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図8 逆相関する労働分配率と人件費の伸び率
給料:賃金アップを阻む「労働分配率論」のまやかし −脱デフレの「8大落とし穴」【7】
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140315-00012073-president-bus_all
プレジデント 3月15日(土)12時15分配信
安倍晋三首相は消費にお金が回るよう、日本経済団体連合会などの財界に再三にわたって2013年の春闘で労働者の賃金をアップするように要請をしてきた。セブン&アイ・ホールディングスが4年ぶりのベースアップを行い、組合員平均で賃金を昨年比1.5%引き上げるなど、確かに一部では応える動きが見られた。しかし、大半の企業は賞与のアップや定期昇給にとどめて、賃金改善につながるベースアップには手をつけないままで終わった。
経営サイドが賃金アップを渋る際の“天下の宝刀”が労働分配率である。「すでに労働分配率が上昇していて、これ以上賃金を引き上げると、収益を悪化させて雇用削減に踏み切らざるをえなくなる」という理屈を持ち出してくるのだ。労働分配率は「人件費÷(営業利益+人件費)」で求められる。図8は人件費の伸び率と労働分配率の推移を示したグラフ。これを作成した熊野さんは「労働分配率が上昇しているのは営業利益が減っているから。課題は人件費を抑えるかではなく、むしろ営業利益をいかに増やすかなのです」と指摘する。
続けて日本総合研究所調査部長の山田久さんが次のように語る。
「金融緩和で円安に振れて輸出企業が少し楽になるなど、アベノミクスを評価できる面もあります。ただし、金融緩和だけでデフレ脱却を図ろうとすると、バブルになる危険性があります。ここからは財政再建とともに成長戦略の実現へ重点をシフトさせていくことが大切です。成長戦略が軌道に乗って企業業績が持続的に上向いていけば、それにともなって賃金もアップし、物価も安定して上昇していきます」
日本はこれから人口減少の時代に入り、国内の市場が徐々に縮小していく。景気循環で好況の波を待っているような姿勢では、企業収益を増やしていくのは到底無理。いままで手をつけずにきた不採算部門を見直し、成長戦略に基づいた新たな収益セクターに経営資源を集中的に投じていくリストラクチャリングが待ったなしの状態なのだ。
そこで必要なのが企業間での労働移動がしやすい環境づくりである。13年1月に発足した産業競争力会議で、再就職支援金の支払いとセットでの解雇を含め、解雇ルールの合理化や明確化が話し合われていたのも、まさにそのためなのだ。労働者を解雇せずに一時的に休業させた企業を支援してきた雇用調整助成金についても、転職向けの教育訓練や転職先への助成など、成長産業への円滑な人材移動を促す制度への切り替えも検討され始めた。こうした点について山田さんが語る。
「解雇ルールの明確化といっても、現場はケースバイケースで、そう簡単にはいきません。あくまでもセーフティーネットとのセットで考えるべきです。たとえば、官民共同出資で人材サービス会社をつくり、当面の雇用を維持することも重要でしょう。政労使ともに痛みをともなうわけで、それぞれが短期的な損を受け入れる一方、長期的な得を受け取れるように、80年代のオランダで労働市場改革を成功に導いたワッセナー合意の日本版の締結を目指したらどうかと提言しています」
リストラをプラスと捉えるのか、リストラを避けて座して死を待つのか、腹を括るときが迫っているようだ。
伊藤博之=文
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