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日本マクドナルド社長兼CEOを退任した原田泳幸会長(左)とサラ・カサノバ新社長
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20140228/ecn1402281807007-n1.htm
2014.03.02
「日本マクドナルドホールディングス(HD)」の原田泳幸会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)は25日付で代表権のない会長に退き、傘下の事業会社「日本マクドナルド」のサラ・カサノバ社長兼CEOがHD社長職を兼務する。
カナダ出身のカサノバさんは、ロシア1号店の出店やマレーシアの責任者を務めた後、昨年8月、日本の事業会社社長に就任した。
私はその当時、「原田さんがまだHDにCEOとして残るのは、米国の会社の意思決定流儀からするとありえない。権限をカサノバさんに集中させなければならないのに、ええ格好しすぎている」と指摘した。
果たして今回、わずか半年しか経たないのに原田さんは代表権のない会長に退いた。しかし、まだ取締役会の議長をやると言っている。不思議なことに、その記者会見で「ほかにいい仕事があったらやる」と転職の希望も語っている。人前で語るべき事柄ではないだろう。その辺が少し普通の人の神経とは違うような気がする。
原田さんは2004年に「アップルコンピュータ」(現アップル)の日本法人社長からマクドナルドに転じた。アップルに残っていれば、まさにこの世の春だった時期を逃している。マック社長就任当初は「デフレの勝ち組」として業績を上げたものの、その後は苦難の連続だった。
これも私は何度も指摘しているが、日経ビジネスの経営教室で「ええ格好」して教えている経営者を見ていると、「この人、大丈夫かな」と思うことが多い。過去の成功パターンを解説し、現在、および将来をどう切り開いていくのか、に関して語れる人が少ないからだ。原田さんも人に教えるぐらいなら、自分の業界のことをもう少し研究したほうがいいんじゃないかと思ったものだ。
たしかに、マクドナルドはハンバーガー業界の戦いでは勝利したかもしれない。しかし、彼が気づかなければいけなかったのは、もはやハンバーガー同士の戦いではなく、牛丼、ラーメン、そば、うどん、コンビニ、惣菜店などを含めた間食マーケットの“胃袋に対する競争”において、財布のなかに占めるマクドナルドのシェアが落ちてきていることなのだ。
この問題に抜本的に取り組まなければならないのに、原田さんが後任として育成したカサノバさんは、「ファミリー志向にします」などとナマっちょろいことを言っている。そんなやり方では難しい。ファミリーよりも「お一人さま」が圧倒的に需要セグメントとなってきているからだ。
例えば、「スターバックス」は食べ物を重要視せず、お一人さまに「場の提供」をする方向にシフトしている。「パソコンを開くための休憩所」として利用され、「アンタ、スタバにいたね」と誰かに言われても、目撃された側は格好がつく。したがって、スタバはマックと胃袋をめぐって競わなくて済むのだ。
日本の間食マーケットには、雑多でいろんなものが入ってきている。そういった環境にないロシアやマレーシアの経験と日本、カナダなどでの生活体験とを組み合わせてこの問題を解決できるのだろうか。
まずは市場構造の大きな変化をじっくりと観察するところから始めるしかない。いきなりファミリー、といった「答え」をはき出すのはマック流なのかもしれないが、私には、はなはだ疑問だ。
■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。
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