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女性の労働参加率、北欧並みに上昇の場合、少子化による経済のマイナスを約50%緩和
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140318-00010000-bjournal-bus_all
Business Journal 3月18日(火)3時44分配信
安倍政権は成長戦略の柱の一つとして「女性の活躍推進」に関する政策を打ち出している。理由は単純で、日本では少子高齢化の進展で潜在成長率が低下し始めているが、女性の労働参加率の上昇はその影響を緩和しつつ、経済成長を促進させる可能性を秘めているからだ。
そもそも、少子高齢化は、労働人口を減少させ、それ以外の人口である従属人口(例:引退世代)を増加させるから、その比率である従属人口指数(=従属人口÷労働人口×100)を上昇させてしまう。だが、女性の労働参加率が高まれば、この従属人口指数の上昇を緩和できる。
このため、安倍政権は「待機児童を5年でゼロ」「育児休業3年」「上場企業に女性役員を1人」といった政策を掲げてきたが、先般(3月8日)の朝日新聞デジタルに以下の記事が出ていた。
・2014年3月8日付朝日新聞デジタル記事『配偶者控除の縮小検討 政府、女性の社会進出促す狙い』(以下、抜粋)
「政府は、夫婦のうち1人が働く世帯の税負担を軽くする『配偶者控除』を見直す検討に入った。『夫が働き、妻は専業主婦』という家庭像を前提にした税制を改め、女性の社会進出を促すねらいだ。年末の2015年度税制改正に向けて議論するが、自民党には慎重論も根強い」
「配偶者控除は、夫が働き、妻が専業主婦の世帯の場合、夫の課税所得を38万円減らし、所得税を安くする制度(妻だけが働く場合は逆)で、減税額は年収によって異なる。妻の年収が103万円以下なら38万円の控除を受けられる。103万円超〜141万円未満も控除を受けられるが、年収が増えるにつれて控除額は少なくなる」
「専業主婦の中には、減税の恩恵を満額受けるために103万円を超えないよう仕事の量を調整する人もいる。103万円を境に、夫が企業から受け取る『扶養手当』を打ち切られるケースもあり、女性の社会進出を阻む『103万円の壁』とも指摘されている」
この配偶者控除の縮小も、「女性の活躍推進」政策の一環に位置づけられるはずだ。では、女性の労働参加率の上昇は、従属人口指数の上昇をどの程度緩和することができるのか。そこで、以下では簡単に、日本女性の労働参加率が北欧並み(例:スウェーデンやデンマーク)に上昇した時の「従属人口指数」の推移を試算してみよう。
●少子化による経済へのマイナス影響を大幅に緩和
まず、OECD諸国の労働参加率(2011年、男女)をみると、図表1(リンク【詳細図表】)のようになっている。スウェーデンやデンマーク等の北欧では、男性の労働参加率よりも若干5ポイント低いものの、女性の労働参加率は80%前後の値となっている。他方、日本はどうか。男性の労働参加率は北欧に近い85%であるものの、女性の労働参加率は北欧の80%より17ポイントも低い63%である。
そこで、今からすぐに日本女性の労働参加率が北欧並みになった時の従属人口指数を試算してみると、図表2のようになる。
図表をみると、その効果は一目瞭然だ。現状のままでは、従属人口指数は15年の97.1から2100年の118.1まで約20ポイントも上昇する。しかし、女性の労働参加率が北欧並みになると、従属人口指数の上昇は約半分(10ポイント弱)に抑制でき、2100年の従属人口指数は104.8にとどまることが予想される。
これは、出産・育児との両立を含む子育て世代の働きやすい環境整備や女性の社会的地位向上、また配偶者控除の縮小等により、もし日本女性の労働参加率を北欧並みに上昇させることができれば、長期的に少子高齢化が日本経済に及ぼすマイナスの影響を100%ではないものの、50%程度は緩和できる可能性があることを示唆する。
以上みてきたように、「女性の活躍推進」に向けた政策は、日本経済の成長にとって重要な位置を占めるものといえよう。
小黒一正/法政大学経済学部准教授
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