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消費税をめぐる議論がスムーズにできない原因は、商品やサービスの価格に関する理解が違うことにあると思っている。
「輸出免税」(=「輸出戻し税」)を含めて、悪意なく消費税の仕組みを擁護する人々は、価格は内訳がきっちり決まっていると考えているのだろう。
どういうことかと言えば、価格を構成する基本である「原価+利幅(荒利)」(消費税課税前価格)は固定的(消費税の影響を受けない)で、最終価格は、その値に消費税が上乗せされたものという考えである。
そのような理解のもと、消費税の税率が変動すると、その変動に見合ったかたちで最終販売価格も変動する(それが転嫁と言える)から、消費税は最終消費者が負担することになると考えているようだ。
「販売価格=(原価+荒利)+消費税額」というように考えていることで、“仕入で負担した消費税”や“売上で預かった消費税”の差引勘定という消費税の課税論理に納得してしまうようだ。
このような理解については、経済活動というダイナミックな営為を静態的な“算数の世界”として見ているとも、消費税を考えるとき、自由経済であることを忘れ、原価や利幅が法的に規制(制限ないし保証)されている統制経済であるかのように考えているとも言える。
価格要素の積み上げや期待する荒利で販売価格を決められるほど商売は甘くない。増税に際し、これまで稼いでいた荒利を削って増えた消費税を捻出することはざらだし、換金のために原価割れで売ることもある(この場合に消費税がマイナスになるのは正当)。
逆に、原価が下がっても、今の価格で思うように売れるのなら、わざわざ価格を下げて利益を減らすようなことはしない。
消費税の処理について「算数的世界」のように見る人は、リアルな市場経済が見えていないと言える。
消費税税額(税率)の変動で販売価格が変動するという考えそのものが錯誤でしかない。
そのような見方ではなく、売上(販売価格と数量)と仕入の変動が消費税税額を変動させると考えるのが正しい理解である。
消費税の税率が販売価格=仕入(購入)価格を制御するといった錯覚から抜け出ることが消費税の理解を深めるための第一歩だと思う。
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