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大反響! 第2弾 あなたは、これでもまだ入りつづけますか? 60すぎたら、保険はいらない
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38454
2014年03月01日(土) 週刊現代 :現代ビジネス
これまでずっと保険料を支払い続けてきたのだから、今さらやめられない……。そう思って二の足を踏んでいては、老後の大切な資金をドブに捨てているようなもの。その保険、今すぐ見直すべきです。
■2人に1人が「がん」になるのに、保険会社は大儲け まさか、「がん保険」に入ってませんよね
2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで死ぬ時代。がん患者は、年々増加している。男性に限って言えば、生涯でがんを患う確率は58%にも上る。こんなに高い確率ならば、がん保険に入っておいたほうがいい、入っておかねば先々困る、そう考えている人がほとんどだろう。
だが、果たしてそうなのだろうか。
がんを筆頭に、誰でも確かに病気は怖い。健康に自信がなくなってくる60代ともなれば、なおさらだ。けれどその不安に苛まれ、月々数千~数万円の保険料を支払い続けることが本当に「安心」につながるのか?
ただでさえ、老後は生活資金の不安がつきまとう。何も考えずにムダな保険を継続し、病気になる前に「保険ビンボー」になってしまっては元も子もない。今回はその点を考えてみよう。
がん保険の加入者は増え続けている。社団法人生命保険協会によると、'08年には1860万件だった契約数は、4年間で2054万件に増加した。
そもそもがん保険とは、がんにかかった時にその治療費や入院費などを保障する保険。多くが掛け捨てタイプで、払込期間が決まっている定期型と、生涯保険料を支払い続ける終身型がある。現在は、ほとんどの商品が終身型だ。
また、こうした単独のがん保険以外にも、医療保険にがん特約がついているもの、定期の生命保険にがん保障が組み込まれているものも多い。
まずは、自分がどのタイプのがん保険に入っているのか、入ろうとしているのか、その商品にはどんな保障がついているのかを見極める必要がある。
「終身型の場合、もしがんにならずに長生きしたら、80歳になっても90歳になっても、保険料を支払い続けなければなりません。しかも、がん保険の中には、65歳を過ぎると保障がそれまでの半額になるものもある。この年代からリスクが増えるのに、保障が半額になってしまううえ、がんにならなければ1円ももらえないんです。もしこうしたがん保険に入っているのであれば、60歳を過ぎたら辞めてもいいと思います」(保険コンサルタント・石橋大氏)
一般的に、「がんになると大金がかかる」とされる。じつは、この考え自体が大きな間違いだ。
今回、本誌は都内の某大学病院の協力を得て、あるデータを入手した。右の表をご覧いただきたい。
これは、昨年1年間にその病院でがん治療をした患者の治療費と入院日数の平均値を示したものだ。治療費は、患者負担3割の場合で、入院費も含めた費用となっている。「今年の4月に診療報酬が改定されるため、変動する可能性がある」(大学病院事務部長)というが、一つの目安にはなるだろう。
たとえば胃がん。開腹手術をして、胃の部分切除をした場合、入院12日で、患者負担額は42万6000円だ。内視鏡治療は、入院8日で15万8000円。安くはないが、想像を絶するような金額ではない。
さらに、保険適用の医療に対しては、高額療養費制度によって一定額以上の医療費が後に戻ってくる。つまり、患者の自己負担額はもっと少ない。
年齢や所得水準によって異なるのだが、たとえば60歳の一般的な所得区分の人の場合、〈8万100円+(1ヵ月間で支払った医療費-26万7000円)×1%〉という計算式で、1ヵ月の支払い上限額が算出される。
これに当てはめると、50万円の医療費がかかった場合の自己負担は、8万2430円。医療費が100万円だったとしても、8万7430円。がんになってしまった場合も、実際は8万~9万円あれば間に合うというわけだ。
おカネが戻ってくるまでには、受診から3ヵ月程度かかる。その間は、一時的に自己負担しなければならないが、事前に所得区分の認定証を発行してもらうことで、窓口での支払額を負担上限額にとどめることもできる。また、たとえ治療が長引いてしまった場合でも、直近の12ヵ月間に3回以上の高額療養費の支給を受けていれば、負担の上限額がさらに下がるという制度もある。
ただしこの制度は、保険適用の治療のみが対象のため、先進医療に指定されている治療などは全額自己負担となる。そうした最先端の治療を受けたいと思う人のために、最近のがん保険には「先進医療特約」なるオプションが存在するのだが、ここにも落とし穴があるという。
「上限2000万円までの先進医療が受けられる特約が非常に増えていますが、実際、ここまでの保障は必要ない。たとえば、がんをピンポイントで照射できる重粒子線治療というものがあり、これは先進医療の中でも最も高額な治療法ですが、1回約300万円。
けれど、副作用の心配があるので、2度以上この治療を行うことはありません。つまり、2000万円の保障があっても、ほとんど使いきれないのです」(なごみFP事務所・竹下さくら氏)
■100万円の貯金で充分
大学病院のデータでも示したように、近年は医療費削減のために入院期間が短縮されており、手術をしても2週間以内に退院するケースが少なくない。
がんになっても、結局大してカネはいらないというわけだ。
「保険相談室」代表理事の後田亨氏は、こう話す。
「100万円の貯金がある人はがん保険に入る必要がありません。病状や選択する治療法などによって必要な費用は変わってきますが、一般的に考えて、せいぜい100万円の資金があれば困ることはないんです」
このことは、じつは保険会社が設定するがん保険の給付金にも表れている。
がん保険は、がんと診断されたら100万円ほどの一時金が払われる商品が多いが、これは、高額療養費制度を見越した設定なのだ。つまり、一時的に医療費を立て替えなければならなくても、とりあえず100万円あれば一般的な医療を受けるのには困らない。そのことを、保険会社が自ら認めているのである。
言い方を変えれば、100万円以上の保障や、用途が限られた細かいオプションをつけることは、保険会社のいい金づるになっているということ。高い保障を求めようとすると掛け金が高くなるが、それはムダに保険会社を儲けさせているだけだと言っていい。
よく考えてみてほしい。「60歳を過ぎるとリスクが急激に高まります」「先進医療を受けるには300万円必要だから、特約をつけておいたほうがいい」などと不安を煽るのは、保険会社や代理店。なぜ彼らががん保険を勧めるのか。その理由は、他でもない。「儲かるから」だ。
「がん保険は、保険会社が儲かるような仕組みになっているのです。保険会社はボランティアでやっているわけではないのですから。顧客が損をするような商品でもメリットがあるように見せるのは、保険会社にしてみたら、いとも簡単なことなのです」(国際保険総合研究所所長・三田村京氏)
そもそも2人に1人ががんになるのに、保険会社が儲かるということは、裏を返せば、それだけ保険料をムダに払っている人が多い証拠でもある。
だが、保険会社の取り分はどれほどなのかは、完全にブラックボックスだという。前出の後田氏も、こう指摘する。
「『60歳以上の人は、がん保険に入って得をしています』というデータがあればいいのですが、そのようなものはどこにもありません。もし加入者が得をするような商品なら、保険料はめちゃくちゃに高いはずです」
とくに、特約をつければつけるほど、儲かるのは保険会社。うまく口車に乗せられて入っている人が多いだろう。
また、昔から入っているがん保険の場合、保障内容にあまりに意味のないものが多いので注意が必要だ。
たとえば、通院治療には保障が出ない商品。前述したとおり、いまは入院日数が短縮されているため、入院一日○円といった保障があっても、保険金はほとんど受け取れない。
がんが再発したときの保障についても同様だ。再発は患者にとって経済的にも体力的にも負担が増える。初回の診断時のみしか給付金が支払われない、2回目以降は初回から○年以上経過していないと支払われない、といった条件付きの商品もある。
あなたの保険がそうした商品なら、すぐにでも辞めたほうがいい。
払い込んでいた保険料の分を、自分で貯蓄しておけば、使い道は自由だ。病気になったときの備えにしてもいいし、体力作りのために新たな趣味を始めることもできる。毎年1回、がん検診を受けることに使えば、手術が必要となる前の段階で早期発見できるかもしれない。
これでもまだ、あなたはがん保険を続けようと思えるだろうか。次章からは、そのほかの保険について、検証していこう。
■実例検証で丸わかり もしかして、生命保険にも入ったままなの?
「サラリーマンにとって生命保険は、入社時や結婚を機に、会社に出入りする保険のセールスマンに勧められるままに加入したものがほとんどでしょう。しかも保険内容をよく理解しないまま、給与から天引きされ、加入しっぱなしというケースが非常に多い。
定年間際になって、この保険料は何だと冷静に見返し、あまりに高い金額に驚くことになるのです」(「コレカラ・サポート」代表理事・千葉晃一氏)
大手メーカーに勤めてきた大山浩史さん(59歳・仮名)は、まさにこのケースに当てはまる。27歳のとき、会社に出入りしていた大手生命保険会社のセールスレディに言われるまま、「定期保険特約付き終身保険」に加入。42歳時と51歳時に保険内容を見直した。
60歳を目前にした今、保障内容の特約部分は、3000万円の死亡保障、入院1日あたり1万円、がん診断時300万円、6大疾病(急性心筋梗塞・脳卒中・重度の糖尿病・重度の高血圧性疾患・慢性腎不全・肝硬変)診断時500万円など、そして貯蓄性のある終身保険部分が約50万円だ(詳細は上の表参照)。
現在の保険料は3万8185円。27歳から60歳までに払う保険金の総額は、968万7528円に上る。その上、61歳時には再び保険の更新が必要となり、同じ保障内容を求めるならば、その保険料は5万7444円に跳ね上がる。61歳以降だけでも275万7312円を支払うことが必要だ。
大山さんは考えた。定年退職後も同じ会社で嘱託社員として働くから、保険料も払えないことはない。なにより、これまで1000万円近くを支払ってきたのだから今やめてしまうのは「損」なのではないか、と。
だが、こうした考え方は「大きな誤り」だと専門家たちは指摘する。
「一番の問題は3000万円の死亡保障や手厚い医療保障が65歳で忽然と消えてしまうことです。男性の平均寿命は約80歳です。大山さんの契約では、死亡や病気のリスクが高まっていく65歳からの15年の間に亡くなると、がんだろうが、6大疾病だろうが、約50万円しか支払われない。これでは万が一のとき、満足な葬式代も出せません。こんなものに毎月6万円近くも出すのはあまりにバカらしい」(国際保険総合研究所所長・三田村京氏)
'90年代に保険会社の主力商品として販売され、一説には生命保険に加入しているサラリーマンの8割が入っているとされる「定期保険特約付き終身保険」(更新型)には、あまりにも問題が多い。三田村氏が指摘するように65歳で特約部分がなくなってしまうことに加え、更新時に保険料が上昇する(保険料を抑えようとすると保障内容が悪くなる)。そのうえ、支払った保険料の8~9割が掛け捨てとなってしまうのだ。
大山さんの場合でも、65歳までに健康上のトラブルが何も起こらなければ、支払った保険料は丸々保険会社の儲けになる。
そもそも60歳以降、3000万円レベルの高額な死亡保障が必要なのか。「ファイナンシャルアソシエイツ」代表の藤井泰輔氏は不要だと断言する。
「生命保険に入ると、トクをすることがあると考えている人は多いかもしれませんが、それは大きな間違いです。生命保険とは『まさか』のとき、どうしてもおカネの都合がつかない事態が生じたときに備えるものです。ですから、多くの契約者にとっては支払ったおカネよりも得られる効果のほうがずっと小さくなります。
30代などで子供が小さいのであれば、まさかの場合に備えて、残される家族のために3000万円くらいの保険に加入するのもいいでしょう。ですが、それ以外は必要ありません」
■残される家族も心配無用
生命保険を見直す際には、自分が死んだら家族はいくら必要なのか、夫婦でしっかりと話し合い、自分たちの金融資産がどのくらいなのかを精査しておく必要がある。「生活設計塾クルー」の内藤眞弓氏がこう指摘する。
「この大山さんの場合は、二人のお子さんも成人して、すでに独立されています。それを考えれば、3000万円といった死亡保障は明らかに大きすぎます。60歳を過ぎても働くつもりなら、これからも貯金を増やすことは可能なはずです。
仮に夫が亡くなったとしても退職金の残りもあるはずですし、夫の分の厚生年金の4分の3が『遺族厚生年金』として妻に支払われます。ほとんどの場合、住宅ローンの返済も免除される。妻が一人で堅実に暮らしていく分には、保険は必要ないということです。これらを考慮すれば、今入っている高額の保険は解約して、これから支払うはずの300万円近い保険料を貯金に回したほうが賢明です」
大山さんのケースだと、終身部分の死亡保障は約50万円と低額のため、この部分も手放して構わない。
ただし、'90年代前半以前に予定利率の高い「お宝保険」に加入している場合に限っては、安易に解約すると損をするケースもあるので注意が必要だ。
たとえば、'85年4月~'93年3月の間に契約した生命保険の予定利率は5・5%、'93年4月~'94年3月は4・75%、'94年4月~'96年3月は3・75%となっていた。現在の予定利率は1%程度。当時と比べて雲泥の差があり、その分、「お宝保険」は保険料が割り引かれるなど有利になっている。
「予定利率が高かった時代の終身保険に入っているのなら、今すぐ解約せずにこの部分は残して払込満了まで払ってもいいでしょう。
もしくは『払済』にすることも可能です。『払済保険』とは、元の保険の解約返戻金を一時払いの終身保険に変更するというもの。たとえば、500万円の終身保険に入っている場合、60歳前後であれば、解約返戻金は250万円程度でしょう。これを払済保険に変更すれば、400万円程度の終身保険になります。それ以上保険料を支払わなくて済み、予定利率はこれまでと変わりませんし、解約すれば返戻金がもらえます。病気や介護などで資金が必要になってもそのおカネで対処できます」(同)
注意点として、「払済保険」を選択すれば、入院1日1万円といった医療特約はすべて失効する。
■病気もなんとかなる
だが、あえて言えば、そうした医療保険や特約も、本当に必要なのだろうか。
「60歳で入院1日1万円の保障が出る医療保険に入ろうとすれば、月額1万円程度の保険料を払うことになります。年間12万円、5年間で60万円です。この60万円の元を取るためには、2ヵ月入院しなければなりませんが、本当にそれが必要かどうか、よく考えてから選択したほうがいいでしょう」(なごみFP事務所・竹下さくら氏)
定年退職後も国民健康保険を活用できるので、通常の医療行為であれば、負担額はかかった医療費の3割のままだ。前項で詳述したように、がんなどの大病を患っても、高額療養費制度があるため、実際には1ヵ月あたりの自己負担上限額は約8万円で済む。行く先に過剰な不安を抱き、ムダな保険料を払い続けて、保険会社を儲けさせているだけ、というのはやはりバカバカしい。
ただ、60歳でこれまで払ってきた保険をすべて止めるのが不安だという声も根強い。人は必ず死ぬ。それはいつの世も変わらない真理だ。心の平穏のためにも、あえて生命保険に加入したいというならどのような点に注意したらよいのか。
「ポイントは貯蓄型であることと、終身保険であることです。たとえば、市場金利に合わせて利率が変わる『積立利率変動型』の終身保険があります。これは市場金利に連動するように設計されているので、インフレにも対応できます。60歳の男性が保険料の払込期間を10年、死亡保障500万円の条件で加入した場合、月々の保険料は約4万円で、支払う総額は約480万円。最終的に支払った金額よりも多く返ってくる、割のいい『貯蓄』のようなものです。
ただし、この保険に入るのは、60歳がタイムリミットと考えたほうがいい。70歳で加入した場合、保険料は月に約5万円、合計で約679万円となってしまいます。それなら現金で持っていたほうがマシです」(前出・藤井氏)
60歳を迎えると、誰しも自分の健康に不安を覚える。でも、多くの場合、いくばくかの貯金と公的な社会保障でなんとかなる。徒に怯え、生命保険会社にばかり頼るのではなく、ちょっとした運動をしたり、趣味を楽しんだりするほうが、心身にとってよっぽど健康的なのは言うまでもない。
■老後の家計を考えたら、貯金したほうがいい どう考えても、60すぎたら損をする
「老後は個々人で多様性に富み、そのすべてに備えられる保険はありません。だからこそ、必要なのは現金なのです。介護が必要になった際にはデイサービスや訪問介護など、地域の介護サービスを受けられるよう事前に調べておき、保険に頼らなくて済むだけのおカネを準備しておくことで、より豊かな老後を送れるはずです」(生活設計塾クルー・内藤眞弓氏)
ここまで見てきたように、60歳をすぎたら保険で損をすることは明らかだ。そうは言っても、保険があるからこそ、買える安心がある―と、考える人もまだまだいるだろう。だが、それも思い込みにすぎない。
将来、自分が要介護状態になるのではと不安に思う人は多い。いつ、どのような形で介護が必要になり、そのとき、いくらおカネがかかるのか。事前には容易にわからないからこそ、いっそう不安は募る。そういった不安が、民間の介護保険に加入することで解消できるという意見もある。
しかし、それも怪しい。各保険会社は介護保険のラインナップを充実させつつあるが、使い勝手のいい商品が販売されているという状況には程遠いからだ。
「民間の介護保険は、ほとんど利用価値がありません。というのも、介護は今後の国の政策により方針が大きく変わるからです。たとえば、『要介護2』(軽度の介護が必要な状態)から保険金を支払うといった商品でも、認定の基準が変わる可能性があります。基準が変われば、受けられる保障も変わります。一方で保険会社は制度がどう変わっても自分たちが損をしないような商品設計をしていますから、保険料は高くつくはずです。しばらくは様子を見たほうがいいでしょう」(前出・内藤氏)
介護保険に加えて、死亡保険にも貯蓄にもなるタイプの終身介護保険ならいいのではないか―要介護状態にならなくても、65歳までに払い込んだ保険料の大部分が戻ってくるから、貯蓄したと思えば損にならない。保険会社の営業マンなら、そんなことを言うかもしれない。ただ、やはりこれも加入は慎重に考えたほうがいい。
「保険相談室」代表理事の後田亨氏が説明する。
「ある大手保険会社の終身介護保険で、1000万円の終身保険に45歳で入るとしましょう。65歳で支払いが満期になるプランだと、それまでに払う保険料は総額961万4400円。もしも要介護2以上に認定されれば介護保障があり、健康なまま75歳で解約すれば、967万円が戻ってくる。この場合、返戻金は払込額をわずかに6万円ほど上回ります。これをもって『絶対に損しない』と保険会社は営業してきます。でも、これは疑ったほうがいい。少なくとも保険会社の経費がかかっているはずですから」
保険会社は加入者の保険料を株式や債権などで運用している。現在、加入者向けの予定利率はわずか1%。それを超えた運用益で経費をまかない、儲けを出しているわけだ。
■保険会社は損をしない
65歳までの20年間、保険料の代わりに毎月4万円を定期預金で積み立てたとしよう。たとえ超低金利だとしても、健康なまま75歳を迎えることができれば、保険で得られる6万円よりも大きな利息が手に入ることは間違いない。そして預金なら、家のリフォーム代や家族との旅行代、孫の教育費など、いつでも好きなように使うことも可能だ。自分で手堅く運用してみるのもいいだろう。
だが、一度保険に加入してしまえば自由に使うことさえできず、早い段階で解約すれば、払った金額よりも少ない金額しか戻ってこない。保険会社は、どっちに転んでも損をしないよう、巧妙な商品設計をしている。しかも、万が一、損をしそうになると、顧客の契約を自分たちに有利なものに変更することでそれを避けようとする。
元外資系生保社員で「フェリーチェプラン」代表の田中香津奈氏はこんな経験をした。
「私の母(65歳)のケースを紹介します。'90年に加入した1200万円の終身保険が昨年10月に払込満了になりました。400万円程度の払い込みで1200万円の終身保障がある、いわゆる『お宝保険』です。払込満了を迎える1~2年前になると必ず営業担当者が電話をかけてきて、プランの見直しを提案してきます。
うちの母の場合は、お宝部分の終身保障から100万円を減額し、その代わり、それまで80歳までだった医療特約部分(入院1日5000円)を終身のものにしましょうという提案でした。医療特約の継続のために、月額4203円を一生涯払ってくださいというわけです。でも、その金額を出せば、他の生保会社でもっと内容の良いものがありますからお断りしました」
自分で営業担当者の提案を断るのが難しいと感じた場合は、保険を専門とするファイナンシャルプランナーに相談するのも一手だ。
「契約を解除したいと理屈で説明しようとすると、相手も商売ですから必死です。説得されて丸め込まれる危険性もある。下手に理屈で張り合おうとせずに、『申し訳ないが、生活が大変だから払えない』。この一言で押し通すのが一番です。おカネがないとわかれば、保険会社は見向きもしませんからね」(前出・内藤氏)
保険会社も商売である以上、自分たちの儲けを最優先して、保険に加入させようとする。いざとなれば、契約者が損をするような商品を勧めさえする。
保険とはすべてそういう性質を持つとわかっていながら高い保険料を払い続けるよりは、自分で考え、損をしない形で将来のリスクに備えるほうが、はるかに有意義だ。
「週刊現代」2014年2月22日号より
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