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中国の銅は電線などのインフラ需要が多い。政府が成長率目標を維持する限りは、一定の需要はあるはずだ Photo:Imaginechina/時事通信フォト
金融引き締めで投機が崩壊 中国・銅価格急落の真相
http://diamond.jp/articles/-/50718
2014年4月1日 週刊ダイヤモンド編集部
新たな「チャイナリスク」が顕在化した。中国の銅価格の急落が、世界の市場に不安をもたらしているのだ。
3月5日からの1週間で、上海先物取引所の銅価格は10%下落。これが中国での需要減退、すなわち景気の減速を示すものとして市場の警戒感をあおり、12日には世界の株価下落の一因ともなった。
中国の景気減速は事実だ。1〜2月の製造業PMI(購買担当者景気指数)、鉱工業生産などの指標は市場予想を下回り続けている。
しかし問題は、別の面にある。実は、中国の銅輸入の半分ともいわれる部分を、投機目的が占めているのである。
方法はさまざまだが、基本は以下のような形だ。銀行から米ドル資金を調達し、銅を輸入する。信用状を用いた輸入では支払いまでに6カ月程度の猶予期間があるため、この間に、得た資金を元に人民元で運用し、銅の売却代金は人民元で受け取る。米ドルと人民元の金利差で利ざやを稼げるだけでなく、売却までの間に理財商品や社債などで運用するケースもあるとみられている。
ところが1月、理財商品のデフォルト(債務不履行)が懸念される事態となり、3月7日には中国で初の社債デフォルトが発生。さらに政府もこれを容認する姿勢を示した。業者やそれらに資金を供給する銀行に一気に不安が広がり、担保の銅があわてて売られて銅価格が下落、さらに売りが加速したという構図である。
■銅急落で銀行にもリスク
中国の2月の人民元建て新規融資額は、前月の1兆3000億元から半減の6445億元となった。春節(旧正月)の影響もあるが、シャドーバンキングに神経を尖らせている政府・当局の融資抑制策強化が背景にある可能性は高い。「引き締めで真っ先に絞られるのは投機目的の資金。今回の下落は、一言で言えばクレジットクランチ(信用収縮)の影響だ」。マーケット・リスク・アドバイザリーの新村直弘代表取締役はそう指摘する。
銅の投機の実態は不明な部分が多いが、本来の実需家だけでなく、さまざまな企業が財テクとして行っているもようだ。「運用商品がデフォルトしたりすれば、銅を担保にしている銀行にまで、混乱が広がりかねない状況」(大越龍文・野村證券シニアエコノミスト)だ。
3月5〜13日に開催された全国人民代表大会(日本の国会に相当)では、経済成長率7.5%の目標が打ち出された。過剰生産能力の淘汰や投資に頼った成長からの脱却といった構造改革を進めつつも、急減速は避けたいという政府の意図が見える。また、理財商品や社債のデフォルト懸念についても、中国の金融システム全体を揺るがすような事態になれば、政府が救済措置を取るというのが、多くの専門家の見方だ。足元の中国経済に対する市場の不安は、やや過剰反応の面がある。
ただ、リスクが高まっているのは間違いない。はたして中国は、経済成長と構造改革の二兎を追うことができるのか。銅価格の急落がその難しさを示している。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 河野拓郎)
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