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日本の「アベノミクス」は輝きを失いつつあるのか?(DW English)
(Is Japan's 'Abenomics' losing its luster?: DW English)
http://www.dw.de/is-japans-abenomics-losing-its-luster/a-17449139
経済
日本の「アベノミクス」は輝きを失いつつあるのか?
日本首相の「3本の矢」経済改革は有望なスタートを切ったが、その後、政府は約束した回復を確実なものにできていないではないか、という懸念が増大しつつある。
安倍晋三首相が2012年12月総選挙で地滑り的勝利を得てから数週間のうちに発表した、根本的な包括景気刺激策「アベノミクス」の長期的な効果について、日本政府は絶えず楽観的で肯定的なメッセージを出してきた。
安倍政権の最初の数ヵ月間は、肯定的な指標が幅広く見られた。首相は日本経済を苦しめているより深い問題を解決するために、財政刺激・通貨緩和・構造改革という、繋がりを持つ3本柱の政策を実施した。日本経済は、1990年代始めに日本経済のバブルが弾けてから、不景気か、良くても力ない好景気の状態だった。
安倍氏(中央)が就任後初のG8サミットに参加する頃までには、日本経済は最初の回復の兆しを示していた
6月、安倍氏は、北アイルランドで開催された就任後初のG8サミットに出かけた。1〜3月四半期の国内総生産が年率4.1%に上昇し、株価も前年11月から50%上昇したことに、安倍氏は元気づけられていた。
同様に、日本の家計金融資産の評価額は2012会計年度の最後の4半期で3%以上上昇し、2012年2月に1ドル76円と不調だった為替も、4月には100円を上回るまで回復し、輸出業者を大いに喜ばせた。
初期の中傷者
それでも、安倍氏の経済政策を中傷する人々は既に存在した。安倍氏の政策は細部において中身に乏しいと、彼らの多くは示唆していた。20年以上不振だった経済を好転させる計画にしては細部の精密さに欠けると。
そして、安倍氏が就任して14ヵ月、指標は見通しが急に暗くなったことを示している。2月20日、日本の通関ベースの貿易赤字が1月に2.8兆円(274億米ドル)と、1979年に比較可能なデータを集計し始めてから最大の月間赤字を記録したと、財務省が報告した。
国内の原発が送電網から外れた状態が続く一方で、エネルギーへの渇望を満たすための燃料費の輸入コストが高く、赤字が悪化した。他の主要通貨に対する円安も、輸入品の価格上昇の原因となった。
2013年の最後の3ヵ月間の日本経済は、年率1%という驚くような弱い成長だったことを示すデータが今週初めに発表されたが、貿易統計の数字はそれに追い打ちをかけるものだ。
さらに、もっと悪い事態がまだ間近にあるかもしれないと、エコノミストたちは警告する。エネルギー需要は夏の暑い数ヵ月間に増加し、また、4月1日に消費税が5%から8%に上がると、消費支出も−この数ヵ月間は堅調だったが−落ち込むことが予想されるからだ。
「派手な販売キャンペーン」
ブルームバーグニュースのアナリストであるウィリアム・ペセック氏は、アベノミクスを「派手で魅力的な販売キャンペーン」と述べたが、今のところ、約束したものを届けることがあまりできていないとも付け加えている。
「目に見え、触れることができ、裏返しにでき、感触を確かめられられるものを、私は待っている」と、彼は語った。「私はまだ、そうした成果を待っている。いろいろな意味で、2013年はアベノミクスにとって好機を逃した年だった。」
そして、安倍氏の矢の最初の2本はかなり機能した−量的緩和により為替相場が変動し、株式市場が好転し、補正予算が発動され、消費税増税も実施の運びに移せた−が、第3の矢が飛行中であることを世界の他の国々に示すために、首相はもっと多くのことをする必要があると、ペセック氏は強く考えている。
この数ヵ月間に日本の経済実績が悪化していることを、エコノミストたちは怖れている
それを行う1つの方法として、毎月1つずつ新たな改革に取り組べば良かった。しかし、今のところ安倍氏はどこか脇道に逸れていて、ベトナムやトルコに原発を売る外交使節になろうとしており、また、中国や韓国との主権や歴史をめぐる外交的な争いに取り込まれている。
「安倍氏は第3の矢を扱えていない。また、既得権益を攻撃するために大胆な措置をとる必要があるのに、それをせず、あたかも自由民主党のどの主要派閥も怒らせないように気を配っている。私にはそう感じられる」と、明治大学国際総合研究所客員研究員の奥村準氏はドイチェヴェレに語った。
目に付くような明るい材料はない
「現時点では、消費と輸出の観点から、経済はまだ非常にうまくいっていると主張できるが、数カ月後に経済を後押しする材料として目につくものは何も見えない」と、彼は付け加えた。
「そして、安倍氏は第3の矢について今真剣に取り組まない限り、経済が最終的に下降に直面した時、確実な方向を全く示すことができないという危険を冒すことになる」と、彼は強調した。
労働をめぐる諸課題や、社会の高齢化によりぼんやりと浮かび上がってきた、人口動態上の危機のいくらかを少なくとも予防するための措置に、注目する必要があると、奥村氏は語った。同様に、農業分野の改革や、社会のセキュリティネットの見直しも求められている。
安倍氏は構造改革に真剣に取り組んでいることを示すために、もっと多くのことをする必要があると、アナリストたちは語る
「最初の2つの矢は本質的に、経済のジャンプスタートを意図して設計されたマクロ経済的な政策だったが、構造上の欠陥は変わっていない」と、奥村氏は語った。「この第3の課題は、常に最大の難題であり続けた。日本社会を根本から設計し直すようなものだからだ。」
「安倍氏か政権の誰かが、この難題に応える現実的なビジョンを示す必要がある」と、彼は語った。「ネルソン・マンデラ氏に比肩するような経済手腕を持った誰かがこの国には必要だ−私たちが直面する課題は、それほど大きいのだ。」
発表 2014年2月21日
記者 Julian Ryall, Tokyo
編集 Gabriel Domínguez
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(投稿者より)
ドイチェヴェレの英語サイトに掲載された記事です。誤訳があるかも知れません。ご容赦ください。
記事が指摘したデータについては、裏を取りきれなかった箇所がありますので、どこかでこれをお使いになるならご自身でも確認して頂ければ有り難いです。
ネルソン・マンデラ氏が引き合いに出されています。アパルトヘイト廃止後に予期された南アフリカ共和国の混乱を未然に収め、人種を越えた国民の一体化を進めた方です。人間への深い愛と確固たる信念に裏打ちされた鮮やかな手腕は、目立った事件が何もなかっただけに、私にはどれほどのものだったか良くイメージできないのですが、恐らく欧米社会は、それを「奇跡」と捉えていたのではないでしょうか。その証拠に、欧米社会は氏の追悼式に最大級の礼を尽くしています。
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