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日本のように総合的に優れた産業力を維持していれば、円安で輸入物価が上昇しても、輸出製品は輸入原材料のそれよりも国内で生産した付加価値のほうが比率的に大きいことから、円安による円手取り輸出代金の増加が国民経済トータルのメリットにつながるものである。
中国や韓国のように最終製品を生産するために、日本などから付加価値の高い中核部品や機械装置を輸入している国民経済では、自国通貨安が必ずしもメリットになるわけではない。(部材をすべて輸入し組み立て加工だけ行って輸出するケースを考えるとわかりやすい)
しかし、まず、円安傾向のなかでもJカーブ効果さえ現れず輸出数量の増加が見られないことから、輸出企業はともかく、納入事業者や下請けは直接的なメリットを受けていない。
さらに、円安傾向であっても、最終段階である輸出代金を受け取る企業が円安で増加した利益を“余禄”として内部留保や配当に回すだけで、円安でコストが上がった納入事業者への支払い代金や賃金(や派遣労働者代金)のアップに再投資しなければ、日本経済全体としては負の効果となる。
「秋の円安」という問題に絞ると、4月から実施される消費税増税の“痛み”が明瞭になるのは、多くの中小企業が中間決算を終え消費税の中間納付額がはっきりする(納税資金を確保しなければならない)秋である。
その時期に円安が進めば、転嫁できないコストアップとのダブルパンチで業績が悪化し、まずは年末賞与の減額、続いて、来年春には所定内賃金の減少もしくは非正規労働者への切り替えが進むことになるだろう。
消費税増税+「秋の円安」は、97年の消費税増税が日本経済をデフレスパイラルに突き落とした轍を踏むことになる。
それに対する政策は、一般世帯にお金をばらまく“根性”はないだろうから、公共事業の増加ということになるが、すでに技能者の人手不足で事業消化力は限界に達している。
日本経済は、この25年のあいだに大きく変質し、円安=輸出増加や円安=経済成長が期待できない構造になっている。
そのような構造であれば、中小企業のコストダウンにつながったり、家計の購買余力が高まる円高のほうが日本経済にとってメリットがあると言える。円高を好ましい基礎的条件と考え、そのなかで緩やかなインフレを実現することで円安に動かし国際競争力を高め、再び円高を手に入れるという跛行を通じて経済成長を達成しなければならないのかもしれない。
記事は「日銀の悩みはもう一段の物価上昇に決め手を欠くこと」と最後に書いているが、現在のGDP連関構造で「秋の円安」になって起きる物価上昇は、スタグフレーションの一種となるであろう。
また、「「ハト派」と思い込んでいたイエレン議長から飛び出した意外な「タカ派」発言に市場は当惑」ともあるが、一昨日のFRBの決定と説明のどこがタカ派なのかと言いたい。債券類購入プログラムにしても、買い入れ額縮小が金利の上昇や景気低迷につながるようなことになれば、非伝統的緩和の出口が遠ざかると言っているようなものである。
FRBは、現在のレベルが不必要もしくは過剰な緩和だと判断しているからこそ縮小を続けているのである。
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黒田日銀に援軍 イエレン発言が呼ぶか「秋の円安」
2014/3/21 21:49
来春の利上げを思わせる記者会見でのひと言が世界の株式市場を動揺させ、デビュー戦で苦杯を喫した米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長。だが次は2%物価目標の達成に挑む日銀の黒田東彦総裁に「秋のプレゼント」を届けてくれるのでは――。そんな意外なシナリオが外国為替市場で浮上してきた。
「今年の秋も、やっぱりアベノミクスは『持っている』と驚くことになるかも」。みずほ銀行の唐鎌大輔マーケット・エコノミストはイエレン発言を受けた円安進行を見て、こう感じたという。
昨年9月、息切れ気味だったアベノミクスに新たな追い風を与えたのが東京五輪の開催決定だった。株価は再び上昇力を取り戻し、安倍政権の「強運」を印象づけた。
それから半年。アベノミクスの「第1の矢」である黒田緩和の先行きには不透明感が漂う。物価を押し上げてきた円安効果が薄れているからだ。
だがイエレン発言は「米量的緩和終了が見込まれる秋以降、日米金利差拡大という円安のエンジンに火がつく可能性も意識させた」(唐鎌氏)。
「ハト派」と思い込んでいたイエレン議長から飛び出した意外な「タカ派」発言に市場は当惑。19日の米ダウ工業株30種平均が一時200ドル近く急落し、日本の株価にも波紋は広がった。
一方、株安なら円高という連想が定着していた外為市場は逆の動きをみせた。一時1週間ぶりの円安水準となる1ドル=102円台後半まで急落。今度は利上げ観測に伴う米金利上昇で日米金利差が広がるとの連想だ。
日銀の悩みはもう一段の物価上昇に決め手を欠くことだ。今年は「秋からの円安」という2%目標への追い風をもらえるかもしれない。(森本学)
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