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ウクライナ情勢の緊迫化
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52564621.html
2014年03月04日 在野のアナリスト
ロシアのプーチン大統領が、ウクライナの正当な政権はヤヌコビッチ氏にあり、ウクライナからの要請で軍を動かす決議をした、旨の発言をしています。一見正しいようにみえて、実は大きな問題があります。エジプトにおけるアラブの春でも同様に、国民にはデモをする権利、選挙を要求する権利があります。ウクライナが内戦状態に入ったとしても、二国間の話し合いで軍事介入することは、国際法で認められていません。ナゼなら暴政、圧政に苦しんで国民が武装蜂起した場合、国の指導者が他国の軍を動かして鎮圧する、ということが常態化してしまうためです。
つまり、国連の調停による平和維持として軍を動かすならまだしも、暴政をくり返す首長を生き永らえさせるだけの軍事介入には、正当性がないのです。エジプトでも、米国は親米政権が倒れ、アルカイダ系の政権が誕生するときでも、口出しすることも軍を動かすこともできなかった。弁護士出身のオバマ大統領ですから、原理原則に固執してしまう面もありますが、それが国際的な流れでもあるのです。ロシアはそうした慣例に染まず、国連の同意すらないまま、他国へ軍を動かした。これを、米国は国際法の概念をもちだして非難している、ということになります。
欧州はロシアとの結びつきが強く、一時は投資も活発でした。欧州債務危機でかなり引き上げたとはいえ、未だにロシアでポジションをもつ層も多い。それでも、米国は経済制裁にむけ、議論を始めています。ただ米国も苦しいのは、ロシアは外貨準備としての米国債の保有も多い。ロシア資産の凍結をすすめると、米国債を売り立てて、当座の資金回収を急ぐでしょう。非常に考え難い手ですが、ロシアのもつ米国債を紙屑にし、米国債をもつ他国、投資家にむけては新たに発行する、というウルトラCもありますが、手間と実現性ではかなり低いとみます。
翻って、欧州はさらに経済制裁には後ろ向きです。先にも記したように、ロシアへのポジションの大きさは米国の比ではありません。ガスラインも同様に、立ち直りかけた欧州経済の打撃ともなってきます。それに、日本も欧州と似たようなものです。安倍氏が親露の方針を示し、何度も財界を連れて詣でていましたし、裏では投資話もかなりすすめていました。実際、動きだした案件もありそうですし、市場としてのロシアに魅力を感じて進出した製造業もあります。表向きの凍結はなくとも、ロシアへの逆風が吹けば、景気低迷による打撃をうけるのが必定です。
ウクライナによるクリミア割譲で手をうつのでは? との見方もありますが、ウクライナにとっては損失ばかりとなり、代償もないのでは合意できません。もしIMFや西側諸国から補填するのであれば、その資金の捻出元も必要です。きな臭いのは、この捻出元に、ロシアへの支援金を準備していた日本が挙げられそうで、まだそうした動きはありませんが、今後の話し合いの過程でこうした案件が浮上するようだと、日本は相当に損をする場面もでてきそうです。
日本の株式市場は反発しましたが、売り方の買戻しが中心でした。これもポジション落としというなら、その通りなのでしょう。また3月のメジャーSQが近づき、昨日辺りからロールオーバーの動きも活発になってきました。高いところでポジションを作った層も多く、ここでポジションを落とすのか、ロールオーバーするのかで、来週まで値動きが決まってくるのでしょう。しかしウクライナ情勢は、しばらく不安材料として浮上したことは間違いなく、ロシアへの制裁でコンセンサスがとれるか? そうした材料で暫く右往左往することになってしまいそうですね。
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