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ロイターの記者がタイトルとした「経常収支赤字で財政赤字継続なら、「双子の赤字」になる恐れ」というのには苦笑した。
経常収支赤字と財政赤字が併行している状況を「双子の赤字」と呼ぶのだから、ただ定義を説明しているだけで、驚いたり恐れおののくような話ではない。
財政赤字は制御できないインフレをもたらさない限り深刻に考える必要はない。
経常収支の赤字も、世界レベルでのモノとカネの取引の反映でしかなく、経済(輸入)主体がドルなどの借り入れをせずに、必要なものを輸入できている状況ならそれほど問題視する必要はない。
とにかく問題は、コストが安いところで生産して輸入した方が儲けが大きいといった刹那的な利益を追い求める経済活動が、国内の供給力を衰退させることである。
(むろん、国内の需要が低迷していることも要因ではあるが)
供給力が衰退した状況から生まれるインフレは制御が難しく、円安も昂進させる。そして、円安の昂進がインフレをさらに昂進させ、それが円安を...という負のスパイラルに陥らせる。
現状の貿易収支赤字も、供給力の衰退と円安によるところ大である。輸出は円建てが50%ほどだが、輸入は70%がドル建てである。この差と円安を根拠に、貿易赤字(約11兆4千億円)の多くが説明できてしまう。
繰り返しになるが、人口構成の高齢化が進む日本では、世界に向けた産業力強化の戦略を立て、そのための設備投資を積極果敢に行わなければならないのである。
財政赤字を減らすことが問題の解決になるわけではない。財政赤字が増えてもそれが供給力増強につながるなら、そのほうが好ましいと言える。
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経常収支赤字で財政赤字継続なら、「双子の赤字」になる恐れ=財務省
2014年 03月 10日 12:12 JST
[東京 10日 ロイター] - 財務省は10日午前に開かれた財政制度等審議会(財務相の諮問機関)財政制度分科会に、実質2%・名目3%成長の「経済再生ケース」で、歳出を最も抑制しても、2020年度の国・地方を合わせた基礎的財政収支(PB)は6.1兆円の赤字が残り、20年度のPB黒字化達成は困難との試算を報告した。
財務省は1月に、国の一般会計ベースで、経済成長率3.0%と1.5%の場合について、歳出の伸びを自然体とするケースと歳出を効率化するケースにわけて一般会計の基礎的財政収支を公表していた。既に公表されていた4パターンに加え、今回、新たに歳出抑制の刻みを細分化して合計8パターンを算出。それによると、経済成長率3.0%の場合で、歳出の伸びを前年度比1.0%に最も抑制した場合でも、国の一般会計のPBは4.6兆円の赤字となった。
財務省はこの8パターンをベースに、歳出を効率化した場合の20年度の国・地方の基礎的財政収支を試算。実質2%・名目3%成長の「経済再生ケース」で、歳出の伸び率を前年度比1.0%に抑制しても、国・地方のPBは6.1兆円の赤字が残り、実質1%・名目2%成長の「参考ケース」では歳出の伸び率を前年度比0.5%に抑制した場合でも、12.1兆円の大幅な赤字が残る試算結果が判明した。
内閣府が1月に公表している「中長期の経済財政に関する試算」は、経済成長率は「経済再生ケース」と「参考ケース」に分けているが、歳出については「自然体」のみではじき出している。財務省試算は、歳出抑制の程度によって、どの程度、国際公約とする「国・地方を合わせて基礎的財政収支の均衡」に影響があるかみるうえで初めての試算となる。 財務省では「20年度の国・地方のPB黒字化を実現するには、国の一般会計のPBを黒字化させることが基本」とし、「各年度において、歳出の抑制、歳入の確保に最大限努力する必要」があるとしている。
<「双子の赤字」に懸念>
財政制度審議会では、高齢化による生産人口の減少など社会構造の変化を踏まえ、中長期的な財政の持続性確保について検討を開始する。この日の初会合に提出された財務省の資料では、今後考慮すべき事項として、1)団塊の世代の高齢化、2)日本の一般政府債務と家計金融資産の推移、3)経常収支の推移──の3点を指摘。
団塊の世代が2020年には71歳から73歳となり大半が労働力人口から被扶養人口に移行する問題で、「労働力人口の減少は経済成長の制約要因となり、所得税や保険料収入の原資となる雇用者報酬が減少する一方で、年金・医療などの費用の増加が見込まれる」と歳出歳入両面への影響を懸念した。
また「近年中に、家計金融純資産と一般政府債務の差がなくなる見込み」との見通しを示し、国内における「国債の安定消化」が動揺する可能性に警鐘を鳴らした。
2013年には経常黒字額が過去最少の3.3兆円まで落ち込んだ状況を踏まえ、財務省では「海外部門では、原油等の輸入額の急増により貿易サービス収支が赤字となっており、仮に所得収支の黒字を上回り、経常収支が赤字となった場合、財政赤字が継続していれば、いわゆる『双子の赤字』になるおそれがある」と指摘。「海外投資家の国債保有割合が増加する可能性があり、その投資動向は市場にも影響する」と警戒感を示した。
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吉川裕子
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