http://www.asyura2.com/14/hasan86/msg/382.html
Tweet |
年金制度の「改悪」を止める方法
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38618
2014年03月16日(日) ドクターZ 週刊現代 :現代ビジネス
厚生労働省が自民党の厚生労働部会に、年金改正の案を持ち出した。
具体的には、現在60歳までの支払期限を65歳まで5年延長。また、マクロ経済スライドの適用を厳格にして、受取額が目減りする内容も含まれているという。
漸次的にこうした「改悪」が続けば、今後どこまで制度が国民に不利益なものにされるのかわからない。年金はどうなってしまうのか。
確かに高齢化によって、若い世代が払う保険料のほとんどが引退世代に所得移転されるという現在の「賦課方式」の仕組みでは、年金財政はもたなくなっている。一方で、多くの国民が年金は自分たちの支払う保険料が老後に自分のところに返ってくる「積立方式」と勘違いしている。
この問題を解決する方法は二つしかない。国民の「誤解」にあわせて年金の賦課方式を積立方式に改めるか、国民の「誤解」を改めるか、である。
前者のように、年金制度を「賦課方式」から「積立方式」に変更するためには100年以上の移行期間を要するが、少しでも積立方式に変えていく方策があってもいいだろう。
後者の場合、今の年金保険料を年金保険「税」に名称変更するのが第一歩となる。「税」であれば、国民が自分の老後に返ってくると誤解することもなくなる。さらに、年金保険料の徴収を年金機構が行うのではなく税務署が行うようにすれば、年金保険「料」の「未納」は、年金保険「税」の「脱税」になって、税務署が強制的に徴収するようになる。実は、今でも年金保険料の法的な性格は税と同じだが、年金機構は人員がいないので強制徴収を事実上怠っているだけである。
要するに、長期的には、今の「賦課方式」を幾分か是正して「積立方式」の要素を取り入れながら、短期的な施策として年金保険料を「税」として扱うために歳入庁を構築することが必要だといえる。こうした施策を行えば、年金制度を国民が損得で見ることはなくなるし、国民の「誤解」も生じなくなる。
その上で、今の年金制度の範囲内でもできる改革を行うことで、さらに制度はよりよいものになりえる。
例えば、今の年金制度では、給付金が雑所得として課税されるので、ある程度は所得格差が是正される。しかしながら、高所得者でも控除措置があり、課税所得が少なくなるので、所得格差は残されたままになっている。そこで、少なくとも高所得者の控除措置は認めない方向に改正し、同時に低所得者の控除を増やしてあげれば、所得格差が少なくなって所得再配分をうまくできるようになる。
これらの施策を行わずに、単に年金財政が大変だからといって、支払期限の引き延ばしや受取額の減額を行えば、国民の不満がいつか爆発するだけだ。
さらに、もっと国民の理解度を高めて、「良き理解者」にする方法もある。
今の年金給付は、個人の健康状態抜きで、過去に支払った保険料によって一定の算式で決まってくる仕組みになっている。しかし、国民は年金のほかにも医療・介護などで国に保険料(税)を支払っている。人によっては、医療・介護より、年金を充実して欲しいということもあるだろうし、その逆もあり得る。
どうせ国に入る保険料(税)に色はついていないのだから、受けられる給付の総額の範囲内で各給付を一定の範囲で増減させてはどうか。そうすれば、年金に限らず各種の公的保険に対する理解度が高まるのではないか。
『週刊現代』2014年3月22日号より
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。