http://www.asyura2.com/14/hasan86/msg/278.html
Tweet |
3月7日、記者会見を行う佐村河内守氏(撮影=山本宏樹)
相次ぐゴーストライター騒動、利用広がる出版業界での実態は?執筆方法、報酬、法的問題...
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140311-00010004-bjournal-ent
Business Journal 3月11日(火)4時42分配信
2月以降、音楽業界や出版業界におけるゴーストライティングをめぐる騒動が相次いでいる。
まず大きく世間を騒がせているのが、10万枚以上のセールスを上げた『交響曲第一番HIROSHIMA』『鎮魂のソナタ』などの代表曲を持ち、「全聾作曲家」として知られる人気作曲家・佐村河内守氏について、2月6日、桐朋学園大学非常勤講師の新垣隆氏が、18年間にわたり佐村河内氏のゴーストライターをしてきたと告白した件である。3月7日には騒動が起こってから初めて佐村河内氏が記者会見を行い、ゴーストライター利用は認めたものの、「私(=新垣氏)が録音したものを彼(=佐村河内氏)が聞き、コメントすることが何度もあった」という新垣氏の発言を「事実ではない」として、同氏を相手取り名誉毀損で裁判を起こす意向を明らかにした。
そして佐村河内氏が会見を行った7日、漫画『ブラックジャックによろしく』(講談社)などの代表作を持つ漫画家・佐藤秀峰氏が、ライブドア元社長の堀江貴文氏の小説『拝金』(徳間書店/2010年)、『成金』(同/11年)について、自身のホームページ上で「実際には堀江さんが文章を書いているかのようなイメージがありますが、書いておりません。代筆者がいる」と指摘。佐藤氏が発行元の徳間書店にも事実を確認したが、「読者への説明をする必要はない」との回答が寄せられたという。ちなみに佐藤氏は、両小説の表紙のイラストを担当している。
これらの騒動について真相はいまだに明らかではないが、特に出版業界においては「あの大物作家の作品は、いつもほかの人物が書いている」「有名タレントの著書などは、本人ではなくゴーストライターが書いている」など、以前からゴーストライティングが広く行われているとの声もしばしば聞かれるが、実態はどうなのであろうか。
出版業界関係者は、次のように明かす。
「世間的に名の通った出版社が出している有名作家の本でも、ゴーストライターにより書かれたものは多いです。例えば、ある出版社の有名作家の本は大部分がそうですが、口述筆記に限りなく近いもので、ゴーストライターが著者本人に話を聞き、本人が使うボキャブラリーを比較的忠実に再現しています。出版社によっては、奥付に『構成』として実際に執筆したゴーストライターの名前が記されることもあります。
また、著者が芸能人の本は大半がゴーストライターにより書かれていますが、専門家が著者のビジネス書でもしばしばゴーストライターが使われます。その理由としては、例えば著者が誠実であればあるほど執筆に多大な時間を要してしまい、いつ脱稿できるか予定が立たないため、出版社側の意向でゴーストライターを立てるといったものです」
そんなゴーストライターの仕事だが、執筆に当たってはさまざまなノウハウが必要とされるという。
「口述筆記のみだと1冊で200〜300ページにも満たないことが多いため、ゴーストライターが著者の過去の著書や論文などから引用して内容を膨らませたり、全体の構成を考えたり、さらに著者の過去の発言との整合性確認も行います。このほかにも、専門家が一般読者向けの本を書く場合には、難解でとても一般読者には読めない内容になってしまうケースが多いので、まず元となる原稿を専門家が書き、それをゴーストライターが一般読者向けにわかりやすくリライトすることもあります」(同)
●気になる報酬や法的問題
ここで気になるのが、ゴーストライターを利用した場合の著作権や報酬などがどうなるかであるが、別の出版業界関係者によれば、通常は出版社が原稿を買い取ってしまうため、ゴーストライターに著作権はないという。
「あくまで名目上の著者が著作権を持つため、増刷がかかってもゴーストライターは増刷分の印税収入を享受できません。ではゴーストライターの報酬はというと、初版分のみの1割の印税(=販売価格の10%)を、著者とゴーストライターで5:5、もしくは7:3で分け合うイメージです。つまり通常、著者の印税は1割ですが、ゴーストライターを利用した本では、著者の印税は通常より低くなります。ただし、本を出せば必ず売れるような著者の場合には、1割、もしくはそれ以上の印税が支払われます」
こうした出版業界におけるゴーストライターの利用であるが、法的に問題はあるのだろうか。弁護士法人アヴァンセリーガルグループのパートナー弁護士・山岸純氏は、次のように解説する。
「通常、一般人が音楽CDや書籍等を購入する時は、『この人が作曲した音楽だから』『この人が書いた本だから』といった動機や期待が少なからず存在します。それにもかかわらず、真実は、まったくの別人が作曲や執筆をしていた場合、購入者にとっては『(作品の良し悪しには関係なく)騙された感』が生じてしまいます。
そこで、著作権法は、こういった一般人の期待や信頼を守るために、『実際に作曲したり、執筆したりした人以外の別人の名前で著作物を売ったりした場合、1年以下の懲役か100万円以下の罰金、又はこれの両方の罰を与える(121条)』として厳しく取り締まっているのです。このように、法が罰則を設けているくらいですから、出版業界におけるゴーストライティングには、まったく問題がないとはいえません」
もし出版業界で 、これまで"業界の慣習"としてゴーストライティングが広く行われていたならば、著作権法、そして何より作品を購入する一般消費者が抱く期待という観点からも、業界全体がその慣習を考え直すべき時期を迎えているといえるのではないだろうか。
編集部
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。