★阿修羅♪ > 経世済民85 > 825.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第65回 人手不足の解消方法(前編)
http://www.asyura2.com/14/hasan85/msg/825.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 2 月 25 日 16:15:00: igsppGRN/E9PQ
 

世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第65回 人手不足の解消方法(前編)
http://wjn.jp/article/detail/1201959/
週刊実話 2014年3月6日 特大号


2月11日、財務省が地方自治体に「予算の繰り越し」を促しているという、驚くべき記事が産経新聞に掲載された。

 財務省といえば、我が国のデフレを深刻化させ、国民を貧困化させた財政均衡主義の親玉である。

 例年の公共事業予算は、自治体側が使い切らない場合「消滅」することになる。というわけで、以前は毎年3月に「駆け込み工事」が行われていたほどなのだ。

 とはいえ、現在は土建産業の供給能力不足により、使いきれなかった予算は、そのまま「使われない」というケースが増えてきている。過去の財務省であれば、予算の節約(?)に対して喜びの声を上げ、話が終わっただろう。

 ところが、今年は使い残した予算を、年度をまたいで使って構わないと「財務省」が自治体に異例の呼びかけを行っているのだ。予算の繰り越しには面倒な手続きが必要なのだが、財務省は手続きの簡略化まで検討している。

 これは、何を意味するか。

 要するに、消費税増税後の景気減速(及び税収減)に、財務省までもが危機感を抱いているという話なのである。

 何しろ、第63回で取り上げたように、我が国の労働者の実質賃金はいまだに上昇していない。

 前回('97年)の増税直前の'96年の実質賃金は、1.4%のプラスであった。それにもかかわらず、消費税増税で日本経済はデフレに突っ込み、'97年の実質賃金はマイナス0.2%、'98年はマイナス1.0%と、国民の貧困化が始まった。

 そして、今回は増税前年の'13年の実質賃金上昇率がマイナス0.9%。実質賃金だけを見れば、'97年の増税時よりも状況が悪いのだ。

 国内の需要が回復していない以上、政府が仕事を創出するしかない。4月に消費税が増税され、実質賃金が増えていない国民が消費、投資を減らし、再度、デフレ状態に逆戻りするとなると、さすがに財務省の権威は地に墜ちるだろう。

 というわけで、ついに財務省までもがデフレへの逆戻りに怯え、
「地方自治体は年度末まで使い切れなかった予算を、4月以降に繰り越し、仕事(公共事業など)を創り、経済を下支えして欲しい」
 と言い出したのだ。

 だが、そもそも自治体側が公共事業の予算を使い切れていないのは、人手不足と工事費用の上昇で、事業を推進できないためである。すなわち、土建企業の供給能力不足だ。

 国土交通省によると、'13年4月から年末にかけ、公共事業の入札不調の発生率が急上昇しているという。例えば、岩手県の同期間における入札不調率は、前年度の18%から40%に上昇したとのことである。自治体側が事業を執行しようとしても、何と4割が入札不調になってしまう有様なのだ。

 ゆえに、公共事業を拡大し、景気の失速や再デフレ化を阻止するためにも、土木企業を中心とする人手不足問題を解決しなければならない。

 ちなみに、最近の我が国は人手不足感が土建産業以外にも広がっている。例えば、運送業、内装工事、IT開発、電気工事業などにおいても人手不足が進み、当然ながら賃金が上昇している。先ほどの「実質賃金の低下」と矛盾するようだが、産業、職種によってばらつきが起きるのは当然の話である。

 現在の東京では、電気工の日給がなんと3万5000円にまで上昇しているという。それでも、人手不足を解消できないという驚くべき状況に至っているのだ。

 人手不足が問題と聞くと、いわゆる新古典派経済学に染まった構造改革主義者の方々は、すぐに「ならば外国人を入れればいい」と、まるで労働者を駒のごとく扱う解決策を提示してくる。

 しかし、我が国の「国民経済」を考えた場合、国内の需要は「国内の労働者」により賄われなければならない。

 働く国民一人一人に蓄積された仕事の経験、ノウハウこそが、国民経済のパワーの源泉だ。そして、経験やノウハウは(当たり前だが)働くことでしか身につかない。

 ならば、どうすればいいのか。簡単だ。増加を続ける生活保護受給者に、労働市場に戻ってもらえばいいのである。

 2月9日に厚生労働省が発表した資料によると、'13年11月時点の生活保護受給者は216万人を超え、過去最高を更新した。信じられないことに、アベノミクスにより物価が上昇に向かった'13年後半すら、生活保護受給者は「着実に」増え続けていたのだ。

 生活保護受給者が増え続けているのは、もちろん雇用情勢が十分には改善していないためだ。
 加えて、現在、雇用需要が増え続けている業界(土建産業など)と生活保護受給者の能力との間に、いわゆる「ミスマッチ」が発生しているためと考えられる。

 先にも取り上げた日給3万5000円の電気工の職に生活保護受給者が就こうとしても、必要なのは電気工事士であり、素人ではない。電気工事士の資格を持っている生活保護受給者など、そうはいないだろう。

 つまり政府が、雇用需要が拡大している産業へ、生活保護受給者を就職させるための資格取得支援等を提供するのである。しかも、生活保護受給者をトレーニングする費用を政府が全額負担したとしても、それ自体が「資格取得支援サービス」という需要創出になり、デフレ化を食い止める方向に向かう(無論、規模的には全く足りないが、少なくとも方向的には需要創出である)。

 人手不足問題を解消する政策は、上記以外にも複数あるため、次週も取り上げるが、重要なのは、
 「人手が足りない。ならば、外国人を入れればいい」
 といった、学者が机上で思いついたような空論は、現実離れしている上に、我が国の国民経済にとって「よろしくない」ということを国が認識することだと思う。

三橋貴明(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。


 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2014年2月25日 16:49:19 : nJF6kGWndY

本来、公共事業というのは景気対策で行うべきものではなく、長期的なインフラ整備計画に基づいて行うべきものだから

インフレになったらカットされるのでは、不況での派遣切と同じで、まともな人は、苦労して資格を取ろうとはしないだろうな

初めから、消費税増税をデフレ脱却後まで先延ばしにしておけば、こんなアホなことは全く必要なかった



02. 2014年2月25日 17:36:03 : YxpFguEt7k
日本の人口「移民で1億人維持可能」 政府、本格議論へ
 内閣府は、移民を15年以降に年20万人受け入れ、1人の女性が一生に産む子供の平均数にあたる「合計特殊出生率」も人口が維持できる水準とされる2・07に上がるケースを想定して人口を推計した。
http://www.asahi.com/articles/ASG2S5GVNG2SULFA01N.html

ムリムリ… どんだけ現実離れした推計をするのか…
しかも人口が戻るのは100年後。


03. 2014年2月25日 17:47:36 : BDDFeQHT6I
消費税を上げて土建屋だけにバラマクってのは、どう言う根拠に基づいた話なんだろう、消費税は社会保障費用の増加により3%上げるって話はどうなったんだ。
自民党の票になる所だけにバラマクって話なのか。

04. 2014年2月25日 18:32:12 : TGZjS8iB2r
>前回('97年)の増税直前の'96年の実質賃金は、1.4%のプラスであった。それにもかかわらず、消費税増税で日本経済はデフレに突っ込み、'97年の実質賃金はマイナス0.2%、'98年はマイナス1.0%と、国民の貧困化が始まった。


筆者は、日本のデフレは全て消費税の影響であると言わんばかりの勢いだが、そうではない。

この問題の根っこは、1985年のプラザ合意による急激な円高とそれに伴う不況で、そこまで遡って考える必要がある。

円高不況→金利引き下げ→バブル発生→急な金利引き上げと総量規制によるバブル潰し→金融危機とそれに伴う債務デフレ→消費税増税→デフレ深刻化

といった経緯がある。

しかし、当時の消費税増税は、まさに崖の上に立ってふらついている人の背中を押すような行為であり、満身創痍の日本にトドメをさすような行為であったことは間違いない。

また、結果論で批判することはしたくないのだが、財務省(当時大蔵省)と日銀は当時の政策の稚拙さを猛省すべきである。

もっとも、今般の拙速な増税を見る限り、財務省の方は何も学んではいないようであるが。

それから、公共事業は将来の生産性を高める目的で行うべきであり、景気対策目的でやるべきではない。

だからと言って不況下の景気対策を否定するつもりはないが、十分に資本が蓄積されている日本においては、必要なら国民一人一人に直接給付というような形で行うべきであろう。


05. 2014年2月26日 08:36:30 : UQlyJXi6zF
官僚制維持の為にやってる事が、ある時期からおかしいのが原因なんだよ。
規制緩和も重要。

新自由主義的な意味では無く、一々何やるにも資格試験を通らなくてはいけない等、労働に敷居を上げ過ぎ。


  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民85掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧