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トヨタとホンダの大量リコール、世界に広がる日本車の「安全神話崩壊」〜日本叩きの懸念も
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140223-00010001-bjournal-bus_all
Business Journal 2月23日(日)6時54分配信
日本のコンパクトカーが「試練」に直面している。
2月12日、トヨタ自動車は2009年3月から14年2月までに生産した「3代目プリウス」で、ハイブリッドシステムに不具合があるとしてリコールを発表。対象は世界で190万台以上に上り、同車種のリコールとしては史上最大規模のもとなった。
そのプリウスのライバルとして知られる本田技研工業(ホンダ)のハイブリッド車(HV)、新型フィットもリコールが続いている。自動変速機の不具合が見つかり、ヴェゼルとともに計8万1353台のリコールを届け出た。リコールは昨年秋の発売以降3回目。プリウスに対抗するために採用した新しいハイブリッドシステムや変速機方式にホンダが不慣れだったなどの原因が囁かれているが、ホンダでこのような事態が起きるというのは前例がない。
日本の自動車産業を牽引する2台のリコールがこのタイミングで発表されたことで、国内だけではなく世界市場への悪影響も懸念される。というのも、実はこれらのリコールの直前、日本のサブコンパクトカーに対して非常にネガティブな情報が発信されているからだ。
●サブコンパクトカーへの厳しい評価
1月22日、米道路安全保険協会(IIHS)は「スモールオーバーラップ」と呼ばれる新方式の車両衝突テストを実施。あらゆる車種の中で「サブコンパクトカー」が最も危険度が高いとされ、特にプリウスなどの日本車がことごとく低い評価となったのである。
11車種の中で「最悪」とされたのはFIAT 500(伊フィアット)とフィット(ホンダ)だった。特にフィットに関しては、運転席のダミー人形の破損度という点では、尻や膝などのダメージが著しく「poor」という評価が唯一2つもつけられた。
これまで日本車といえば、高性能と安全という面が高く評価されてきた。事実、先日発表された米調査会社JDパワー・アンド・アソシエイツによる、「2014年版自動車耐久品質調査」では、トヨタのレクサスが3年連続のナンバーワンに輝いている。
にもかかわらず、サブコンパクトカーでは日本車勢がことごとく低い評価が出たということは、アメリカでも驚きをもって伝えられ、一部のジャーナリストはテストそのものの公平性を疑う声も上げている。
●形成されるネガティブ・イメージ
だが、いずれにせよこのようなネガティブな結果が発表された直後、大規模リコールがなされるという意味は大きい。事実、海外メディアではすでに日本車に対するネガティブなイメージが形成されつつある。
「先日の衝突テストの結果を受け、現地メディアの間では、日本のハイブリッドカーは過熱する低燃費競争から、行きすぎた軽量化で安全性を軽視しているのでは、などという馬鹿げた話も出てきている。なかには『日本のコンパクトカーはゼロファイター【編註:零戦の意味】みたいだ』などとジョークを飛ばす者もいる」(在米ジャーナリスト)
太平洋戦争時、その高い機動力で連合軍のパイロットを恐怖のどん底に突き落とした「零戦」は、徹底した軽量化がなされたことで知られている。ネジの頭を削り、戦闘機として不要な部分はすべてくり抜いた。結果、零戦は防弾燃料タンク、防弾板、防弾ガラス、自動消火装置などが搭載されていなかった。つまり、戦闘機としての性能を極限まで高めるため、「パイロットの安全」まで配慮されなかった。低燃費を追い求める日本の自動車も、これと同じだというわけだ。
過去にはこうした「言いがかり」から、すさまじいジャパン・バッシングが引き起こされたケースもある。
「かつてプリウスは、他車のフロアマットを使ったドライバーが急発進事故を起こしたことがきっかけで、大バッシングを受けました。競争が激しい自動車市場では、何が攻撃材料にされるかわかりません」(同)
零戦といえば、開発者・堀越二郎を主人公のモデルとした映画『風立ちぬ』(13年)が米アカデミー賞長編アニメ部門の候補作としてノミネートされ、アメリカでもそれなりに反響があるという。堀越はのちに零戦が被弾に弱かった事実を指摘され、「戦闘機に防弾がなかったとしても当然である」と反論している。戦争という特殊な事情はあるが、かつて日本では、たしかに搭乗者の安全より軽量化を重視した時代があった。そのイメージが悪用されないことを祈りたい。
藤田京二
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