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アベノミクスの金融政策と新興宗教の類似点
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ogasawaraseiji/20140403-00034200/
2014年4月3日 11時40分 小笠原 誠治 | 経済コラムニスト
黒田日銀総裁のイニシアティブで行われている異次元の緩和策。それが開始されてから1年が経過しようとしています。
何としてもデフレからの脱却を図る。そのために2%という物価上昇率の目標値を設定し、2年間で達成する、と。ということで期間は2年間であるのでまだ道半ばなのですが‥区切りもいいことだし、ここらで中間総括をする必要があるのではないでしょうか?
ズバリ、異次元緩和策は効果を発揮しているのか?
私は、人によって評価が大きく分かれるのではないかと思います。
物価上昇率が高まっているという事実から判断すれば、異次元緩和策が功を奏しているようにも見えるし‥その一方で、1年前、黒田総裁が得意満面で行ったプレゼンテーションの内容から判断したら、全然シナリオ通りにはなっていないという気もするし、と。
確かに、インフレ率は皆さんご承知のように上昇してきています。
でも、インフレ率は何故上昇してきているのでしょうか?
それは、円安の効果であると言っていいでしょう。
しか〜し、黒田総裁も、そして岩田副総裁も、日銀が大量に長期国債を購入し続ければ、必ず円安が起こり、そして、円安になればインフレが起きる筈だ、などとは一切言っていなかったのです。
そうではなくて、日銀が大量に長期国債を購入し続ければ、マネタリーベースが増大して、いずれインフレが起きるのは自明のことだと、岩田副総裁などは言っていたのです。
まあでも、何が原因であってもマイルドなインフレが起きようとしているのは事実ですから、その意味では、彼らは結果オーライと考えているかもしれません。
しか〜し、それは、彼らにとっても大いに問題であるのです。
というのも、今の日銀は、人々の期待に働きかける政策を採用しているからなのです。
何故、2%という物価目標値を掲げるのか?
そうすることによって人々の期待に働きかけ、近い将来2%程度までインフレ率が上がるのではないかと人々が予想するようになれば、よりその実現の可能性が大きくなるからだ、と。
このような考え方が、米国でも主流を占めていることを私は承知しています。
しかし、私には、そのような説を信じることはできないのです。そのような説は、経済学者の頭のなかの世界でのみ成立する話なのです。
そもそも、米国の人々の平均的な知的レベルはそれほど高くはないので、FRBが何を考えているかなんてチンプンカンプン。だから、一般の人々の期待に働きかることなんて、できる筈はない。働きかけることができる対象としては、連銀のウォッチャーや市場関係者などでしょうが、彼らだって、儲けることが先に来て、どこまでFRBの言うことを信じるかなんて大変疑わしいのです。FRBの言うことを信じるというよりも、自分たちの儲けにつながるようにFRBを動かそうとさえする訳です。それに、人々がどのような予想を立てようと、予想もしなかったことが起きるのが現実というもの。
そうでしょう? だから私は、人々の期待に働きかけるなんて言われてもピンとこないのです。
いってみれば、信じれば救われるみたいな新興宗教のような雰囲気さえ漂うのです。
はっきりと言いましょう。
安倍総理は、新興宗教の教祖様のような趣があるのではないか、と。
貴方は救われたくないのか、と。貴方は賃金が上がることを望まないのか、と。だったら、信じなさい。物価は上がると信じなさい。賃金は上がると信じなさい。日本経済の底力は凄いと信じなさい、と。
もちろん、信じるも信じないも、各人の考え方次第!
しかし、ちょっと考えたら、自分たちの賃金が上がる可能性がどれほどあるかなんてすぐ分かる筈。それに、日本経済の底力なんて言われても、こんなに少子高齢化が進んでいる訳ですから。
それに、幾ら信じたくても、黒田総裁や安倍総理が言ってきたことが当たっていないことが分かれば、段々信用できなくなってしまうのです。
繰り返しますが、黒田総裁や岩田副総裁は、日銀が大量に長期国債を購入し続け、マネタリーベースを増大すればインフレが起きると説明してきた訳ですが‥実際には、マネタリーベースの増大に比例してインフレが起きているとはどうしても思えないのです。そうではなく、単に円安の効果で物価が上がっているだけだ、と。
では、円安は何故起きたのか?
確かに異次元の緩和策が影響していることは否定はしませんが、それよりもユーロ危機が収まりつつあることの効果の方が大きいのではないでしょうか。
さらに言えば、黒田総裁などは、円安が続けばいずれ輸出は数量ベースでも大きく回復する筈だと一貫して主張していたことも忘れてはいけません。直ぐには効果が表れないとしても、それはJカーブ効果のせいだ、と言っていたのです。しかし、幾ら時間が経過しても輸出数量の回復につながっていないことは、今や政府自身も認めているのです。
つまり、そうして黒田総裁の言うことは次第に信頼を失っている、と。そして、安倍総理の言うことも、例えば成長戦略の中身が殆ど伴いことでお分かりのように、これまた信頼を失っている、と。
そのような状況にあって、どうやって人々の期待に働きかける政策が期待できるのでしょう?
それに、安倍総理が信奉しているという浜田教授などは、当初はあれほどインフレにすることが必要であると言っておきながら、いざ株価が上昇し、景気が上向くと、だったらインフレにならなくてもいいと言いだす始末。
私も、その意見には同意します。しかし、物価上昇率をプラスの領域に、そして、可能であれば2%にまで引き上げることを目標にしている日銀にしてみれば、そんなことを言われたのでは梯子を外されたも同然。
本当の教祖様がそんな発言をしているのに、アベノミクスの信者さんは、今後、何を信じていいのでしょうか。
人々の期待に働きかける政策など、日本のように偽装が横行している世界では機能する筈がないのです。否、偽装が横行するという社会は、それだけ人々が騙されやすいということなので、だから人々の期待に働きかける政策はなおさら有効性を有するのでしょうか?
以上
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