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「介護による家庭崩壊の危機は日本以外にない」と大前研一氏
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140331-00000003-pseven-soci
週刊ポスト 2014年4月4・11日号
高齢化が進む日本では、介護が今以上に深刻な問題となることは明白である。先進国に共通する介護問題だが、日本のように介護を理由に離職したり、家庭が崩壊する危機に直面させられる国はないと大前研一氏は言う。
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親の介護のために仕事を辞めざるを得なくなる「介護離職」の増加が懸念されている。
総務省の「就業構造基本調査」によると、2002年10月〜2012年9月の10年間に前職を「介護・看護のため」に離職した人は105万4600人に達している。また、厚生労働省の調査では、65歳以上の高齢者のうち認知症の人は推計15%で、2012年時点で約462万人に上り、認知症になる可能性がある軽度認知障害(MCI)の高齢者も約400万人いると推計されている。
つまり、65歳以上(約3079万人)の4人に1人が認知症およびその“予備軍”となる計算なので、今後は介護離職を余儀なくされる人が急増するとみられているのだ。
とくに共働き世帯の場合は、奥さんが義父母や自分の両親の介護や看護のために離職、もしくは正社員から契約社員やパートタイマーになって生活に窮したり、精神的・肉体的に疲弊したりして、家庭崩壊の危機に直面するケースも少なくない。だが、こんな国は世界で日本以外に見たことがない。
たとえばアメリカでは、親が要介護状態になったら躊躇なく施設を利用するだろう。自宅で介護することはほとんどない。自宅で介護するにしても離職はあり得ず、働き続けて給料の半分くらいでヒスパニック系の介護士などを雇う。デンマークやスウェーデンなど北欧諸国の場合は、寝たきり老人や認知症の老人をケアする公的な施設やサービスが充実している。
中国のようにまだ大家族世帯が多い国では、家族の中の誰かが高齢者の面倒を見る。つまり、介護離職というのは、かなり日本独特の問題なのである。
また、ドイツ、スイス、スウェーデンといった年金が多い国の場合、高齢者は年金の半分くらいを使って外国のケア施設に行くケースも増えてきている。たとえば、タイのチェンマイには「3食添い寝付き・24時間3交代制」のフルアテンドで介護してくれる施設があるから、そういうところで余生を穏やかに過ごすのだ。要するに、欧米人は「国を変える」ことに対して抵抗がないのである。
しかし日本では、そういう海外の施設を活用しようとすると、親の介護を放棄しているかのような批判が出てくる。実際、ソニー生命保険の「親の介護と認知症に関する意識調査」(2013年10月実施)によると、親が要介護状態になった時に希望する生活場所は「住み慣れた自宅」が親は67.2%で子供は53.2%、「安心できる高齢者施設」が親は32.7%で子供は46.8%だった。
また「できれば子供に自分の介護に関わってほしい」と考えている親が76.5%、「できれば親の介護に関わりたい」と思っている子供も61.2%に達している。
だが、一家の稼ぎ手が離職したりパートタイマーになったりしたら、それまでの生活レベルは維持できない。介護だけでなく子育てもしていれば、なおさら大変だ。場合によっては、生活保護を受けなければならなくなる。少子高齢化で高齢者が高齢者を介護せざるを得ない「老老介護」の問題も深刻化し、要介護者を抱える家庭の負担はますます重くなっている。
民間の介護サービスは多種多様になってきているものの、多くの企業では過重労働で介護士が疲弊している。これから介護をどうするのか? この問題は、もはや国内だけで解決することは難しく、国の仕組みを根本的に変えなければならないと思う。
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