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各国の消費者物価指数(CPI)前年比の推移。2〜3%の上昇率だったユーロ圏だが、大幅に低下し、現在も0.8%と日本や米国に比べて低い数値となっている
【マネー得捜本部】日米欧の金融政策に転機近づく? 金融緩和度はEU>日>米に転換
http://www.zakzak.co.jp/zakspa/news/20140318/zsp1403181539000-n1.htm
2014.03.18 ZAK×SPA!
経済と政策は循環するものである。インフレ率が上昇した日本は大規模な金融緩和強化を打ち出せない状況にある一方、デフレ傾向にあるユーロ圏は金融緩和を強化しやすい環境が整った。これにより、内外の金利・為替変動の図式が変わる!
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アベノミクスのもと、実施された金融緩和強化によってもたらされた円安・株高。しかし、この流れは’12年11月から’13年5月までのもので、その後は一進一退の動きが続いている。
’13年末にかけて株価が高値を更新する場面はあったが、’14年に入ってからは株価下落傾向が強まっている。4月には消費税大増税も控えており、安倍政権が早くも下り坂に差しかかってしまうのか気になるところだ。
さて、グラフをご覧いただきたい。過去3年間の日米欧の消費者物価指数(CPI)上昇率の推移を示したものだが、日本のインフレ率が昨年春以降、急上昇しているのがよくわかる。それに対して、米国はほぼ横ばい、ユーロ圏は低下傾向を示してきた。
経済と政策は循環変動するものである。日本では長きにわたって円高が進み、デフレが進行していたために金融の超緩和政策措置が正当化された。しかし、為替が円安に転じて、インフレ率が上昇すれば、さらなる金融緩和政策を実施する根拠は希薄になる。
経済低迷に苦しむ国は自国通貨の下落を求める傾向が強い。通貨下落で輸出の競争力が増し、経済を立て直しやすいからだ。過去2年間では日本円の下落が突出して大きく、安倍政権は円安・インフレ率上昇・株高の果実を手にしてきたわけだ。しかし、このことは、その裏側で他国通貨の上昇という現象をもたらしてきたことを意味する。その影響が今、最も強く表れているのがユーロ圏なのである。
【金融緩和の中心は今後はユーロ圏!】
現在の情勢を考えるに、金融緩和の余地を残す序列は欧州>日本>米国の順となる。
まず米国の場合、インフレ率は横ばい傾向だが、不動産価格が上昇している。FRB議長に就任したイエレン女史は金融引き締めに慎重なものの、不動産バブル発生を警戒していると表明した。米国は金融超緩和政策の縮小に着手しており、今後の展開が米国株価下落圧力を生み出すかどうか、注視が求められている。
次に日本のインフレ率は急上昇してきているが、まだ金融緩和縮小を取り沙汰する段階ではない。しかし、これまでのような「金融緩和強化=インフレ&円安誘導」を大々的に展開できる環境は消滅している状況だ。
その中で、逆にインフレ率が大幅に低下しているのがユーロ圏。欧州中央銀行(ECB)はユーロ高がもたらすデフレ傾向に対する警戒感を強めており、金融緩和政策をさらに強化する可能性がある。そして、この政策でもたらされやすいものは「ユーロ安・円高」だ。
安倍政権は発足当初の円安・株高で大きな得点をあげて、政権支持率の高揚に成功した。だが、米国の金融緩和縮小やユーロ圏をはじめとした日本円を取り巻く環境の変化を前に、正念場を迎えることになる。日米欧の金融政策と為替レートの変動パターンの転換に留意するべき局面が近づいている。
■今週の数字
ユーロ圏のCPI上昇率 0.8%
日本のインフレ率がマイナスだったところから1.4%に上昇したのに対し、ユーロ圏のインフレ率は0.8%と大幅に低下。金融緩和が推進される環境が生まれている
■植草一秀氏(政治経済学者) シンクタンク主席エコノミストなどを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログは「植草一秀の『知られざる真実』」。近著に『日本経済撃墜−政策逆噴射の恐怖−』(ビジネス社)がある
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