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第1回 死亡者1000人超え。どうすればいい?
http://toyokeizai.net/articles/-/34448
2014年04月03日 近藤 恵子 :特定社会保険労務士 東洋経済
■きちんと守っていたら
労働災害は期せずして起こるものです。しかし中には、起こるべくして起こったというケースもあります。
平成24年8月、東京都港区内のビル解体工事現場では、作業中の二次下請労働者が約26メートル下に墜落して死亡しました。
本来、高さが2メートル以上の開口部には、手すり、囲い、覆いなど墜落防止措置を講じなければなりません。しかし、二次下請け会社では、開口部に手すりを設けていませんでした。
また、東京都目黒区内の新築マンション工事現場では、同マンションの立体駐車場内の塗装工事中に死亡災害が発生しました。
立体駐車場のような運搬装置をエレベーターとして使用させる場合には、法令上、一定の規格を満たさなければなりません。しかし、法令上の規格を満たしていなかったことが原因で不幸な事故が発生してしまったのです。
いずれの事故も、建設工事業者などが労働安全衛生法違反の容疑で書類送検されています。労働安全衛生法さえきちんと守っていたら、おそらくこれらの事故は起こらなかったでしょう。
労働災害による死亡者数は、こうした事故による犠牲者を含め、今でも年間1000人を超えているのです。
■労働安全衛生法って?
労働安全衛生法というと、会社の経営層、あるいは人事や労務担当者だけが理解していればよい法律、そう思われているかもしれません。しかし、それは大きな勘違いです。
労働安全衛生法は、従業員(労働者)の安全と健康を守り、労働災害を防止することを目的としています。従業員が日々良好な健康状態を保ち、安全な環境のもとで働く、一見当たり前のように思えることが、実は労働安全衛生法に定められているルールによって守られているのです。
たとえば、年に1度行われる定期健康診断。これは、ほかならぬこの法律にルールが定められているため、行われています。
こうした健康診断をはじめ、会社(事業者)が行うべきさまざまなルールが労働安全衛生法には定められています。また、従業員も会社に協力し、この法律を守っていかなければなりません。
ですから、労働安全衛生法は、人事や労務担当者だけでなく、すべての働く人々が知っておくべき法律である、と言えるでしょう。
とくに現場のリーダーは、労働安全衛生法をよく理解し、意識しながら職務にあたる必要があります。
なぜなら、先の事故事例では、建設事業者だけでなく、職長や現場所長、作業指揮者も労働安全衛生法違反の容疑で書類送検されているからです。
事故が起こったときに、現場のリーダーは、この法律を「知らなかった」では済まされないのです。
■難解な法律をわかりやすく解説
とはいえ、労働安全衛生法は、専門的な用語が多用されています。また、関係省令や告示の数も膨大です。難解な法律というイメージはあながち否定できません。
しかし、だれもが知っておくべき箇所は、意外と限られています。あとは自分の仕事にかかわる条項をしっかり押さえればよいのです。
そこで、私と本連載を担当する中山寛之は、2013年に『現場監督のための早わかり労働安全衛生法』を出版しました。
この本では、工事現場で中核的役割を担う現場監督の方々を対象に、労働安全衛生法令をできる限りわかりやすく解説しました。
そして本年3月、小売業や飲食業での店舗のリーダーを対象に『店長のための早わかり労働安全衛生法』を出版しました。
小売業、飲食業では、比較的軽微な労働災害が多いといえます。そのため、災害防止に対する意識が希薄になりがちです。
しかし、ひとたび事故がおこれば、従業員だけでなく、顧客を巻き込むおそれがあります。そのため、この本では、労働安全衛生法について最低限知っておくべきこと、実施すべきことをまとめました。
本連載では、多くの方々に労働安全衛生法に少しでも関心をもっていただけるよう3回に分けて解説します。
第2回目は「増え続けるサービス業の労働災害」(担当:中山寛之)。
国は労働災害の防止に関して、どう考えているのか。第12回労働災害防止計画をもとに探っていきます。
第3回目は「会社が背負う四重責任」(担当:近藤恵子)。
労働災害が起こったら、会社はどんな責任を負うのか。「刑事責任」「行政責任」「民事責任」「社会的責任」のいわゆる四重責任について、解説します。
第4回目は「滑って、転んで、誰のせい?」(担当:中山寛之)。
労働災害が裁判沙汰になったとき、どう判断されるのか。会社はどうすべきであったのか、検討していきます。
ぜひご一読いただきますようお願いいたします。
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