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2014.03.04 「日本」の解き方
シンガポールで開かれたTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の閣僚会合は合意に至らないまま閉幕した。
TPPのような多国間交渉では、しばしば合意は先送りされるので、それほど驚くこともないというのが一般論ではある。だが、日米間で下交渉が行われたにもかかわらず、合意に至らなかったのは、日米関係があまりスムーズでないという印象が拭えない。
日本では2012年12月に政権交代したが、米オバマ政権では13年2月に国務長官がヒラリー氏からケリー氏に交代した。それから1年たってもなかなか両国の関係がしっくりいっていないようだ。
昨年末の靖国問題では、米国は「失望」を表明し、同時期に進められた普天間問題への処理については、あまり評価していない。普天間問題での安倍晋三政権の対応は、民主党時代の大失敗を修正するものであり、オバマ政権も一定の評価ができるはずであるが、今年1月の名護市長選での反対派市長の誕生で水を差されたということもある。
9月の沖縄の統一地方選、11月に予定される天王山の沖縄県知事選の結果まで見ないと、安倍政権の取り組みを評価できない状態だ。
しかも、2期目のオバマ政権は、議会との関係がうまくいっていないという問題を抱えている。大統領が議会に通商協定の修正を許さず賛否だけを問える「大統領貿易促進権限(TPA)」法案も進んでいない。オバマ政権が自律的に交渉する権利を米国議会が承認していない状況だ。
このため、権限が委ねられていないオバマ政権は、日本に対し必要以上に強く出ざるを得ないのだろう。オバマ政権と協定を結んでも、TPAなしでは米議会に骨抜きにされる恐れがあり、日本を含め各国ともに疑心暗鬼だ。
一方、安倍政権では、ねじれ国会もない。また、重要5項目について聖域とする自民党は、政府の譲歩に一定の理解を見せている。TPP対策委員会の西川公也委員長は「やはり586品目を守り抜き、さらに必要な品目(の関税維持)を取れるように最大限、最後まで努力する」と強調しつつも、同時に「外す、外さないは政府の判断」とも指摘している。
こうした状況において、日米政府の事務レベルで交渉しても一定の成果は得られないというのは、ある意味で当然だ。決着への道筋は遠いが、その糸口になるのは、政治レベルで交渉するしかない。その山場は4月のオバマ大統領訪日である。それまでにどこまで日米間で詰めた話ができるのかがポイントであろう。
本来、事務レベル交渉であれば、関税と輸入割当の中間的な性格で、制度設計が自由な「関税割当」のような制度で両国間の利害を調整することが可能であるが、政治レベルでは何品目で譲った、取った、など議論が単純化されがちだ。せいぜい、何品目については10年間で関税ゼロだが、その他は20年で関税ゼロまたは決定を先送り、といった程度の話で落ち着くのではないか。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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