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クールジャパン、支援機構始動で海外展開の勝算は?巨額税金投入、ファンド出身者主導...
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140225-00010004-bjournal-bus_all
Business Journal 2月25日(火)4時18分配信
官民が出資する株式会社海外需要開拓支援機構、通称クールジャパン機構を中心として経済産業省が主導するクールジャパンは、安倍晋三政権の経済政策であるアベノミクスの成長戦略の「第3の矢」のひとつに盛り込まれた。
同機構はユネスコ無形文化遺産に登録済みの「和食」をはじめ、日本の伝統や生活文化、ファッション、アニメ、ゲームなどを手がける中小企業の海外展開を支援するための投資ファンドとして設立され、2013年11月25日から本格的に活動をスタートした。会長には元フジ・メディア・ホールディングス(HD)常務で現サンケイビル社長の飯島一暢氏、社長には元イッセイミヤケ社長で現松屋常務執行役員の太田伸之氏が就任した。2人ともアニメ、ドラマなどのコンテンツやファッションには通じているが、投資については専門外だ。
●ファンド出身者が主導するクールジャパン支援機構
同機構のキーマンは、ファンドの運用を担うCIO(最高投資責任者)に就いた吉崎浩一郎取締役。米投資ファンドのカーライルでアジア企業への投資を手掛け、現在は投資会社、グロース・イニシアティブの代表取締役だ。吉崎氏がカーライル時代に得意とした手法はLBO(レバレッジ・バイアウト)と呼ばれるもので、M&A(買収・合併)の対象となる企業の資産を担保に買い手が外部から資金を調達する手法だ。短期間のうちに投資を回収して売却益を上げる必要がある。
吉崎氏はカーライル在籍当時、日本企業は他のアジア企業に比べて収益性が低いということで投資の候補から外していた。民間の投資ファンドは投資家から集めた資金を運用して短期間のうちに売却益を上げるのが仕事であり、長期にわたり事業を育てることをその任とはしない。その吉崎氏は、同機構では事業を育てるために投資する。
非常勤取締役には元産業再生機構(2003年、主に企業再生促進を目的に設立された政府関与の特殊会社。07年にすでに清算)マネージングディレクターで、再生機構のOBたちが結集した投資会社、経営共創基盤パートナーの取締役マネージングディレクターの村岡隆史氏が就いている。クールジャパン機構は、実質的にファンド出身者らが取り仕切ることになる。
ファンドの資金は375億円。政府出資の300億円のほか、みずほ銀行、三井住友信託銀行、商工組合中央金庫、大和証券グループ本社、ANAホールディングス、エイチ・ツー・オーリテイリング、大日本印刷、高島屋、電通、凸版印刷、博報堂DYグループ、パソナグループ、バンダイナムコホールディングス、三越伊勢丹ホールディングス、LIXILグループの15社が5億円ずつ合計75億円を拠出した。経産省は15年3月末までに出資額を900億円、最終的には1000億円の規模にしたい考え。存続期間は20年程度を想定し、当初は1件当たり100億円以下の投資を行い、年率7〜9%のリターンを想定している。
●海外の放送網購入、デパート展開
同機構は、どのような企業に投資するのか。手始めは、アニメ、ドラマ、音楽などのコンテンツを放送するために、米国など海外テレビチャンネルの放送枠を購入。「ジャパン・チャンネル」というかたちでアニメなどを配信する。電通は「チーム・クール・ジャパン」、博報堂は「クール・ジャパン推進室」という名前の専従組織を発足させ、活動を開始した。
アニメやドラマなどコンテンツを保有するフジテレビを傘下に持つフジ・メディアHDは飯島氏を同機構会長に送り込んだ。各局のテレビ番組やアニメを配信することになる。社長の太田氏は海外で放送枠を複数買い取り、日本のコンテンツを配信することを"空中戦"と呼び、コンテンツ自体の売り込みは"地上戦"と位置付けている。地上戦では日本の食や製品を売るジャパンモールに投資する。地方にある隠れた特産品などを発掘し、セットにして世界に売り込む。
地上戦の第1弾は、シンガポールなどアジアの主要都市にある大型商業施設の一角を借り上げるか、ビル一棟を購入して日本食や特産品を扱うデパートを展開する計画だ。若者向けの衣料など、日本の文化に関連した商品も販売する。14年3月までに出店先を決め、民間企業の出資を募り、現地企業との合弁のかたちで1号店を出す。これに同機構は100億円程度出資する。
松屋が常務の太田氏を社長に送り込み、大手百貨店各社がクールジャパン機構に出資している理由は、食と製品のショッピングモールに注目しているからだろう。
13年はアベノミクスを後押しするために、官民ファンドの設立が相次いだ。同機構はリスクが高い分野に率先投資することで、民間資本の呼び水となる役割を担う。これ以外にも、民間資金等活用事業推進機構や農林漁業成長産業化支援機構などが創設された。
官民ファンドは金融機関に代わってリスクマネーを供給することになる。銀行は新しい自己資本比率の規制強化で、中堅・中小企業への融資には慎重にならざるを得ないからだ。
クールジャパン機構が想定している投資対象は、海外進出を計画している中堅・中小企業だ。銀行から投融資してもらえない、食やファッション、ゲームなどを手掛ける企業を想定している。年率7〜9%のリターンを確保するとなると、それだけリスクは高くなるが、関係者からは早くも「300億円の税金を投入する国家的事業が、不良債権の山を築かないという保証はどこにもない」との懸念の声も聞こえてくる。巨額の税金を投入した同機構が主導するクールジャパン推進が、日本の多彩なコンテンツの海外進出を加速させ、より大きなビジネスを生み出すことにつながるのか。アジア各国が日本同様にコンテンツ輸出に力を入れる中、残された時間は少ない。
編集部
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