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日本の工場が危ない?スーパーの値下げ圧力で疲弊、深刻化する安全・衛生軽視
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140314-00010002-bjournal-bus_all
Business Journal 3月14日(金)3時37分配信
「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/3月15日号)は、『どうした日本の製造業 工場異変』という特集を組んでいる。「メーカーでは事故・事件が多発。コスト競争に負けた工場の閉鎖も相次ぐ。ものづくりの現場で何が起こっているのか」という内容だ。
特集記事Part1『工場の安全 工場でつくるモノは安全か』では、ここ数年相次いでいる化学メーカーの重大事故を紹介している。その概要は以下の通り。
・2011年11月、東ソーの南陽事業所で爆発、1人死亡
・12年4月、三井化学の岩国大竹工場で爆発、1人死亡
・12年9月、日本触媒の姫路製造所で爆発、1人死亡
・14年1月、三菱マテリアルの四日市工場で爆発、5人死亡
世界的に重大な事故が頻発した70〜80年代の教訓から、化学工場は安全な工場になったが、それゆえに安全が当たり前となり、そこで働く従業員は「化学反応に対する基本的な理解さえも不足している」(安全工学会専門家)という。
また「化学はマイナーな産業」になり、優秀な人材を採用しにくくなっている。「研究職はまだ人気があるが、製造現場に行きたい人間は1割もいない。若手が入らないから議論がなくなり、もっと吸収しようという現場の意欲がなえている」(大手化学首脳)のも一因だ。
●続々と閉鎖する工場
特集記事Part2『工場の立地 工場は日本で成立するのか』では、工場の撤退が相次ぎ、地域の雇用・税収が減っていく現状を危惧する。工場跡地の多くはイオンモールなどに生まれ変わっている。
昨年3月末に閉鎖されたソニー子会社のソニーEMCS「美濃加茂サイト」では、人員(岐阜県在住)2160人のうち非正規社員は8割弱(1675人)、このうちの約半数に当たる835人はブラジル人など外国人労働者だった。雇用保険に加入していたために、ほとんどの外国人が失業手当を受給できているが、地域に与える影響は大きい。
特集記事Part3『工場の未来 それでも生き残る工場はどこだ』では、電力、ロボットも自前で調達し、超効率化を図る世界2位の建設機械メーカー・コマツや、完全一貫ラインの最新設備で匠の技を磨く工作機械大手・オークマの取り組みなどを紹介している。
●衛生面の意識が低い食品工場の実態
今回注目したいのは、マルハニチロホールディングス傘下・アクリフーズの農薬混入事件で明らかになった食品工場現場における危険性だ。日本の食品工場に詳しい専門家は、次のように指摘する。
「あれは日本の平均的な工場の話。大きなニュースにならないレベルなら、他にいくらでもある」
"食品衛生"は食品テロと並び、食品工場を悩ませる2大問題だ。髪の毛や虫が食材に入り込めば、意図的ではないとはいえ、クレームに直結する。だが、中には衛生面の意識が足りない食品工場も見られる。
「ある工場の従業員が手を洗おうとせず、『手袋するのになぜ手を洗わなければならないのですか?』と質問してきた」従業員もいたという。「汚れた手で手袋をつかめば当然、手袋の表面に菌が付着する。その手袋で食品を触ったらどうなるのかの意識が薄い」(専門家)
また、従業員が作業着を自宅に持ち帰り、洗濯をしているケースも多い。
「クリーニング業者を利用するとコストが上がるからだが、これでは衛生管理もテロ対策もできない」と別の専門家も嘆く。
食品工場は慢性的な人材不足に陥っており、従業員の質を見極められない。正社員、派遣社員、パートといった雇用形態の多様化に加えて、外国人労働者も混在し、人の出入りが激しい。
「今、工場に必要なのは監視カメラなど『ハード』の対策に加えて、従業員が食品安全の意識を持ち、不満を抱きにくい環境をつくる『ソフト』面での対策だ(略)食品工場はまさにゼロから見直す時期に直面している」と東洋経済編集部はまとめる。
●スーパーから値下げ圧力がかかる冷凍食品
しかし、食品メーカーも苦しい事情がある。スーパーからの値下げ圧力だ。スーパーにとって冷凍食品は、希望小売価格や参考価格がなきに等しい安売り商品。広告チラシでも集客の目玉に欠かせない特売品だ。売価が安くても賞味期限が約1年と長いことから、廃棄ロスが生じにくく、粗利益率は2割強と生鮮品並みのまずまずの利益が取れるのだ。
最近急増中のイオンの都市型スーパー「まいばすけっと」では、広い売り場面積を割いて安価な冷凍食品が展開されているほどだ。「大手スーパー側は決して認めないものの、販売不振や価格競争を背景に特売時の値引き幅をアピールしようと値下げ圧力を強めている」という(特集記事『スーパーからの値下げ圧力も 冷凍食品、なぜ投げ売りされる?』)。
食品メーカーにも、常にコスト削減をもせざるを得ない厳しい現状があるのだ。なお「週刊東洋経済」は3月より新編集長に替わった。今回の労働者視点も入った工場の大特集を見る限り、今後も期待が持てそうだ。
松井克明/CFP
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