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株式日記と経済展望
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中国の準大手銀行が企業向けの不動産融資の一部について停止することを
発表しました。中国の中央銀行もすでに市中から資金を引き揚げる動きに出た
2014年2月26日 水曜日
◆嫌な予感がする中国の金融引き締め 2月25日 岡本裕明
http://blog.livedoor.jp/fromvancouver/archives/52370839.html
中国の準大手銀行が企業向けの不動産融資の一部について停止することを発表しました。これを受けて中国の株式市場は大きく売られることになりました。中国の中央銀行もすでに市中から資金を引き揚げる動きに出ており、不動産業者にとっていよいよ相当の試練の時を迎えることとなりそうです。
1989年12月、平成の鬼平と言われた三重野康氏が日銀総裁になった時、氏が副総裁の時からずっと温めていた金融引き締めを実行しました。結果として不動産バブルは崩壊し、日本に未曾有の経済的困苦の時代をもたらしました。今でも三重野采配がバブル崩壊を引き起こしたとする三重野主犯説は根強く残っていますが、私も当時苦い思いをしたのを思い出します。
あれから25年もの年月が経つといろいろなことが落ち着いて見えてくるのですが、私は三重野氏の「思い」が戦前の井上準之助大蔵大臣の行動に重なって見えるのです。井上準之助は緊縮財政、金解禁を唱えていたもののその機が熟すのをじっと待っていました。そこに民政党の浜口雄幸が総裁に就いたのを機に大蔵大臣として浜口と二人三脚で緊縮財政、金解禁をやってのけました。しかし、そこに待っていたのは井上の理論とははるかに違った想定を超えるデフレでありました。それは1930年代のアメリカの大恐慌も影響し、昭和大恐慌として歴史に残る経済状況を生み出したのであります。
理論と現実のギャップとは机の上では計り知れないものがあります。バブル当時、供給側の目線に立てば企業の役員は部下に「銀行から借りられるだけ借りよ」そして「売れるだけ売れよ」とはっぱをかけ、企業は需要量を過大に想定し、企業は売り上げが上がることに全精力を傾けていました。そこにはもはや、モラルも理論もありません。ただただ、勢いのビジネスであったというのが私の印象です。
その中で建設会社が儲かっていたか、といえば表面上を取り繕っていたといえましょう。決算が近くなると経理部長はひっきりなしにトップに呼ばれ、売り上げの先食いをしようとするトップと経理の「できる、できない」の押し問答が繰り返えされました。建設会社の実態は多くの下請けをいかに抱き込むか、これにかかっていました。A物件が赤字工事だとわかっていれば下請けに「今回は泣いてくれ。その代りもうすぐB物件が発注されるからそちらではおいしい思いをさせるから。」と一種の赤字の先送りを繰り返し、決算上で儲かる数字が作られていたともいえましょう。これが世にいう「自転車操業」であります。われわれはそれが80年代半ばから起きているのは知っており、一様に不安感は持っていたはずです。
この自転車操業は道が平坦であればまだ走るのですが、金利が上がるといった坂道になると途端に走れなくなります。これがまさにバブル崩壊であります。現場により近い立場の私が三重野主犯説にいまだ同意しているのは机上の理論と実態はあまりにも違いすぎるということであります。それは井上準之助が犯した間違いでも同じでありました。その結果、銀行や不動産会社、建設会社は倒産し、私も路頭に迷うことになるのです。
では中国が今、金融を引き締め気味にし、一部銀行が不動産向け融資の一部を停止する事態になるとどうなるか、といえば上述のストーリーが当てはまると思いますが、中国の場合にはスケールがはるかに大きなものであって、そのマグニチュードは全く想定できないのであります。
もともと中国地方政府は地方債を発行できないため、苦肉の策で理財商品という形で資金を集めることに成功しました。そこには不動産開発業者と建設会社が見事に結託し、自転車をこぐという形が出来上がっています。ですが、中国の開発業者にしろ、建設会社にしろ、「ゴミ」を見えないところに押し込み続け、時間稼ぎをしているだけであります。これが「いつかはじける不動産バブル」と言われ続けたものであります。ところが次々と編み出される手法でその生命維持装置はいまだワークし続けたのですが、資金という事業の血液が途絶えることで挽回の余地はもはやわずかであるように思えます。
トランプでババを含む残されたカードは数枚というのが私の印象であります。
時代は繰り返されています。日本はその点、中国が今、実に困難な状況にあることが手に取るようにわかるはずです。私は当時、その現場にいたからこそ、中国が置かれている現状を見るにおいて「足が震えるほど」怖いのであります。中国も中央政府と地方政府の距離感が強く、中央の机上の政策が実態以上の影響を与えることはあるでしょう。その時はもはや遠い日ではないと感じています。
(私のコメント)
ブログなどを見ていても、バブル経済の真っただ中にいた体験を語れる人は意外と少ない。多くがバブル崩壊で致命的な打撃を負い、再起不能になってしまったからです。当事者しかわからない事が現場ではたくさんあり、なかなかその情報は上の人には伝わらなかった。とにかくバブルを潰せと言ったキャンペーンがテレビで繰り返されて、NHLでも「土地は誰のものか」と言った特集が3日にわたって放送された。
バブル経済を悪とする考え方がマスコミ記事に溢れて、バブルを潰せと言う大キャンペーンが行われた。しかし実際にバブルを潰すことが良かったのか、20年に及ぶデフレ経済を見ればバブルは潰すべきではなかった。アメリカのFRBが行っているように大規模な金融緩和でバブルをスローランディングさせるべきだったのだ。
当時の大蔵省は土地融資に総量規制の網をかぶせて金融を規制して、日銀は金利を一気に引き上げてバブルを潰した。マスコミは三重野日銀総裁を平成の鬼平と大絶賛をした。このようなマスコミのミスリードで間違った経済政策が行われた。確かに日本の土地価格は理論上からも説明できないほどの高価なものとなり、企業も土地を手放さずに持ち続けるだけで儲かった。
つまり総量規制と金利の引き上げが一気に行われてバブルは崩壊しましたが、株価は5分の1になり商業地価は10分の1になってしまった。これでは金融が大混乱するのは当たり前であり、銀行が債務超過となり、このような情報は政治家に届かなかった。橋本総理は金融がこれほど悪化していたことを後から知った。
不動産業者は総量規制と金利の引き上げによって逃げ場を失い、囲い込まれて集団虐殺が行われたのだ。多くの不動産業者が破綻して市場から退出させられましたが、秀和や丸源といった超優良企業すらも破綻させられた。言ってみれば銀行から借りてビルを建てた業者で生き残ったのは財閥系企業だけで、多くの不動産業者は経営破たんしてしまった。
当時の企業は不動産も事業として行っていたから、多くの企業も倒産に追い詰められた。その中では輸出企業だけは不動産バブルに巻き込まれることなくIT革命の波に乗ってわが世の春を謳歌していましたが、輸出企業も円高バブルのおかげでダメージを負ってしまった。両方とも金融の引き締め政策でダメージを負ったのですが、金融の引き締めで円高になり株安が長引いたことが致命傷になった。
岡本裕明氏の記事にもあるように中国で行われているのは、90年代に日本で行われていた事と同じであり総量規制と金融の引き締めだ。今までは景気対策として容認されていたことが180度方向転換してバブルを潰す政策に切り替えたようだ。日本でも住専のようなノンバンクが金融のバイパスとなってきましたが、中国ではシャドーバンキングがノンバンクとして融資が行われてきた。
このシャドーバンキングのデフォルトが話題になり始めましたが、一つが破綻すると連鎖的な反応を起こして300兆円規模のファンドが破綻しかねない。今までは政府が救済してきましたが、金額が巨大だから政府も救済しきれないだろう。中国の金融が破綻すれば実業にも影響が及んで世界の工場はストップするかもしれない。
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