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中国 謎の「第三者の投資家」無価値の理財商品買う理由〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140315-00000003-sasahi-bus_all
AERA 2014年3月10日号より抜粋
中国のバブルに貢献した山西省呂梁市の石炭事業。その資金繰りの際に利用されたと思われるのが、「影の銀行」の代表的な手段である「理財商品」だ。日本でいうところの「財テク商品」で、「信託会社」と呼ばれるノンバンクを使い、銀行が融資しづらいハイリスクな石炭事業に投資する金融商品をつくる。銀行は販売窓口となってこの商品を富裕層などに売るのだ。
利率が高いために投資家から人気を集めてきたが、ここにきて不吉な知らせが入ってきた。山西省内最大の民営石炭企業「山西聯盛」が経営難に陥り、理財商品への元利払いが止まったというのだ。さらに呂梁市内の石炭会社「山西振富」が1月、事実上破綻し、これに投資していた理財商品30億元分の元利払いができなくなる恐れがあった。
中国信託業協会によると、信託会社が手がける金融商品の残高は、2013年末で10兆9千億元(約185兆円)。理財商品のような銀行以外の貸し出しである「影の銀行」の全体像は、正確には分かっていない。しかし、米大手銀行JPモルガン・チェースのエコノミスト、朱海斌氏は「個人的な考え」と前置きし、こう推測する。
「13年末に中国のGDP(国内総生産)の8割を超えた可能性がある」
日本円で実に800兆円近い額だ。その多くが石炭産業のように、銀行から融資を満足に受けられないようなリスクの高い投融資に向かった可能性がある。呂梁市のような事例は「氷山の一角」というのが大方の見方で、今後もデフォルト危機が続くのでは、という不安が広がる。
もっとも、山西振富へ投資した理財商品は、名前の公表されない「第三者の投資家」が突然あらわれ、元本すべてと利息の一部の支払いに応じ、デフォルトを崖っぷちで免れた。ほとんど無価値になった事業に投資するとは、いったいどういうことなのか。金融業界関係者が解説する構図はこうだ。
もともと商品は、中国工商銀行の発案で設計された。表向き工商銀行は、ただの販売窓口なので、デフォルトしても法律上の支払い義務はない。しかし、銀行の信用は大きく損ねる。そこで第三者のスポンサーを仕立て、その資金を銀行が融通する形で事実上、救済した──。
さらに背後には、市場の動揺を恐れる政府がいるとみられている。だから、元利払いの延期を続けている山西聯盛の場合も、「最終的には政府が救済する」という噂が絶えない。
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