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米利上げ、来春にも FRB議長が示唆
失業率目標を撤回
【ワシントン=矢沢俊樹】米連邦準備理事会(FRB)は19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、量的金融緩和の証券購入額を4月に現行の1カ月当たり650億ドル(約6兆5000億円)から550億ドルに減らすことを決めた。縮小を続けても景気と雇用の回復基調が崩れないと判断した。イエレンFRB議長は就任後初の記者会見で、証券購入終了から約半年後の2015年春にも事実上のゼロ金利政策を解除する可能性に言及。市場では利上げ再開が前倒しされるとの観測が広がった。
FOMCは事実上のゼロ金利政策の方向性を示す時間軸(フォワードガイダンス)の表現を大幅に修正した。昨年12月から米失業率が6.5%を下回っても「かなりの期間、ゼロ金利を続ける」としていたが、失業率目標の数値基準を削除した。
かわりに失業率以外の労働市場の様々な指標や内外の金融市場の状況などを含む「幅広い判断材料を考慮する」との方針に転換した。そのうえでゼロ金利について現時点では「証券購入プログラムの終了後も相当の期間、継続するのが妥当だ」と明記した。
FOMC後に記者会見したイエレン議長は「相当の期間」の解釈を聞かれ「恐らく(証券購入終了から)6カ月程度を意味する」と述べた。
イエレン氏は雇用回復を踏まえ、今秋にも追加の証券購入額をゼロにして量的緩和を終えたいとしている。今回の発言は金融正常化に向けて早ければ15年春にも利上げ再開の環境が整う可能性を示唆したものだ。一方で「インフレ率が2%の目標を下回り続ければ、ゼロ金利がさらに長期化する」とも強調した。
FRBの利上げは15年終盤とみる市場関係者が多かっただけに「利上げ時期は前倒しになる」との観測が台頭。米国の長短期の金利が急上昇し、ニューヨーク株式市場ではダウ工業株30種平均の下げ幅は一時200ドルを超えた。
FOMCが量的緩和の縮小継続を決めたのは昨年12月、今年1月に続き3回連続。減額幅も月100億ドルを維持した。米経済が寒波の影響などで一時的に弱まったものの「労働市場の回復持続には十分な力強さを備えている」と判断し、緩和縮小の継続を決めた。
[日経新聞3月20日夕刊P.1]
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イエレン議長会見要旨
●経済見通し
1、2月の大寒波で米経済の分析はかなり難しくなったが、大ざっぱに言えば経済指標は1月には予想より減速したが、昨年12月時点の我々の予想の範囲内だ。
●政策金利の指針
金利の新指針は政策変更を意味するものではなく、市場環境の変化を反映したものだ。FOMCでは証券購入プログラムの終了後もある程度の期間、FF金利の現在の誘導水準を維持すると見込んでいる。FF金利が正常な状態に戻るには2016年末までかかるだろう。
●「失業率6.5%」の基準を削除した理由
この基準の効果に疑問を感じたわけではない。ただ、現在の失業率が6.5%に近づき、それを下回る可能性が強まっている現在、市場はその時点でFOMCがどうするかを知りたいと思うだろう。
FOMCは失業率が雇用情勢を判断する十分な統計ではないと感じるようになってきた。もっと多くの統計を踏まえた上で雇用情勢の現状を判断する必要がある。
●利上げ再開の時期
証券購入の減額を今のペースで進めれば、今年の秋に終了することになる。終了から利上げ開始までの期間について、声明で「相当の期間」と述べた。定義は難しいが、おそらく6カ月程度、というところではないだろうか。だが、これは経済の状態次第だ。
証券購入の減額を現在のペースで続ける条件は2つある。労働市場の改善と物価上昇の回復だ。労働市場は今後も一段の改善が期待できる。物価上昇は、今は目安を下回る水準にある。
●重視する雇用指標
雇用情勢を判断するために、失業率以外にも幅広い雇用関連指標を見ている。正規雇用ではなく、非正規雇用のパートタイムで働かざるを得ない人々の割合が非常に高い。長期失業者の割合は非常に高く、なかなか下がらない恐れがある。
●ウクライナ情勢
FRBはウクライナ情勢を非常に注意深く観察している。今回の会合でも米国の金融システムに直接的な影響があるか議論した。今のところ、特筆すべき影響があるようにはみえない。
[日経新聞3月20日夕刊P.3]
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