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[十字路]製造業の高度化めざす欧米先進国
最近、米欧先進国が競って製造業の強化策を打ち出している。経済のサービス化が進み、一国経済に占める製造業のウエートが低下している中で、各国政府が製造業を重視しているのはなぜか。先進国の成長戦略のカギとなるイノベーション振興と良質な雇用創出を図るには、強い製造業を持つことが重要と認識しているからである。
各国の取り組みを挙げてみよう。米国では、第2期オバマ政権が任期中の「製造業雇用100万人創出」を公約に掲げ、法人税引き下げや研究開発支援の拡充などを表明している。イノベーション促進策に本腰を入れ、米国内にIT(情報技術)や物理学・生物科学の成果を活用する「先進製造業」を根づかせることをその中核に位置づけた。
ドイツ政府は「Industrie4.0」と呼ばれる製造業高度化のための産官学連携プロジェクトを推進している。その一環として、あらゆるモノがインターネットでつながる「IoT(インターネット・オブ・シングス)」の技術を駆使して生産プロセスの革新などを目指す取り組みが進行中だ。
また、英国のキャメロン首相もIoTの研究を強化し、ドイツと提携して同分野の勝ち組になろうとしている。
注目すべきは、いずれも従来型製造業の支援ではなく、ITを活用し新たな顧客価値を生み出す高度製造業の振興に注力していることである。
ひるがえって日本はどうか。成長戦略にはITの利活用強化が盛り込まれ、製造業の事業再編の円滑化に役立つ産業競争力強化法も成立した。だが、ものづくりとITの融合により製造業を高度化するビジョンは見えにくい。日本企業は、概してITを単なる業務効率化の道具とみなし、イノベーションを起こす武器として使う発想が乏しい。製造業の新たな事業モデル構築のためのIT投資を促す政策が望まれる。
(東レ経営研究所産業経済調査部チーフエコノミスト 増田貴司)
[日経新聞3月28日夕刊P.5]
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