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市場規模の小さい外食カレー 値段1000円が珍しくない理由
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140323-00000001-pseven-bus_all
SAPIO 2014年4月号
外食産業での「カレー」の存在感は意外なほど小さい。カレー専門ショップの市場規模は約890億円、店舗数は約1500(2013年見込み、富士経済調べ)。焼肉店(市場規模約5200億円、約1万6000店)、宅配ピザ店(同約1260億円、約4000店)などと比べると明らかに見劣りする。
チェーン店の状況を見ても「カレーハウス CoCo壱番屋」(1267店舗、2014年1月末時点)以外は目立った存在がほとんどなく、近年店舗数を増やして注目される業界2位の「ゴーゴーカレー」でも100店舗に満たない。この2つのチェーンで専門店の80%以上を占めることから考えれば、独立系の店も多くはないことになる。
誰でも作れる国民食ではあるが、専門店が簡単に成功するほどカレーの世界は甘くはないのだ。カレー総合研究所の井上岳久・代表が解説する。
「カレー専門店が他の飲食店と違うのは、ランチで勝負しなければいけない点です。うまくいっているカレー店のほとんどはランチタイムの繁盛で利益を出していて、多い店では昼間に10回転以上しています。しかしそうした繁盛店でも15〜17時の時間帯は客が少ないし、お酒との相性がよくないのでディナーは1回転程度。客単価も上げにくい」
牛丼やラーメンと違って夜食にする人も少ないため、ランチ以外の回転率を他の業態並みに上げることは難しい。それでいて人件費や家賃は同じようにかかるため、食材原価率は低く抑えられがちだ。
本誌2013年11月号では1杯280円の牛丼の原価を約175円(原価率約63%)と報じたが、「カレーの場合は高くても30%、基本的には食材原価を20〜25%に抑えないと成り立たない」(井上氏)という。仮に牛丼の原価と同じ175円だとすると700〜900円程度の値段をつけなければいけないことになる。
そもそもカレーの原価は店によって大きく異なる。ライスの原価は一人前200gで50円前後だが、肝心のルーにどれだけ手をかけるかで原価はかなり変わる。
最も安く済ませる方法は業務用レトルトルーを使うことで、一人前約60円で調達できる。ライスと合わせても原価は100円程度。「単に温めただけだと独特の加熱臭(レトルト臭)が消えないので鍋で温め直し、市販のカレー粉を少しまぶして臭いを消す。喫茶店や定食屋の安価なカレーはそうした作り方が多い」(業界関係者)という。業務用の固形カレールーには1kg480円(50〜55人前)といったものもあり、一人前の原価は約10円。「大ぶりな肉や野菜などを入れても原価は100円程度」(同前)となる。
ただしカレー専門店の場合、既製品のルーを使って「家で作るのとあまり変わらない」と思われると集客は望めない。独自のスパイスづくりが商売を左右する。20種類程度のスパイスを調合して焙り、オリジナルの「カレー粉」を作っていく。食品業界に詳しいジャーナリスト・広尾晃氏はこう語る。
「スパイスには『辛み』『香り』『色』を出すといったそれぞれの役割がある。辛みを出すスパイスとしてはホワイトペッパーやカイエンペッパー、香りを持つスパイスとしてカレー特有の風味を出すクミンなど、色としてはカレーの黄色を出すターメリックやパプリカといった具合に役割が分かれます。それらをどうブレンドするか、焙煎の温度や時間をどう変えるかで店ごとの特色が出てきます」
その場合でもスパイスそのものの原価は一人前換算すれば10〜20円程度だが、ブレンドや焙煎のノウハウを持つ人間や、カレー粉をバターや薄力粉と一緒に炒めてルーにする技術を持つ店員の人件費がかかる。
比較的手をかけているカレー専門店の一例では、ルー(スパイスや調味料)で約80円、具材(肉、野菜)で約80円、ライスが約50円で原価が200円を超える。1000円のカレーが珍しくない理由はこのあたりにある。
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