多くは、おそらく、この記事に書かれている「便乗値上げ」や「巧妙な値上げ」といった説明に首をかしげてしまうだろう。
日本国民の多くは、消費税がモノやサービスを買うことで発生するものだと考えているフシがある。
消費税(付加価値税)に対する理解の問題だが、日本では、企業が稼いだ付加価値に課される消費税は、売価に関する規制もなければ、売価だけで税額が決まるわけでもないという理解がほとんどされていない。
消費税制度では、同じ仕入価格の商品をより高く売れば税率は同じでも高い消費税額が発生し、より高く売ったとしても、仕入価格がそれ以上に高くなっていれば、発生する消費税額は少なくなる。
統制経済ではない日本において、経済主体が販売価格をいくらにするかということは自由(自己判断)であり、そうして決めた価格で売れなくなり廃業するハメになったとしても自己責任である。
統制経済的色合いを濃く残している中国の記者のほうが、付加価値税(消費税)や自由主義的価格理論に対する理解が深いのかもしれない。
中国人記者にとっては、消費税の税率が上がったことを理由に、販売価格を高くするという論理は受け入れられないし受け入れる必要もないことなのであろう。
消費税は、事業者に課された税であり、消費者とは無関係の税である。消費税が消費者と関係あるという話は、法人税や所得税が消費者と関係あるという論理と同程度の正しさである。
消費税の増税が多数派国民の生活を脅かすというのなら、法人税や所得税の増税も、多数派国民の生活を脅かすものと言えてしまう。
(誤解を避けるため一言:公共料金など統制対象の品目は消費税増税を機に価格が強制的に引き上げられ、自動車など寡占的な品目も消費税増税を理由にした価格引き上げが行われることを承知のうえでの説明である。自動車製造業(販社も含む)は1円も消費税を納付していない(それどころか膨大な額の“還付金”(不正な利益)を得ている)から、これについては「便乗値上げ」と言うことができる)
ざっくりだが結論的に言えば、消費税が増税されたからモノの価格が上がるというのは、錯誤ないし政府の宣伝に乗せられただけの話なのである。
事業者が消費税増税への抵抗感をあまり感じないよう、政府が必死になって、事業者の増税分を最終消費者に転嫁できるよう“洗脳”に励んでいるのである。
最後に、日本国民の多くが持っている消費税制度に対する理解をもとに記事を読んでも、「消費税増税政策の後、日本の一部の店では「便乗値上げ」する状況が見られる」とか、「値上げ後の値段を明記するならまだしも、一部商品では表面上は価格に変化はなくとも、実際の支払い時に増税分を大きく上回っているものもある。これは元の価格表示の「税込み」から「税抜き」に変えるという「巧妙」な手段だ」といった指摘はなかなか理解できないはずだ。
記事が「便乗値上げ」や「巧妙な値上げ」として例示しているのは次のようなものである。
1)値上げ後の値段を明記するならまだしも、一部商品では表面上は価格に変化はなくとも、実際の支払い時に増税分を大きく上回っているものもある。これは元の価格表示の「税込み」から「税抜き」に変えるという「巧妙」な手段だ。
【コメント】
「表面上は価格に変化はなくとも、実際の支払い時に増税分を大きく上回っている」という例がどのようなことを指しているのかわかりにくい。
仮に、消費税増税前の税込価格105円を本体100円と税5円に分離し、消費税増税後に本体100円と税8円として販売したのなら、“実際の支払い時に増税分を大きく上回っている”ことはないと日本国民の多くは思うだろう。
消費税増税で増える負担以上に価格に転嫁しているケースはあると思うが、「表面上は価格に変化はなくとも」という表現では日本国民の多くには通じない。
2)税込価格に慣れた日本の消費者にとって、表示された価格が変わらず、「税込み」が「税抜き」になっただけだと誤解されやすい。もし商品に「消費税が8%に増加したため、従来税込みで1050円だったものが1080円になります」と書かれていた場合、消費者も受け入れざるを得ないことになるだろう。
【コメント】
これも、日本国民の多くは、何が問題なのとキョトンとするかもしれない。
書かれていることが、消費税増税で当然のように起こると考え、それを受け入れなければならないと思っているからである。
※ 関連投稿
「米国支配層が輸出企業向け“リベート”税制と知りながら付加価値税(消費税)を放置するワケ」
http://www.asyura2.com/14/hasan86/msg/682.html
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「税込み」を「税抜き」に 日本の店が消費増税を利用して巧妙な値上げ
2014年04月04日11:14
4月1日からの消費税増税政策の後、日本の一部の店では「便乗値上げ」する状況が見られる。値上げ後の値段を明記するならまだしも、一部商品では表面上は価格に変化はなくとも、実際の支払い時に増税分を大きく上回っているものもある。これは元の価格表示の「税込み」から「税抜き」に変えるという「巧妙」な手段だ。
税込価格に慣れた日本の消費者にとって、表示された価格が変わらず、「税込み」が「税抜き」になっただけだと誤解されやすい。もし商品に「消費税が8%に増加したため、従来税込みで1050円だったものが1080円になります」と書かれていた場合、消費者も受け入れざるを得ないことになるだろう。人民網が伝えた。(編集YH)
「人民網日本語版」2014年4月4日
http://j.people.com.cn/94638/94659/8589169.html
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