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大前研一:西武の再上場には知恵も想像力もない
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140402-00000000-fukkou-bus_all
nikkei BPnet 4月2日(水)9時6分配信
西武ホールディングス(HD)が東京証券取引所から上場の承認を受け、4月23日に東証1部に上場する見通しとなった。売り出し価格は1株当たり2000円以上で、上場時の株式時価総額は7000億円規模になる見通しだ。
■西武鉄道の上場廃止以来、ほぼ10年ぶりに復帰
西武グループの経営再建のため、米ファンドのサーベラス・キャピタル・マネジメントなどが出資して2006年に西武HDが設立されてから、採算のとれないホテルを売却するなどリストラを進めてきた。
そして今回ようやく上場にまでこぎつけた。西武鉄道が上場廃止となった2004年12月以来、ほぼ10年ぶりの株式市場復帰となる。
現在の西武HDの経営状況を把握するために、次の「関東主要私鉄の主な連結経営指標」をご覧いただきたい。
売上高については、1位の東急(1兆680億円)、2位の東武(5772億円)、3位の小田急(5152億円)に次いで、西武は4位で4592億円となっている。以下、5位が京王(3969億円)、6位が京急(3070億円)、7位が相鉄(2453億円)、8位が京成(2441億円)である。
■サーベラスに代わる安定株主の確保が課題
続いて、営業利益についても、西武は401億円で4位となっている。1位は東急(557億円)、2位は東武(525億円)、3位は小田急(441億円)だ。
時価総額については、今度の上場で7000億円を超えて、かりに8000億円くらいにまでなれば、1位の東急(7834億円)に並ぶことになる。ちなみに、以下は小田急(6707億円)、東武(5313億円)、京急(4704億円)、京王(4621億円)、京成(3076億円)、相鉄(1786億円)と続いている。
上場の売り出し価格が1株当たり2000円以上であれば、西武HDに出資しているサーベラスもおそらく利益が出るのではないだろうか。ただ、サーベラスが西武HDに出資してから10年が経っているから、毎年15%以上のリターンを必要とするファンドとしては、決して満足のいく結果とは言えないだろう。
いずれにしろ、サーベラスとしては保有している株式をすべて売り抜けたいと考えているはずだ。逆に言えば、西武HDは上場した途端に、4割の株式を保有しているサーベラスが売りに出るという“売り圧力”に直面することになる。
その意味では、しばらくは扱いに慎重さを要する銘柄になる可能性もある。大型上場でおめでたいことではあるのだが、サーベラスに代わる安定株主を獲得していくことが、今後の課題となっていくだろう。
■西武とJR東日本が組めば大規模開発が進むはず
ところで、私は以前から本コラムなどでも、西武HDの株式については、非上場のままJR東日本が買い取るのがベストではないかという提案をしてきた。鉄道網の面から言っても、西武鉄道とJR東日本はネットワーク効果が高い。
現在、西武新宿駅とJR新宿駅は200メートル以上も離れているのに、乗り換えの専用通路がない。雨天時は、地下通路を大回りするのが嫌なら、傘を差して地上を移動する必要がある。西武鉄道がJR東日本の傘下になれば、新宿駅の乗り換えがスムーズに行われるように改良されていたのではないか。
また、軽井沢の開発においても、西武HDとJR東日本の資産を生かし、7つもあるゴルフ場や資産効率の低いアウトレットモールなどを集約して大規模な再開発が行えたはずだ。たとえばアジア富裕層向けの大規模リゾート施設をつくるなど、開発の余地はまだまだある。
土地は西武HDが、鉄道はJR東日本が所有するというチグハグを解消してJR東日本が一体的に開発すれば、私の計算では新たに創出される価値だけでも2兆円はくだらない。つまり、アジア富裕層を意識した世界的なリゾートを軽井沢駅前で展開する、という選択肢があったはずなのだ。
■軽井沢にアジア富裕層を呼び込むには?
経営者を送り込んでいるメーンバンクのみずほフィナンシャルグループも、4割近い株をもっているサーベラスも不採算事業を売却して再上場、というありきたりの路線を選んだわけで、知恵もイマジネーションもない、と批判されてもしょうがないだろう。
たとえば、西武グループは傘下のプリンスホテルを生かそうとするが、アジアでは一流とは見なされていない。はっきり言って、プリンスホテルは日本では二流、世界では三流になってしまっている。かつて日本の御三家と言われた帝国、オークラ、ニューオータニも今ではアジア御三家の遙か後塵を拝している。
アジアの富裕層を取り込もうとすれば、軽井沢にペニンシュラ、マンダリン オリエンタル、シャングリ・ラなどのアジア御三家を呼び込まないといけない。その先にはアマンリゾーツやシックスセンシズリゾートなどの超高級リゾート会社も誕生している。
私自身は、西武HDはJR東日本に統合されるのがベストだと考えていたが、今回、西武HDは上場という道を選択することになった。上場までこぎつけたのは立派だと思うが、今後もその勢いを維持できるかどうかについては、疑問を感じざるを得ない。
■目玉計画に欠けるJR東日本に弾みがつく
40%もの株をもつ最大株主が「売りたい」という希望がある以上はオーバーハング状態で、株は下げ圧力に悩まされることになる。
JR東日本が上場後40%を市場から若干のプレミアムを付けて買い取る、という方法もある。
その後、品川の一体開発や新宿駅の統合計画、軽井沢駅西側の大規模再開発などが矢継ぎ早に打ち出されれば、(リニア新幹線計画などの目玉に欠ける)JR東日本にとっても大きな弾みになるだろう。
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