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地価上昇は盛り上がるものの、いいことばかりとは言えない
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20140228/ecn1402281819010-n1.htm
2014.03.02 本当は教えたくないマンション業界の秘密 榊淳司
もうすぐ、公示地価が発表される。毎度のことながら、これを各メディアが取り上げて論評する。
「値上がり地点が○○%」「下げ止まり傾向」「都市部×カ所で値上がり」。下がるより上がった方がニュースになりやすい。言ってみれば、地価が上がると「明るいニュース」で、下がると「暗いニュース」。なぜだろう。
お役所も大手のメディアも持てる者の味方だ。不動産を所有している者にとって、地価の上昇は歓迎すべきこと。下落は資産価値の減少になり、よろしくない。大手メディアも役所も、なぜか持てる者になびいている。
しかし、国民の多くは「持たざる者」。または持ち家に住んでいても、もっと便利な場所に広い住まいを求めている。もしくは今の住まいにローンを払っている。そういう人々にとって、地価の下落は歓迎すべきことではないか。
今、日本社会は元気を失っている。人口に占める若者の数が減っているからだ。もうすぐ、日本社会の主役は老人になる。なぜ、こうなってしまったのか。
その原因の1つが住宅の価格にあると考える。この国では、所得に占める住居費が高すぎる。
地方から都会に出てきて就職する者は、家を買っても買わなくても、生涯賃金の3割前後を住居関連の費用に充てているのではないか。それでいて、便利な場所にゆったりとした住まいを得られているわけではない。たいていが、不満を持ったまま一生を終える。
子供を作ると、それなりの住まいが必要だ。結果、多くの出費が強いられる。もちろん、子育てや教育にも多大の費用が発生する。それが出産適齢期の夫婦に、子づくりを躊躇させているのではなかろうか。
今、都心の不動産は値上がり傾向にある。アベノミクスと建築費高騰による特異な現象だろう。人口減少が加速するこの国では、中長期的に不動産の価格が下落するのはいたって自然な流れだ。そのような中で、一時的な地価上昇に喜びの声を上げるのは、むなしい所業だと思う。
はっきり言おう。日本人が住宅で苦労する時代は終わりつつある。少なくとも20年後のこの国は、余った住宅への対策に頭を悩ませているはずだ。現に今、地方都市の郊外ではそういう現象が顕著にみられる。それがじわじわと大都市の郊外にも迫っている。
当然、そういうエリアの住宅価格は下がる。需要と供給の関係で考えれば当たり前のこと。五輪開催後の東京も、例外ではなくなるだろう。
住居費や教育費の負担が軽減されれば、その分を他に使える。車を買い替えたり、旅行に行ったり。その方が人生は楽しくなる。
経済全体から見れば、不動産価格の下落は決してマイナスではないはずだ。役所も、そのことに早く気付くべきではないか。それが人口減少を食い止める1つの方策ではないかと私は考えている。
■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。不動産会社の注意情報や物件の価格評価の分析に定評がある(www.sakakiatsushi.com)。著書に「年収200万円からのマイホーム戦略」(WAVE出版)など。
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