01. 2014年3月18日 01:03:54
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>中途半端な制裁しか出来ないそうでしょうか http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/40208 JBpress>海外>Financial Times [Financial Times] クリミア危機で戦略思考に目覚めたEU 2014年03月18日(Tue) Financial Times (2014年3月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
冷戦終了後の時代の大半において、国際問題での欧州連合(EU)の役割は、いわば西側の日本と似たようなものだった。経済と貿易の力を持つEUは、対外援助、関税引き下げ、時には慎重な制裁体制を通じて世界の動向を形作ろうとしてきた。自分たちの裏庭はEUというクラブへの加盟を通じて操ってきたが、このような措置は世界秩序に取るに足りない影響しか与えなかった。 日本と同様、EUは高度な地政学においては付け足しであり、G7首脳会議で何度か写真に写る立場に甘んじなければならなかった。何か重大なことが起これば、EUは強い言い回しの声明を出し、大きな決断はロンドンやパリに委ねられた。事態が深刻になった場合には、ブリュッセルの空港近くに北大西洋条約機構(NATO)本部という米国主導の同盟の立派な遺物がある。 EUも国際問題で一流プレーヤーになれる しかし突然、文字通り一夜にして、ロシアのクリミア占領は欧州の高級官僚たちを、EUが国際問題で一流プレーヤーになれるという事実に目覚めさせたようだ。ロシアがEUを戦略的な脅威と見なすのであれば、自分たちにせめてできることは、EUを同じように見ることだ――。欧州出身の外交官たちが突如、こう口にしている。 「EUが他のあらゆる事案でやっているように、退屈な実務作業としてこれができたはずだと想像するだけだったら、できなかったことは意外ではないはずだ」。ブリュッセル駐在のあるベテラン外交官は、危機以前のウクライナに対するEUのアプローチについてこう語る。「政治から政治を丸ごと取り除くことはできない」 ロシアによるクリミア占領以降、ブリュッセルでの密室での討議に携わっているEU高官らは、いくつかの加盟国には依然として狭い、散漫な短期主義の兆候が見られると言う。だが、大国は次第に、たとえ自国の短期的な痛みを犠牲にしてでも長期的な目標のために力強い集団行動を呼びかけるようになったという。これはまさに戦略的思考の定義そのものだ。 「通常、彼らが一緒に考えることは一切なく、ともに考える時には短期的なことを考える」。シンクタンク、カーネギー国際平和財団のブリュッセル支部を4年前に立ち上げて以来、「戦略的な欧州」を唯一訴えてきた元ドイツ防衛省高官のヤン・テシャウ氏はこう語る。「彼らは今、一緒に長期的に考えている。これで我々が目を覚まさないのであれば、何が起きても目は覚めないだろう」 EUの常で、この目覚めの立役者はドイツだった。東西統合後のほとんどの期間、ドイツとロシアの関係は取引関係であり、エネルギーとビジネスの深く、広範な関係に基づくものだった。東欧諸国の人々は今も、東欧を迂回してロシア産ガスをドイツに運ぶバルト海経由のロシアのパイプラインを支持したドイツの10年前の決断に腹を立てている。 だが、10日前、ドイツのアンゲラ・メルケル首相はロシアのウラジーミル・プーチン大統領と連日のように電話で会談した末に、EU緊急首脳会議で制裁に向けた予想以上に強い動きを支持した。ドイツの商業的利益は戦後の国際システムの維持という集団的な目標に組み込まれた。制裁の最初の対象は17日に外相らが決める見通しだ。 こうした戦略的思考は一時的な発作である可能性もある。EUの最近の実績は心強いものではない。アラブの春の際は、南方の近隣諸国に対するアプローチを真剣に見直すという再三の誓いにもかかわらず、EUは概して夢遊病者のようにさまよった。北アフリカを支援できるような長期戦略――特に、地中海南岸諸国の農産物や繊維製品に対するEU市場の開放――は短期的な保護主義によって阻まれた。 ユーロ危機時よりは有望な結果になるか だが、EU創設の父として知られるフランス人政治家のジャン・モネは、欧州は「危機を通じてのみ形成される」と語ったことがある。 この言葉は、そのような形成が数百万人の失業者も生むことになったユーロ圏危機の最中にあまりに頻繁に好意的に引き合いに出された。しかし、もしかしたらウクライナでは、もっと有望な結果となるかもしれない。 By Peter Spiegel in Brussels http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/40200 中国外交とウクライナ:試される内政不干渉の原則 2014年03月18日(Tue) The Economist (英エコノミスト誌 2014年3月15日号)
ウクライナ危機によって、中国の外交政策の中心にあいた穴があらわになった。 中国の有人潜水船、水深4027メートル達成 内政不干渉を強調する中国だが・・・〔AFPBB News〕 覚えの悪い相手には、何度でも繰り返す。中国外交部での記者会見が、同国の政策における内政不干渉の原則の重要性を強調せずに終わることはほとんどない。最近では、ウクライナに関する立場を質問されると、報道官は必ずこの原則を持ち出す。 だが奇妙なことに、ロシアはクリミアの編入を巡り、想像し得る最も粗野な方法でウクライナの内政に干渉しているが、報道官がウラジーミル・プーチン大統領やロシアを批判することは決してない。西側の外交政策に偽善の疑いがあればすかさず噛みつく中国だが、今や自らもダブルスタンダードを主張しているようだ。 実際のところ、中国は以前からずっとそうだった。しかし、今回のウクライナの危機は、中国の「原則に基づいた」外交の矛盾をさらけ出した。 中国は明確にロシアの側についているわけではない。むしろ、すべての当事者に対し、対話と交渉を通じて相違点を解消するよう求めている。米国が既に実行し、欧州が今後実施の可能性があると警告している制裁には反対の立場だ。さらには状況の「複雑さ」についてくどいほど言及している。 しかし、米国は中国に働きかけ、ロシアを明確に非難するよう説得しているものの、今のところそうした動きはない。バラク・オバマ米大統領と中国の習近平国家主席の間で電話会談が持たれたが、それでも中国の台本が書き換えられることはなかった。中国の報道機関によれば、習主席と中国は「すべての当事者が対話と協調によって互いの相違に向き合う」ことを望んでいるという。 中立の姿勢は実質的なプーチン支持 ロシアの弱い者いじめ的なアプローチに関し、中国は建前として中立の姿勢を取っているが、この態度は実質的にプーチン大統領の支持につながっていると、シンガポールにあるリー・クアンユー公共政策大学院の黄靖氏は指摘する。 中国の指導部にとってこうした姿勢が最善の選択に見えるであろう理由はいくつか考えられる。まず、ロシアは中国と同様に国連安保理の常任理事国であり、戦略的、外交的に重要なパートナーだ。ロシアはイランやシリアをはじめとする様々な国際問題で、中国と歩調を合わせ、米国とは反対の立場を取っている。 また、2月にビクトル・ヤヌコビッチ氏をウクライナの大統領の座から引きずり降ろした民衆の力による革命とされる動きをロシアは嫌悪しているが、これは中国も同様だ。ヤヌコビッチ氏の失脚につながった首都キエフ中心部での衝突は、一部の人にとって、失敗に終わった1989年の北京での民主化運動を思い起こさせるものだった。 この民主化運動以降、東欧や旧ソ連諸国、さらに3年前には中東でこのような動きがあるたびに、中国の指導部は自国民がどう反応するのだろうかとやきもきしてきた。 案の定、今回もマイクロブログサービスの新浪微博では、一部ユーザーが詩的な例えを披露した。多くのフォロワーを持つある人物は、「キエフの夜明けは近い。中国の首都にかかる月は、いつまで満月でいられるだろうか?」と問いかけた。この投稿はその後、検閲によって削除された。 ロシアと同様、中国はヤヌコビッチ氏の失脚につながった政情不安の背景には西側の干渉があると見ている。中国の国営通信社、新華社は3月7日付の論説で、ウクライナにおける西側の「失態」をこう嘆いている。「民主的と称する、西側支持の政府を設置するという西側の戦略は、何一つ成果を上げることができなかった。それどころか、自らが引き起こした混乱を収める能力も、知恵も持ち合わせていない」 中国共産党の日刊紙、環球時報は、「世界はロシアの抵抗を、西側の列強に対する多くの国の不満と捉えるべきだ」と主張している。 西側の干渉はダメだが、ロシアの干渉はいい? このように、西側の干渉とされる行為については積極的に非難しながら、中国の報道官はロシアによる同様の行為については口をつぐみ、時には好意的な態度さえ示している。しかし、こうしたやり方によって中国が孤立する気配はない。その他のアジア諸国も、ウクライナに関しては当たり障りのない発言が相次いでいる。 インドの国家安全保障顧問を務めるシブシャンカール・メノン氏は「満足のいく解決」を目指してほしいという偽善めいた希望を表明しつつ、「ロシアとその他の国々の正当な権益が関わっている」点を認めている。インドは防衛をはじめとする案件で長年にわたるロシアとのつながりがあり、さらに現在は米国との関係がややぎくしゃくしている。インドは恐らくロシアと同様に、場合によっては近隣諸国への影響力を行使したいとの腹づもりがあるのだろう。 日本でさえも、先進7カ国(G7)が表明したロシアへの激しい非難に名を連ねたものの、それ以外では率直な態度を示すことがなく、制裁の適用も回避したい意向だ。安倍晋三首相が率いる政権は、ロシアとの関係改善を重視している。ロシアは日本にとって重要なエネルギー供給国であるとともに、日本が領有権を主張する北方4島を実効支配している国でもある。 中国にとって、ロシアによるクリミア併合は、同国の外交政策の最も基本的な原則に反する出来事のように見える。しかも、それ以上に気がかりな点もある。3月16日にクリミアで行われる、ロシアによる占拠の是非を問う住民投票は、中国にとっては空恐ろしい概念をはらんでいる。仮にチベットやウイグル民族が、その国際的な地位を問う投票の機会を与えられたとしたら、と考えてみれば分かるだろう。 もう少し非現実的ではない事例としては、台湾に住む人々の場合が考えられる(インドも同じような不安を抱いているに違いない。インドが実効支配し、パキスタンが領有権を主張するカシミール地方の一部と、厄介な共通点を見出しているはずだ)。 北京にある中国人民大学に所属する国際関係の専門家、時殷弘氏は、このような国民投票は中国にとって決して認められないと強調し、習主席がプーチン大統領に対し、投票の中止を要請していると述べた。ただし、「それでも中国が公にロシアを批判することはあり得ない」と言う。 弱いものいじめに活路を見いだす中国 もし時氏の言う通りであれば、中国は二兎を得ることを狙っているのだろう。ロシアを批判することはないが、あからさまにロシアの側につくこともなく、西側を敵に回さないようにしている。その一方で、中国の外交政策の「原則」は絶対的だとしきりに主張し続けている。 中国の近隣諸国は多くが同国との領土紛争を抱えているが、こうした国々にとって、ロシアがその勢力圏で取っている強引な戦術について中国が意見を表明しないことは、中国自身が自らの権利を主張する地域で同様の戦略を採用する可能性を示唆しているように映るだろう。 中国の王毅外相は、中国は「私たちのものなら寸土といえども必ず守る」と明言している。これには恐らく、中国が実効支配していない地域も含まれているはずだ。中国はロシアと同じく、弱いものいじめをする国と見られることで、何かを得られると考えているのだろう。 しかし、こうしたやり方は代償を伴う。中国の政策には一貫性がなく、日和見主義に映り、国のイメージやソフトパワーが損なわれてしまう。もし本当に世界的な大国として尊敬を得たければ、世界的な責任を果たさなければならない。状況が厄介になったからといって、その役割を投げ出すことなどできないのだ。 |