03. 2014年4月05日 00:17:29
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アメリカのバラク・オバマ大統領は、 ヨーロッパをロシア産ガスへの依存から解放するため、 アメリカ産ガスの輸出を許可する用意があると発表した。 これについて専門家らは、 力強い後押しではあるものの、実現が難しいとの意見で一致している。 少なくとも今後数十年は、ヨーロッパでガスプロムと入れ替わることは不可能だという。[アメリカ産ガスの脅威のほどは] 2014年4月1日 オリガ・サモファロワ / ロシアNOW http://jp.rbth.com/business/2014/04/01/47741.html 【まずはターミナルの建設から】 海外にガスを輸出するためには、ガス輸出の自由化以外に、 液化天然ガス(LNG)ターミナルの建設が必要になる。 アメリカのエネルギー省は2011年から、 輸出用LNGターミナルの建設申請を6件しか承認しておらず、 ようやく7件目が許可されたばかりだ。 この中にはルイジアナ州のシェニエール・エナジー・パートナーズ社のターミナルと、 テキサス州のフリーポート・ターミナルがある。 25件ほどは未承認のままだ。 承認済みのターミナルでも、建設はこれからである。 最初の輸出用LNGターミナルの建設が終わるのが2015年末。 つまりアメリカ産ガスの輸出は、2016年より前には開始不可ということになる。 承認済みプロジェクトの建設は2020年まで続き、 これ以降のものについては未承認である。 承認済みLNGターミナルの総生産量は1180億立法メートル。 アメリカがこれを全量ヨーロッパに輸出しても、 ヨーロッパはロシア産ガスの輸入を止められるわけではない。 ロシアは昨年、 ヨーロッパ(トルコは除く)に約1350億立法メートルを輸出した と、ヴァフラメエフ氏は話す。 「瞬時にこれほどの量を拒むことは不可能」 アメリカ産ガスがヨーロッパ市場に入る時期の遅さにかかわらずだ。 また、アメリカ国内の充足が定かではないため、全量を輸出にまわせるとも限らない。 「2012年までアメリカはガス不足に陥っていた。 2013年にようやく余剰がでたが、ほんのわずかな量で、 ヨーロッパ市場にどれだけ供給可能かは今のところ不明」 とロシアのエネルギー調査会社[インフォTEKターミナル]社の最高責任者で、 ロシア石油産業家同盟の専門家であるルスタム・タンカエフ氏は話す。 【貿易業者の賛同を得られるか】 もうひとつの問題としてあげられるのが、 アメリカ産ガスが 当初、ヨーロッパ市場ではなく、 より経済的に利益の大きいアジア市場向けとして計画されていたことである。 ヴァフラメエフ氏はこう話す。 「貿易業者は どこにでもガスを輸出できるが、 アジア市場のガス価格ははるかに高い。 市場で より実利的な貿易業者に、 (ヨーロッパなどへ)安い価格で販売させることが可能なんだろうか」 アジアのガス価格は100万BTUあたり15ドル、ヨーロッパは12ドルだという。 3ドルの差とは、1000立法メートルあたり100ドルほどの差である。 「最初にアメリカ産ガスがアジアに輸出され、 (供給増により)そこで価格の下落が起こった時、 ようやくヨーロッパへの輸出が始まる可能性がある」 とヴァフラメエフ氏。 つまりヨーロッパでアメリカ産ガスがロシア産ガスに(部分的に)代わるには、 多くの年数を必要とするということである。 【ヨーロッパの受け入れ態勢】 アメリカがLNGをヨーロッパに供給するために、 何らかの方法で前述の難題すべてを解決できたとしても、 今度はヨーロッパのインフラ未整備という新たな問題に直面する。 特にロシア産ガスにより依存している東ヨーロッパでは、この問題が顕著である。 例えば、リトアニアの依存度は100%。 ヴァフラメエフ氏はこう説明する。 「アメリカが、すでにLNGターミナルのあるスペイン、イギリス、フランスなどの 西ヨーロッパにガスを供給することができたとしても、 インフラ制限のある東ヨーロッパにはできない。 あの地域にはアメリカ産LNGを受け入れるターミナルがないし、 西ヨーロッパからガスパイプラインでアメリカ産ガスを転送することも不可能。 ガスは東から西という流れになっている」 さらにヨーロッパ諸国は、ガスプロムと20年の長期ガス供給契約を結んでいる。 「あの契約をどうするつもりだろう。破棄?」 とヴァフラメエフ氏は首を傾げる。 ヨーロッパの依存度は徐々に低くなる可能性もあるが、 そのスピードはかなり遅いと補足した。
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