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追加緩和のヒントも 黒田日銀総裁、表と裏の三大重要語録
http://www.asyura2.com/14/hasan86/msg/708.html
投稿者 あっしら 日時 2014 年 4 月 04 日 03:08:28: Mo7ApAlflbQ6s
 


 政治関連の記事と違い経済関連の記事は“安倍政権の提灯持ち記事”かどうかわかりにくいが、日経新聞編集委員清水功哉氏の「日銀が量的・質的金融緩和(通称、異次元緩和)の導入を決めてから4日で1年になる。毎月の新規発行額の7割に相当する長期国債を買うなど思い切った資金供給により円安・株高が進行。人々の心理好転を受けて物価にも上げ圧力が加わってきた」という評価は、知っていながらのゴマカシだとは思うが、ひどく間違った説明である。


 添付したデータをご覧いただくとわかるように、円ドルレートは、昨年4月4日の異次元緩和政策の発表前までに既に、12年8月末の1ドル=78.60円から13年3月末の1ドル=94.05円へと20%ほど(19.6%)円安が進行している。
 同じように、円ユーロレートも、2年8月末の1ユーロ=97.34円から13年3月末の1ユーロ=120.73円と24.0%もユーロ高(円安)が進行している。

 ユーロ高のほうがより進行していることからも、円ドルレートは、円ユーロレートの変動に影響されるかたちで円安に向かったと考えるのが素直である。
 円高の修正が始まったきっかけは、欧州中央銀行(ECB)がデフォルト不安の対象となっていた南欧諸国の国債も含めて無制限に買い入れると表明したことなのである。

 12月末総選挙が明らかになった12年11月下旬以降は、安倍首班の自民党政権が誕生するとの見方が一般的になり、大々的な金融緩和策が実施されるという予測も広まったが、実際に金融緩和が行われたわけではないのであくまでも“期待”や“予測”であり、心理的に円売り(円安化)を支えるものでしかなかった。

 株価も、「円安→輸出企業業績アップ」という見方から円安に連れ上昇したものであり、4月4日の異次元緩和政策が発表される前に、12年8月末の8,840円から13年3月末の12,398円へと40.2%も上昇している。

 異次元金融緩和政策発表効果という観点でみれば、13年3月末12,398円から今年3月末の14,828円まで、上昇率は19.6%である(同期間に円ドルレートは9.4%円安に動いている)。

 異次元の金融緩和策が円安をもたらしたと主張するひともいるが、せいぜい、円安を心理的に支えたと言えるだけで、金融緩和策が円安をもたらしたとは言えないのである。

 株価の上昇やインフレ率の上昇も、公共投資増大の影響もそれなりにあるが、基本は円安効果(負を含めて)なのだから、日銀の異次元緩和政策が直接に奏功したものとは言えない。

 円安傾向が終わったことから、さらなる円安を求めて日銀に追加緩和を求める声も増加しているが、12年秋以降の為替変動を顧みれば、追加緩和で円安が進むとは言えないのである。

 逆に、異次元金融緩和政策が経済政策としてはほとんど意味がないことが露呈されたり、不足気味の国債がさらに品薄になることで金融活動を歪めたりする“リスク”のほうが大きいと言わざるを得ない。


[月末時点における円ドル・円ユーロのレート(TTM)及び日経平均株価推移]

(12年) ドル      ユーロ 日経平均株価
5月  78.92   97.62  8543
6月  79.31   98.74  9007
7月  78.17   95.87  8695
8月  78.60   98.34  8840
9月  77.66  100.24  8870※9月6日:ECB国債無制限買い入れ政策発表
10月 79.66  103.29  8928
11月 82.12  106.55  9446
12月 86.58  114.71 10395
(13年)
 1月 91.14  123.69 11139
 2月 92.51  121.65 11559
 3月 94.05  120.73 12398
 4月 97.92  128.18 13861※4月4日:日銀新金融緩和政策発表
 5月 101.18 131.96 13775
 6月  98.59 128.53 13677
 7月  98.08 130.05 13668
 8月  98.36 130.24 13389
 9月  97.75 131.87 14456
10月  98.51 135.27 14328
11月 102.42 139.46 15662
12月 105.39 145.05 16291
(14年)
 1月 102.86 139.44 14914
 2月 101.94 139.75 14841
 3月 102.92 141.65 14828

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追加緩和のヒントも 黒田日銀総裁、表と裏の三大重要語録
編集委員 清水功哉
2014/4/3 6:00

 日銀が量的・質的金融緩和(通称、異次元緩和)の導入を決めてから4日で1年になる。毎月の新規発行額の7割に相当する長期国債を買うなど思い切った資金供給により円安・株高が進行。人々の心理好転を受けて物価にも上げ圧力が加わってきた。今後、2%の物価上昇率目標が「期限」の残り約1年間で本当に達成されるのかが、追加緩和の行方とあわせて注目されている。そうした日銀の「今後」を読むうえで重要なのが、黒田東彦総裁の数々の発言だ。オモテ(公式の場)だけでなく、筆者の取材メモにあるウラ(非公式の場)の発言も含め、重要なものをそれぞれ3つずつ選んだ(重要度に応じて順位を付けてある)。多忙な日経電子版読者向けの「クロダ・イズム」のエッセンスといえる。

【オモテの発言】

▼第1位:2013年4月4日の記者会見

 まずオモテの発言。何と言っても重要なのは、「これまでとは全く次元の違う金融緩和」だという異次元緩和を決めた昨年4月4日の金融政策決定会合後の記者会見である。

「2%の『物価安定の目標』について、2年程度を念頭に置いて実現する。そのために必要な措置は、ここに全て入っていると確信しています」

 この発言は、そう簡単に追加緩和はしないという表明だった。実際、それ以降、いくつかの局面で追加緩和観測が広がってきたが、動かなかった。この姿勢は今後も維持するだろう。
 一方でその後繰り返し口にする次のセリフもすでにこのとき述べている。

「経済も金融も生き物ですので、その時々の状況をみて、必要があれば躊躇(ちゅうちょ)なく調整していきます」

 市場混乱時などには、「必要な措置はとった」という認識に教条的にとらわれないという宣言である。

 さらに次のような発言も、動くべきときは思い切って動くという黒田日銀のスタンスを示したものだ。

「現時点でそのような(資産バブルが膨れ上がるような)重大な副作用が直ちに表れる可能性は、極めて低いと思います」「リスクが増えるから必要な金融緩和はしないということではなく、リスクを念頭に置きつつ必要な金融緩和は行うということであるべきだと思っています」「株価指数連動型上場投資信託(ETF)は、市場規模を踏まえると、まだ買い入れる余地がいくらでもあると思います」


▼第2位:13年9月20日の講演

 13年4月4日の記者会見には異次元緩和に関する重要な考え方が数多く含まれていたが、十分に触れなかった点もあった。緩和策について「(目標とする物価上昇率)2%を安定的に持続するために必要な時点まで継続する」と約束したことの具体的な意味である。そこに踏み込んだのが、総裁就任半年となる13年9月20日の講演だった。こんな発言をした。

「(2%を安定的に持続する)ためには、現実の物価上昇率だけでなく、中長期的な予想インフレ率も2%程度になることが必要です。実際の物価上昇率が平均的に2%程度で変動し、『物価がだいたい2%くらい上がる』ことを前提に企業や家計が行動するようになれば、中長期的にも物価の安定につながると考えられます」「(それは)需給ギャップがゼロの状態にある時に、2%の物価上昇率が実現されることを意味します。『2%を安定的に持続する』」とは、こうした意味です。日本銀行は、これを実現するのに必要な時点まで量的・質的金融緩和を続けます」

 日銀は現在はマイナスの領域にある需給ギャップを2年程度でプラスの領域に引き上げて2%の物価上昇率を実現する。ただそれでは満足しない。その後需給ギャップがゼロ近辺に戻っても物価2%が維持されるようでなければいけないと黒田氏は言っているのだ。とすれば、緩和政策が2年で終わる可能性は小さく、長期化しそうだ。

▼第3位:13年7月29日の講演

 異次元緩和はアベノミクス(安倍晋三政権の経済政策)全体のなかでどんな位置づけになっているのか。その点を整理したのが13年7月29日の講演だ。

量的・質的金融緩和は、政府による様々な取り組みと相まってこそ、最大限の効果を発揮する、としたうえで2つの点に触れた。

「第1は成長戦略です」「金融緩和の度合いは、企業などにおける資産収益率と資金調達コストの差によって決まります。すなわち、成長戦略によって企業の収益率の見通しが高まれば、金融緩和の効果は一段と強まっていくことになります」

 異次元緩和は主に企業の資金調達コスト引き下げに貢献する。一方、規制緩和など成長戦略は企業の収益率見通しを上げるので、両方があわされば設備投資が刺激される。すなわち緩和効果が強まるのだ。これは、アベノミクス第1の矢である金融緩和と第3の矢である成長戦略との関係の整理である。政府が6月にまとめる予定の新たな成長戦略の内容は、黒田氏の判断に影響を及ぼしそうだ。
 では、第2の矢、財政政策についてはどうか。総裁はこう述べた。

「第2は、財政の信認確保です。(日銀が長期金利上昇圧力の抑制のために手掛けている)国債買い入れなどが、万が一財政ファイナンス(財政赤字の穴埋め)であると受け取られた場合、リスクプレミアムの拡大から長期金利が上昇し、量的・質的金融緩和の効果が失われる可能性があります」

 緩和効果を維持するためにも、財政の信認確保が重要だと強調したことになる。第2の矢である「機動的な財政政策」が、安易な公共事業拡大などにつながるリスクに警鐘を鳴らしたともいえる。
 こうした財政政策に関する考え方を踏まえれば、黒田総裁が後に14年4月の消費税率引き上げを予定通り実施した方がいいと語ったり、法人減税について慎重姿勢を示したりした理由がわかってくる。


【ウラの発言】

 以上は公式の場での発言だが、ここから先は非公式の場での発言を紹介する。筆者がその場にいたわけではないので、正確な引用にはなっていないかもしれないが、趣旨としては間違っていないはずだ。

▼第1位:「私は欧州中央銀行(ECB)が今回動くような気がしますが……」

 13年11月7日に、ECBが抜き打ち的な利下げに踏み切る少し前に、日銀内で語っていたとされる言葉だ。サプライズ的な政策変更を「予告」したことは、黒田氏自身がそうした発想で動く可能性があることを示唆する。実際、14年2月には、銀行貸出支援制度の延長・拡充をサプライズ的に決定、日経平均株価が1日で450円も上がった。「期待」を重視する今の政策では、「驚き」が一定の役割を果たすのだ。


▼第2位:「米国の量的緩和縮小開始は12月ごろでしょう」

 13年7月上旬、ある会合で口にしたとされるセリフだ。5月下旬にバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長(当時)が量的緩和縮小を示唆。早期の縮小開始を織り込む形でマーケットが混乱した。このため、その後市場で日銀の追加緩和観測が出たが、総裁があわてて行動を起こすことはなかった。背景には、米量的緩和縮小がすぐには始まらないという読みがあったのかもしれない。実際、縮小開始決定は12月だった(開始は14年1月)。

 以上の2つは、欧米の金融政策の動きについて、かなり的確な予想をしていたことを示していて、興味深い。財務官OBで各国当局者に人脈を持つ黒田氏は、就任以来1年ですでに14回の海外出張を重ねる。月に1回以上のペース。それらを背景にした情勢分析が、日銀の政策運営に少なからぬ影響を与えているようだ。


▼第3位:「本当に頑固ですね」

 13年10月、述べたとされる発言だ。「頑固」とされたのは、2%に向けた物価上昇率拡大の可能性をなかなか信じない市場参加者やエコノミストたち。日銀は2年程度で2%の物価上昇率を実現する決意を示してきたが、総裁が本心からそう思っているのか、あるいは人々のインフレ期待を強めるためのポジショントークなのかは謎とされるが、後者だと決めてかからない方がいいかもしれない。

http://www.nikkei.com/markets/kawase/kawase-focus.aspx?g=DGXNMSFK0202X_02042014000000


 

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コメント
 
01. 2014年4月04日 08:15:17 : Rtgeg4jVwg
コラム:消費増税で救われるドル円と新興国通貨=高島修氏
2014年 04月 3日 19:57 JST
高島修 シティグループ証券 チーフFXストラテジスト(2014年4月3日)

今年、消費増税は「ユーロの十字架」と並んで世界市場を安定化させることに貢献することになろう。

現在の世界経済の構図を俯瞰してみて、最も重要な潮流変化は北米で始まっているエネルギー革命だ。すでに地政学的な影響は顕著であり、昨年はイランにおける穏健派政権の発足、今年はロシア・ウクライナ問題として顕在化している。

つまり、エネルギーの国内調達力に自信を深めた米国が2011年頃から金融経済面での制裁を強化したことが、イランの政治潮流を変え、昨年8月にロウハ二政権を誕生させ、核開発協議の進展につながった。

主要輸出先のユーロ圏の景気減速に加えて、原油価格が下落基調をたどった結果、外需環境と国際収支が悪化したロシア経済は減速色を強め、その余波で苦境に直面したウクライナは社会的混乱に陥ったのだ。

<新興国を窮地に陥れる米経済の復活>

経済面でもエネルギー革命は景気回復を背景とした米連邦準備理事会(FRB)の引き締め転換を促し、新興国や株式市場などのリスク資産市場を不安定化させるという影響を持つ。米国がニューエコノミーに沸いた1990年代後半には、世界経済は大きく前進したものの、94年の米金融引き締めをきっかけに、メキシコ、アジア、ロシア、ブラジルで危機が連発。最後はアルゼンチンのデフォルトに至った。

このことに象徴的なように、景気回復と金利上昇に伴って、世界最大の経済大国・米国に資金が集まりやすくなると、通貨制度や金融市場の柔軟性、安定性を欠く新興国は窮地に陥りやすくなる。過去を振り返っても、FRBの金融緩和から引き締めへの転換は、ほぼ必ず新興国を窮地に陥れてきた。今回も昨年春に米株が史上最高値を更新して上昇基調に乗り、市場がFRBの資産買い入れ減額(テーパリング)を意識し始めたところで、新興国市場は動揺し始めた。

<日銀とECBが提供する「免震装置」>

だが今回、世界経済が「ラッキー」なのは、過去数年でユーロ圏がソブリン危機を経験し、日本では消費増税が決定されたことだ。

構造的欠陥を認識したユーロ圏諸国は現在、通貨同盟に続く財政同盟と銀行同盟を推し進めようとしている。欧州安定メカニズムもその一例だが、財政同盟とは事実上、ドイツから周辺国への財政移転を意味する。ただ、その際にドイツの納税者を納得させる必要性があるため、支援には厳しい条件がふされる。

その条件をクリアするため、もしくは、救済される事態に陥ることを避けるため、周辺国は緊縮財政政策を徹底し、ユーロ圏域内全体にデフレ圧力が広がる。加えて今年は、銀行同盟を前に資産査定が厳格化されることから、信用圧縮に伴うデフレ圧力も加わる。この「ユーロの十字架」を克服するために、欧州中央銀行(ECB)は金融緩和の徹底が求められるのである。

日本で「ユーロの十字架」と同じ役目を果たすのが消費増税である。今年、来年の増税を乗り切るために、黒田総裁(元財務官)率いる日銀はやはり徹底した金融緩和が求められるからだ。こうしたECBと日銀の金融緩和が、FRBの緩和巻き戻しに対応することで、世界的な流動性環境が急激にタイト化することは回避される。これが「免震装置」として機能し、新興国ブームから北米ブームへの転換という地殻変動に伴って発生する揺れが新興国に伝わりにくくなる。世界的にも市場安定化の動きが強まってくることが期待される。

<黒田日銀が追加緩和に慎重な理由>

もっとも実際には、黒田日銀は今に至るまで追加緩和に慎重姿勢を貫いている。ヘッジファンドなど海外勢の間では、4月の消費増税に伴う景気減速を防ぐために、1―3月期にも日銀が予防的緩和に踏み切るとの見方が根強かった。そのため、逆に足元では失望が膨らみ、年初から海外勢による日本株売却や円ショートポジションの手じまいが進んできた。

筆者が見るところ、黒田日銀が追加緩和に動かないことには3つの背景がある。もちろん、1つ目は消費増税後の経済統計の見極めだ。特に大企業だけでなく、中小企業を含めた今春のベースアップの実績を見ようと思うなら、6月に発表される4月の毎月勤労統計を待つ必要がある。

2つ目は日米関係である。環太平洋連携協定(TPP)交渉が難航する中、米政界、産業界では円安や日銀の金融緩和に対するストレスが強まっている。この状況下、財務省で財務官として対米交渉に当たった経験を持つ黒田総裁が金融緩和によって円安のトリガーを自ら引くとは考えがたい。今月23―25日となりそうなオバマ米大統領の来日時に日米大筋合意が達成できれば、そこで初めて黒田日銀は追加緩和に動きやすくなるのではなかろうか。

また、米財務省が消費増税とそれに伴う日本の内需失速と輸入減少に不安を表明していることも見逃せない。昨年10月に発表した前回の為替報告書で、米財務省は景気減速に金融緩和と円安で対応する前に、財政刺激策と成長戦略を出動させるべきだと公言していた。3月に成立した補正予算と新年度予算が4月から執行段階に入り、6月に成長戦略改訂版が予定されていることに鑑みれば、日銀の追加緩和は7月以降と考えるのが自然のように思える。

そして、黒田日銀が追加緩和に慎重な3つ目の理由は15年消費再増税問題だろう。来年度予算編成の関係で、安倍首相がその決断を行うのは今年12月頃になりそうだが、そもそも増税に慎重な安倍首相から再増税判断を引き出すには、消費増税後、経済成長率が回復すること、市場の雰囲気が良好であることが求められる。

麻生財務大臣が予算執行を9月までに前倒すことを求めたように、統計的な成長率を押し上げる役割は財政政策が担う。したがって、今、日銀に期待されているのは、10―12月期の株価とドル円相場を下支えることだろう。あまりに早すぎる金融緩和は効果が早々に剥落し、最も肝心な時(10―12月期)に市場を下支えすることができなくなる。筆者はこれも、財務省出身で、財政再建の必要性を強く訴えている黒田総裁がなかなか追加緩和の手がかりを与えない理由ではないかと見ている。

<7月前後にはドル108円到達も>

だが、今月1日に消費増税が実施され、駆け込み需要の剥落などもあって、今後は経済指標も下振れしやすくなってくるだろう。市場は、我々が7月頃とにらんでいる追加緩和を改めて織り込む局面に入ってくると思われる。為替相場が先週から円安色を強めていることも、そうした見方と整合的だ。

しかも、日銀の追加緩和観測は、FRBがテーパリングに動く中で高まってきた市場の流動性に対する不安を和らげ、新興国市場や株式市場を一段と安定化させる効果を持つはずだ。こうして市場参加者のリスク選好が補強されることで、リスク回避的な円高リスクが後退し、円安が進みやすい市場環境が提供されることになる。

今月30日の金融政策決定会合での追加緩和を見込む向きもあるが、結果的にその期待は裏切られ、ドル円は105円台の年初来高値を超えることなく、いったんは頭打ちになるだろう。だが、6月末までのどこかでその高値を突破し、日銀の追加緩和が具体性を帯びるに伴って、7月前後には108円に達するドル高円安が進むというのが筆者の相場観である。

繰り返しになるが、その時、市場のリスク選好は回復色を強め、新興国通貨は反発色を強めていることだろう。

*高島修氏は、シティグループ証券のチーフFXストラテジスト。1992年に三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行し、2004年以降はチーフアナリスト。2010年シティバンク銀行入行、チーフFXストラテジストに。2013年5月より現職。


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