１００億円大盤振る舞いなのに…パナ社員が浮かない理由
http://gendai.net/articles/view/news/148483
2014年3月6日　日刊ゲンダイ

２０１３年４−１２月期は好業績／（Ｃ）日刊ゲンダイ

　パナソニックが前代未聞の「減らした給与の払い戻し」を行う。

　同社は、業績不振を受けて１３年度に組合員の賞与を２割カットした。ところが、実際にフタをあけてみると、１３年４―１２月期の連結当期純損益は、２４３０億円の黒字（前年同期は６２３８億円の赤字）に。そこで社員に利益還元となったわけだが、４月の月給に上乗せして払い戻す金額は、グループ会社の従業員を含めた６万人で総額１００億円。１人当たり１６万５０００円ほどになる。組合員は減らされた賞与の半分、管理職は減らされた年俸の４分の１に相当する。

　これを受け、各マスコミは歓迎の論調だ。

　だが、社員に聞いてみると、いまひとつ浮かない表情なのだ。
「返還額や幅などは、当社が発表したものではありません。ですから、特にこちらからコメントすることもありません」（広報部）

　広報担当者は浮かないどころか、つっけんどんにさえ思えるのだ。

　パナソニックは今月１２日、日立など大手電機６社と一斉に春闘のベースアップの回答日を迎える。労組側は「月額４０００円以上」を要求しているのに対し、経営側の回答は１０００〜２０００円ほどが予想される。

　このタイミングでの“返還”は、「社員のガス抜きでは？」と疑心暗鬼を生んでいるのだ。

「パナソニックは、４月１日付で北野亮氏の新役員就任など大幅な人事刷新を行います。異例の賞与返還は、求心力を高めるための“もち代”の意味合いもある。しかも、現在のパナソニックは大規模リストラで、社員の士気が極度に低下している状態。ライバルのソニーが資産を切り売りしている深刻な状況ですし、こうでもしないと、社員が浮足立ってしまうのです」（人事コンサルタント・菅野宏三氏）

　同社は１３年度に５０００人規模のリストラなどを行い、約６００億円の人件費を浮かせている。対外的なアピールにも成功したし、１００億円なら安いものだろうが、社員はしたたかだ。簡単には踊らされない。

コメント

01. 2014年3月08日 00:44:19 : S2UNHcosi6 パナソニック、いつリストラされるか分からない状況なので、社員も疑心暗鬼になっているのでしょう。かつての日本国内生産拠点も次々と閉鎖されました。かつて世界最大の白黒テレビ工場だった神奈川県藤沢工場は、今は住宅地ですか ? 大阪府茨木市にあった、ブラウン管のカラーテレビ工場も閉鎖されて売却されるようですね。 経営者の意識も昔とは違うようです。昔は技術者がつくりたいものをつくらせてもらえた。それが幾度の経営危機を経験した後、経営者が臆病になった。技術者の好きにさせないようになった。技術者も出したい製品を提案しても握りつぶされてしまうから、腐ってしまう。典型例がオーディオ製品です。テクニクスが全滅してしまった。ダイレクトドライブ・ターンテーブルも、リニアフェイズ・スピーカーも、どこに行ったの ? オーストラリアでもパナソニックは販売していますが、こちらで放送しているデジタルラジオがありません。ソニーは販売していますが、期待ほど売れていないので、参入を控えているのでしょう。 オーストラリアは広大な大陸なので、遠くまで電波が飛ぶ市民無線トランシーバーの需要が根強くあります。地元メーカーのGMEや、日本のアイコムが販売しています。パナソニックは、かつては日本国内でアマチュア無線機を販売していましたし、タクシー無線は今日でもやっていますから、その気になれば出せるはず。しかし出しませんね。完全に臆病になっていると思われます。 出したところで売れなかったら在庫処分で特別損失を計上することになりますから、巨額の赤字決算を何度も経験したパナソニックとしては、冒険はせず手堅く売れる商品のみを手がけたいのでしょう。しかし、そのような消極的な経営方針では、顧客は簡単に逃げてしまいますよ。やはり顧客をエキサイトさせる製品を出さなくては。

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