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ウクライナ金融危機への対応で日本は中国・韓国との違いを国際社会にアピールせよ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38755
2014年03月24日(月) 高橋洋一「ニュースの深層」 現代ビジネス
今週は、重要な国際会議が目白押しだ。オランダ・ハーグで開かれる核安全保障サミットにあわせて、3月24日夕(日本時間25日未明)に先進7か国(G7)首脳会議、25日夕(日本時間26日未明)には日米韓首脳会談がある。
各国首脳が集まる国際会議では、各国首脳の力量が問われる。欧州では、最大の課題はクリミア問題だ。欧米や日本は経済制裁を打ち出している。
米国は、6日にロシア政府高官らに対して米国への渡航禁止、米国内の資産凍結を行った。さらに、17日、これをウクライナの大統領職を追われたヤヌコビッチ氏ら11人にも拡大した。EU(欧州連合)は、6日にビザなし渡航の交渉を停止し、17日には21人のEUへの渡航禁止と資産凍結を行った。
■いまのところ個人対象に留まる「経済制裁」
日本も、18日、ビザ緩和協議の停止、新たな日ロ協定の締結交渉開始の凍結を決めた。主要7カ国(G7)と歩調を合わせるというものの、北方領土という長期的な問題を抱える中、欧米より一歩慎重な経済制裁になった。安倍首相がロシアのプーチン大統領とこれまで5回も会談するなど良好な関係を築いてきた。今回は、中国などを意識した微妙なバランスの対応になっている。
現段階の措置をみれば明らかなのは、日欧米は経済制裁というものの、個人が対象であり経済的な効果というより政治的なメッセージに留まる。欧米は、さらにロシアが強行に出てくれば、ロシア産原油や天然ガスの輸入制限、さらに個別取引の交易禁止などへエスカレートしていく可能性もある。
日欧米の一連の動きに対して、中韓は、基本的に中立的である。これに対して、欧州の目はどうなのだろうか。中国はGDP世界第二位というものの、G7メンバーではない。韓国にいたっては、経済制裁するにも小粒すぎて制裁にもならないだろう。
中国の習近平国家主席は、ハーグで韓国の朴槿恵大統領と会談するという。それも、日米韓首脳会談の前日という。中韓首脳会談では、歴史問題で中韓が歩調を合わせるという報道もされている。もし、そうなったら、欧州の笑いものになるだろう。
というのは、欧米の政治家の感覚では、過去の事件について決して謝らないからだ。もちろん、過去の事件が真実であれば、事実と向き合うことは必要だ。しかし謝ることはせずに、未来志向で対処するのが普通だ。
しかも現実に、クリミア問題という今そこにある問題の前で、それに見向きもせずに、70年も昔の話を今さら持ち出すのは、欧米人には解せないだろう。
■ウクライナの金融危機にどう対応すべきか
欧米はクリミア問題の本質について、中韓が理解していないのにことも驚くだろう。長期的にみれば、ソ連邦崩壊後、東欧諸国が相次いでNATOに加盟するなど、ロシアは崖っぷちに立っていたが、クリミア編入で土俵際で何とか踏みとどまったということだ。
短期的には、ウクライナの金融危機のほうが、はるかに重大だ。そのため、日欧米はウクライナに対する金融支援を行うことを相次いで表明している。
最大の当事者であるEU(欧州連合)は、今後数年間で110億ユーロ(1兆5000億円)の支援を行うようだ。米国も10億ドル(1000億円)、日本も1000億円の支援を行う。これらは、いずれも、融資や保証である(EUでは一部無償資金協力もある)。
というのは、ウクライナはこれまでも財政破綻の懸念があり、クリミア問題でそれが一気に顕在化するかもしれないのだ。そうなると、ウクライナに投融資していた欧州銀行がやられ、それが世界にも波及するかもしれないというわけだ。
■日本は未来志向で対処すべし
ウクライナでは、もともと社会主義国ではびこっていた腐敗がいまだに続いている。たとえば、ウクライナの家庭向けガスへの補助金制度には不正があるといわれている。さらに、産業のエネルギー効率は、先進国に比べて一桁も違うほど悪いと指摘されている。
そうした社会改革が不十分なため、財政破綻がささやかれていた。最近のウクライナのソブリンCDSレートは10%を超えており、危機的な状況であることは間違いない。
もちろん、IMF(国際通貨基金)にもウクライナは協力要請していたが、IMFは調査に手間取っていた。その間に日本が(国際機関経由ではなく)二国間で資金協力を表明したことは大きい。しかも、中韓との差別化ができたことは、今週の国際会議は日本が世界にアピールできる格好の場にできる。
3月10日付けの本コラム(アジア版NATO構想も浮上する!クリミア危機に日本はどう対応すべきか)で、書いたように、日本の本音としては、ロシアがクリミアを実効支配して、そこで欧米とロシアが「均衡」していることが望ましい。
そのために、日本は欧米と歩調を合わせつつ、一歩引いてロシアの顔も立てることが重要だ。ウクライナの金融支援は、そのためにまたとない好材料となる。これは、一見ウクライナを支援しているが、実はウクライナに投融資しているロシアのためにもなるわけだ。
ウクライナの財政破綻の確率が高まっているからといって、ここはカネを出さない手はない。ウクライナへの資金提供は、すこし前のユーロ危機の時によりもリスクはない。そのうえ、中韓との違いを国際社会にアピールできることは大きい。
もし、韓国が日米韓首脳会談の席で歴史問題に触れたら(米国のいる場で、そうしたことは国際常識から考えにくいが、韓国の場合にはありえなくない)、日本は、いまそこにある世界の問題に対して、未来志向で対処していると堂々といえばいい。
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