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厚生年金基金、「解散ラッシュ」のインパクト(日経新聞)
http://www.asyura2.com/14/hasan86/msg/136.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 3 月 03 日 01:30:00: igsppGRN/E9PQ
 

厚生年金基金、「解散ラッシュ」のインパクト
http://www.nikkei.com/money/features/29.aspx?g=DGXNAS5K3CA01_27022014K14800
2014/3/2 20:32 日経新聞


 企業年金の一種、厚生年金基金の解散ラッシュが始まりそうだ。背景には長年の厳しい運用環境、高齢化による構造問題がある。解散すれば保有株が売られ株価の下落要因となるのか。企業は年金債務にどう向き合っていくのか。気になるところを取材した。



代行返上して基金を解散する動きが広がっている(厚生労働省)


■負担耐えられず存続断念


 「年金受給者の著しい増加が予想されるので、掛け金を拠出する加入企業の負担が限度を超える恐れがあった」。苦渋の表情でこう語るのは、1月30日に解散した関東百貨店厚生年金基金の関係者だ。同基金には「ヤオコー(証券コード 8279)」など関東周辺の小売業約40社、約1万5000人が加入。2012年8月には400億円近い年金資産を抱えていた。すぐに解散が必要な財務状況ではなかったものの、加入企業を交えた約2年の検討期間を経て、解散を決断した。


 「厚生年金基金制度の終わりが始まった」。企業年金のコンサルティングを手掛けるオーヴァル・リスクマネジメント・サービシーズの宮原英臣日本支社代表が言う。足元で加速しているのは厚生年金基金解散の動きだ。13年3月末に560あった基金のうち、昨年10月までに100近い基金が解散方針を決定。昨年12月にはアサツーディ・ケイ(9747)などが加入する日本広告業厚生年金基金、今年2月には堀場製作所(6856)などが加入する京都機械金属厚生年金基金も解散を決めている。


■解散か他制度に移行か


 こうした動きを後押ししているのが、4月施行の改正厚生年金保険法だ。財政難の基金に解散を促す法律で、昨年6月に成立した。AIJ投資顧問による年金消失事件で基金の財政難問題が表面化したことが、法改正のきっかけとなった。財政状況が悪化している基金は解散するか、他の制度に移行しなければならない。


 「存続にはかなり厳しい財政基準を満たさなければならず、多くの基金は解散を選ばざるを得ないのではないか」。企業年金に詳しいファイナンシャルプランナーの山崎俊輔氏はこう話す。9割近くが解散を選ぶとの見方もある。厚生年金基金にとってはいわば「大解散時代」の幕開けだ。



 そもそも厚生年金基金とは企業年金制度の一部分で、国民年金、厚生年金保険に上乗せする「3階建て部分」にあたるもの。「代行」と呼ばれる形で公的年金の一部を国に代わって運用。企業独自の年金も組み合わせて上乗せ給付している。1966年にスタートし、90年代後半には全国で1800を超える基金に約1200万人が加入していた。



 基金を巡る情勢が一変したのは確定給付企業年金法が施行となった2002年だ。将来的な基金運営の厳しさを見越し、大企業を中心に代行部分を国に返上したうえで基金を廃止する動きが広がった。現在残っている基金は中堅・中小企業が業種別に集まって設立した「総合型」がほとんど。「大企業が単独で運営する基金に比べて合意形成が難しかったことからまだ残っている側面が強い」(オーヴァルの宮原代表)


■迫られる難しい選択


 残された基金の財政は厳しい。12年3月末時点では約4割で国に代わって運用している資産に欠損が生じ、いわゆる「代行割れ」と呼ばれる状態にあった。アベノミクス相場が始まり株価上昇の恩恵を受けた13年3月末でも約2割が代行割れから抜け出せていない。多くの基金は年金を独自に上乗せしている部分について5.5%の予定利率を掲げるが、最近5年間平均の基金全体の運用利回りは0.83%にとどまる。


 問題はこれだけではない。退職者に払う給付金と現役社員が負担する掛け金のバランスも崩れている。掛け金総額を給付費総額が上回る状況が09年度以降続いているのだ。ある基金の事務担当者が苦悩を打ち明ける。「にっちもさっちもいかない状態だ。加入企業に丁寧に説明するしかない」


 解散するか、それとも他の制度に移行するか──。退職者が増える中で、各基金は難しい選択を迫られている。



 2月21日、長野県松本市内のホテル。長野県病院厚生年金基金は国に代行部分を返上する計画を4月末までに厚生労働省に提出する方針を代議員会で決議した。「どの年金制度に移行するかは今後検討するが、加入員が年金を受給する権利を守りたいので単純解散はしない」。加藤晴久常務理事が語る。単純解散すると残りの資産を従業員や退職者に分配。独自の上乗せ給付は終了するが、代行返上ならば上乗せ部分の支給をある程度は守れるからだ。


 こうした選択を可能にしたのが株価上昇だ。長野県病院厚生年金基金はAIJ投資顧問の年金詐欺の被害を受け、11年度末にいったん「代行割れ」に転落した。しかし、12年度には高い運用利回りを確保したことから12年度末の純資産は11年度末に比べ22%増え、代行割れを解消している。「今のまま存続しろとの意見もあったが、そこまでの基準は満たせない。ただ、単純解散すると加入事業所に配分できる額が少なくなってしまう」(加藤常務理事)。同基金も含め、多くの厚生年金基金が揺れている。


<解散で保有株売却 株価の下押し要因?>


 厚生年金基金が「大解散時代」を迎えたことで、市場では基金が保有する18兆円もの金融資産の行方に関心が集まっている。基金が解散したり、国に代わって運用している「代行部分」を返上したりすると、相場には下落要因として働くのだろうか──。



 そのヒントは、大手を中心に多くの企業が代行返上に走った2002年にある。「当時は基金が持つ株式の売り圧力がでるとの懸念が市場に広がり、日本株の下落要因になった」。こう話すのは大和総研の菅野泰夫シニアエコノミストだ。これまでは解散などで基金が国の代行部分の資産を返上する際には、いったん現金化してから返上する場合が多かった。返上された代行部分は、厚生年金保険に移管されたうえで、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用していくことになる。


 ここでポイントとなるのが、GPIFと厚生年金基金の資産構成割合の違いだ。GPIFの運用資産は国内債券が約6割、国内株式が15%程度を占めている。これに対して厚生年金基金は、全体でみると国内債券が25%程度にとどまる一方、国内株式は約20%を占める。運用資産の構成で厚生年金基金の方が株式の比率が高いのは、企業の掛け金負担が増えるのをなるだけ抑えようとする力学が働くためだ。多くの中小企業が加入している厚生年金基金は少しでも高い運用利回りを確保しようと、国内債券に比べてリスクは高いが値上がりも期待できる国内株式に比重を置いて投資してきた。


 では、厚生年金基金が代行部分を国に返上し、GPIFなど他の運用主体にこの資産が移ると、株や債券などはどう増減するのだろうか。ゴールドマン・サックス証券に昨年3月末の厚生年金基金の保有資産をもとに試算してもらったところ、国内株式が約1.5兆円減る一方で、国内債券は約4.6兆円増えるとの結果が出た。「GPIFは運用改革で国内債券の比率を下げる方向にあり、大きく買う状況にはない」(ゴールドマン・サックス証券の西川昌宏・金融商品開発部部長)というが、代行返上が相次げば国内債券にとっては一定の買い要因となりそうだ。



 国内株式については、さらに大きな売り圧力がでるとの試算もある。大和総研の菅野氏が予想する株式売却のインパクトは約6.4兆円だ。「昨年来の株価の上昇を考えれば、基金を解散して売却益を稼ごうとするインセンティブが働きやすい」(菅野氏)ためだ。
 とは言え、厚生年金基金に加入する企業の間での合意形成や解散に向けた手続きなどには一定の時間がかかる。しかも、この期間は基金によって様々だ。売りが出る時期は一斉ではなく、「1〜2年にわたりじわじわ出る」(企業年金関係者)との見方が多い。


 信託銀行は厚生年金基金に対し、厚生年金本体など国の運用方針に近い運用を目指す商品の提供を積極化している。基金自らがポートフォリオの見直しを進めているのも見逃せない。


 日本の株式市場を取り巻く環境が02年ごろとは違うとの見方もある。大企業の基金による代行返上の換金売りが花盛りだった02年には、「代行返上問題が市場の疑心暗鬼を招き、売りを誘った」と大和総研の菅野氏は指摘する。かつてに比べると、この疑心暗鬼は薄れているとの声は少なくない。


<確定拠出年金 今後は増加見通し>


 年金の負担軽減が課題となっているのは厚生年金基金に加入する中堅・中小企業だけではない。定年退職者が増え、給付に必要な積立金の確保が難しくなっている事情は大企業も同じだ。年金制度の改定や運用の外部委託などの取り組みが広がりつつある。


 従業員に将来支払う年金や退職金に対する手元資産の不足額は、2013年3月期末で8兆5000億円(金融や新興企業を除く3月決算上場企業)に上る。14年3月期からは積み立て不足を負債として貸借対照表に計上する会計ルールが始まる。負債が増えて自己資本比率が低下すれば、株価や格付けにも影響しかねない。その影響は侮れない。



 格付投資情報センター(R&I)によると、積み立て不足が残るのは12年度で東証1部上場企業(米国会計基準を除く)の8割弱。富士通(6702)やNEC(6701)など9社の積み立て不足額は500億円を超えており、この分を貸借対照表に反映させると41社で3ポイント以上、自己資本比率が低下する。


 財務の悪化に歯止めをかけるべく企業も動いている。13年3月末で1252億円の積み立て不足を抱えていたシャープ(6753)は13年11月に1365億円の増資を実施して不足分の計上に備えた。


 現在、企業年金制度を支える約1600万人のほぼ半数が、決まった給付金を受け取ることができる「確定給付企業年金」に加入している。この制度はかつて主流だった「適格退職年金」に代わる受け皿の1つとして02年に始まった。適格退職年金は受給者保護の仕組みが不十分といった問題点を抱えていたため、10年間の移行期間が終了した11年度末をもって廃止されている。


 確定給付年金は適格退職年金の縮小に伴い加入者数を伸ばしたが、11年度をピークに減少に転じている。企業からみると運用状況が不透明な中では財務へ与えるリスクが大きい。今後増加が見込まれるのは加入者の運用成績によって受給額が変動する「確定拠出型」だ。これも適格退職年金縮小の受け皿としてスタートした。


 巨額の積み立て不足を抱える富士通は15年3月期にも確定拠出年金を導入する方針。14年3月期にはパナソニック(6752)が企業年金の一部に確定拠出年金を導入した。運用リスクを加入する個人が負うことになるため、企業は年金積立不足の圧縮を期待できる。


 ほかの手法で負担軽減を目指す動きもある。野村総合研究所(4307)は財務諸表に計上していた退職一時金の運用を外部に委託することで、貸借対照表から切り離す。伊藤忠商事(8001)は年金資産を積み増すため、自社で保有する株式を退職給付信託に設定し、年金資産に組み込んでいる。


菊地毅、嶋田有、長沼俊洋が担当した。


[日経ヴェリタス2014年3月2日付]


 

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コメント
 
01. 2014年3月03日 18:11:39 : 6ao5OXx7iM
『詐欺』である。

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