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春闘と蠢動
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52565391.html
2014年03月12日 在野のアナリスト
春闘の集中回答日でした。総じてベアに応じるなど、好調な交渉結果ですが、最低2%が定昇を含めるとぎりぎり達成できる程度ですので、消費税増税分は担保できそうです。但し円安によるコストプッシュインフレ分は吸収できないので、価格転嫁すれば消費は鈍化します。しかし現状、中小企業がそれを吸収している形もみられるので、益々中小企業には苦しい経営がつづくことになるのでしょう。むしろ政府主導で、経団連傘下の企業が賃上げに応じるのは、法人税減税とセットでのことであり、政府への忠誠の尽くし方で税制議論が決まる、という言わば脅しが利いているため、起こることです。これで政府、財務省は消費税10%への布石が打てた、とニンマリしているのでしょうが、海外から怪しい話がいくつも伝わってきました。
今日の日経225が大きく下落したのは、中国不安です。銅価格の下落は、中国企業が担保として使う銅の需要減退を見込んでのことですが、逆にそれが担保価値の低下という、現在は健全とみられる企業にまで影響してくる。一つ転びだすと、崖をすべり落ちる中国経済の危うさが、こんなところにも露呈しています。中国企業初のデフォルト、シャドーバンキングのデフォルト、等がここ直近で重なるのも、国が暗黙として与えていた信用の崩壊であり、今後まさに試練を迎えます。
中国は『過去の社会主義体制』の信用を、これまでは担保としていました。社債にしろ、債券にしろ、国が保証すると暗黙裡に考えられていたからこそ、安易な投資が横行していた。そこにメスが入れば、今度は資金調達に窮するところが続出します。ここに来て、預金金利の自由化、という話も国家保証を暗に否定します。要するに、投資家、資金の貸し手となるところは、自らの裁量権により投資先を決め、損失も自ら引き受けなさい、と言っているのです。
ここに来て、それでも米経済は堅調、と語る向きも多いですが、個人的にはそう考えていません。米国は投資型社会であり、ここ数年は日米欧の株高、債券高、そこに来て米国では不動産市場の急上昇、という要因で消費が堅調に推移してきました。しかし新興国不安が顕著となり、先進国の市場もすでに高値圏で、この先は伸び悩むことが想定されます。投資型社会で、停滞は減速と同じです。つまり投資先がない、投資しても逆資産効果になる、となれば当然、消費も鈍化します。資金が巻きもどり、ドル高を志向しやすくなる点もマイナスでしょう。
ここに来て、GMの長年にわたるリコール隠し、巨大債券運用会社PIMCOの内輪もめ、等は米企業にも風向きの変化を感じます。特にPIMCOのケースは、損失計上からの投資戦略上の違いが露呈した形です。米国の運用会社にも選別が必要となり、安易に運用先を決められない、というジレンマを抱えた中で、投資型社会が成長できるはずもありません。しかも次に危機が訪れるときは、新興国経済が総崩れ、先進国は金融緩和の手を打ち尽くした後の、未曾有の危機となります。
中国の崩壊が意外と早い、むしろここまでよく引っ張ってきた、というレベルです。特に今の習体制は、腐敗撲滅を世論へのアピールとして利用しているため、企業倒産もそうした流れの中でもおきてきます。それが崩壊を早め、銅価格の下落、資源価格の下落、それに基づく新興国経済の変調、そうした形はすでに豪州で始まった。春闘で浮かれ気味に報じるところもありますが、明らかに今後、世界経済は試練にむけてすすんでいるのであり、政策対応を一歩間違えると、泥沼に陥ります。これが春闘どころか、景気低迷への蠢動なのか? 見極めることが大事なのでしょうね。
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