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大前研一:リストラで人と技術が流出
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140326-00000002-fukkou-bus_all
nikkei BPnet 3月26日(水)8時17分配信
東芝の半導体メモリーの研究データを韓国ハイニックス半導体(現・SKハイニックス)に流出させたとして、警視庁捜査2課は3月13日、東芝の提携先である米サンディスクの日本法人の元技術者・杉田吉隆容疑者を不正競争防止法違反(営業秘密開示)の疑いで逮捕した。東芝によれば、損害額は1000億円に上るという。
■「人馬一体」で技術情報が漏洩、厳しく取り締まるべき
杉田容疑者はサンディスクの技術者として東芝四日市工場に勤務していた2007年4月から2008年5月、自分のIDを使って東芝のコンピューターにアクセスし、NAND型フラッシュメモリーの研究データを無断でコピーした疑い。08年7月ごろに転職先に提供したとされる。
今回発覚したのは、スマートフォンなどに使われるNAND型フラッシュメモリーに関連した技術の流出。同メモリー事業は東芝の収益源の一つだ。技術情報をお土産にして好条件で転職する、つまり技術情報を「人馬一体」で盗むといったことは、厳しく取り締まらなければならない。
一方で東芝は、次世代メモリーのMRAM(磁気記録式メモリー)でハイニックスと共同開発を行っている。技術流出でハイニックスと対立する東芝だが、MRAMの共同開発は続けていくことになりそうだ。
■中途退職者(正規社員)による情報漏洩が50%超
ではなぜ、こうした情報漏洩事件が起きるのだろうか。ここで「営業秘密漏えい者についてのアンケート調査」をご覧いただきたい。
このアンケート結果を見ると、中途退職者(正規社員)による情報漏洩が50.3%と圧倒的に多い。以下、現職従業員等のミス(26.9%)、金銭目的等の現職従業員等(10.9%)、取引先・共同研究先を経由(9.3%)、定年退職者(6.2%)、中途退職者(役員)(6.2%)、契約満了/中途退職した契約社員(5.7%)、取引先からの要請を受けて(5.7%)となっている(複数回答)。
中途退職者のなかには、いわゆる「追い出し部屋」のようなところに入れられていた者もいるだろう。閑職だが情報へのアクセス権限を持っている場合もあるので、お土産として情報を確保し、転職してしまうといったケースも想定される。
中国や韓国の会社は人材紹介会社に対して、「あの会社のこういう研究をしている人物がほしい」と細かく要求してくる。その要求には、人物の能力だけでなく、ポストや権限に付随する情報も言外に含まれている。
■情報漏洩の罰則はそれほど厳しくないのが現状
情報漏洩を前提とした人材の引き抜きが横行する一方で、罰則はそれほど厳しくないのが現状だ。「主要国の技術情報等の保護の法制度」をご覧いただきたい。
日本の不正競争防止法では、行為者個人の処罰については10年以下の懲役、1000万円以下の罰金となっている。法人処罰については、3億円以下の罰金にとどまっている。1000億円損したという東芝だが、今回のような特定個人が犯した犯罪ではほとんど取り返せない、ということになる。
一方、米国の経済スパイ法では、行為者の処罰は10年以下の懲役となっている。しかし、罰金については上限がない。失った価値の3倍までは損害賠償を請求できるし、海外に持ち出した場合には原則3倍くらい厳しい罰則となっている。
ドイツの不正競争防止法でも、行為者処罰は懲役3年以下だが、罰金は上限なしだ。法人処罰は100万ユーロ以下の罰金である。
韓国についても見てみると、不正競争防止及び営業秘密保護法などで、行為者処罰は5年以下の懲役、利得の2倍以上10倍以下の罰金と定められている。法人処罰の罰金については、行為者個人と同等となっている。
■情報を持ち出しても数年後には転職先から解雇も
いずれにしろ、不正競争防止法という名前が付いていながら、実際の罰則はかなり甘い。となると、企業としてはそもそもこうした情報漏洩事件が起こらないように気をつけるしかない。
従業員から恨みを買うような形で追い出すようなことは、情報漏洩防止の観点から極力避けるべきだろう。日本企業はこの10数年、多くのリストラを行ってきた。そこでは従業員に恨みを抱かせることも少なくなかった。
恨みを抱いた従業員には報復感情もあるので、情報漏洩に加担しやすい。リストラの結果、人と技術が一緒に出て行ってしまったというのが、日本企業の悲しき実態だ。
しかし、技術を持ち出して自分を高く売ったつもりの従業員も、決して安泰ではない。漏洩先の企業はその技術を数年で吸収してしまうから、技術をもたらした従業員を役職につけて重用したりはしない。今度は他の会社に重要情報を持ち出す危険人物だからである。
だから、数年後には転職先からまた解雇されるという話をよく聞く。そうした非情な現実も知っておくべきである。
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