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[モスクワ 20日 ロイター] -23日に閉幕するソチ冬季五輪。約2週間にわたって繰り広げられた熱戦に幕が下りるが、今度は、ソチ五輪開催に関わった建設業者や投資家が、来るべき「一斉捜査」に戦々恐々とする番かもしれない。
ソチ五輪をめぐっては過去数カ月、開催費用が過去最大規模に膨らんだことや、汚職や不正行為に対する批判が上がっていたが、プーチン大統領はそうした問題について、証拠があれば大会終了後に捜査を行うと明言している。
大統領は今月に入ってソチ当局者に対し「莫大な投資が行われた。今はその価値があったかどうかや、金額が膨らんでいたかどうかを議論する時ではない。それは監督当局に解決させよう。彼らはやるはずだ」と語った。
しかし、多くのロシア国民は、豪華な競技場やホテルなどの建設に多額の資金を注ぎ込んだ財界の要人たちの責任は問われず、その代わりに現地の下級官僚たちが罪を負うことになる可能性が高いと考えている。
政治アナリストらによれば、そうすることで、責任追及を求める世論の声に配慮を示しながらも、政治的悪影響は最小限に抑えることができるからだ。
ソチは五輪開催地となったことで、スターリンが愛した旧ソ連時代の寂しいリゾート地から、21世紀型都市に化粧直しが施された。
ただ、プーチン大統領が、五輪開催都市としての仕上がりに完全には満足していないことは明らかだ。
確かに、プーチン大統領は山間部の施設や新たな下水処理場や道路、総数4万室を超えるホテルなどは称賛した。海沿いに建つホテルから見下ろせる港には、7日に五輪が開幕してから大型客船がいくつも停泊している。
しかし、ヤシの木が並んだ海辺から目を移すと、ソチには、完成途中でクレーンなどの重機も放置されたままの集合住宅が点在する。新たに敷設された線路沿いにも、放棄されたコンクリート建物の残がいが残されたままだ。
プーチン大統領は「ソチがはるかに良くなったとは思わない。実際には正反対だ。人々は『いつになったら無秩序で無分別な建設がやむのか』と話している」と不満を隠さない。
親プーチン派の政治アナリスト、セルゲイ・マルコフ氏は「社会が求める以上、処罰はあるだろう。政府は罰する対象を見つけるはずだ」と指摘。経済界や地元自治体の「担当者」が責任を負わされる可能性が高いとの見方を示した。
<プーチンの五輪>
ソチ五輪の開催とそれに伴うインフラ建設の費用は総額510億ドル(5兆2020億円)に上るとみられているが、反政府側は昨年に出した報告書で、そのうちの300億ドル前後が横領されたか無駄に使われた可能性があると指摘した。
プーチン大統領は汚職横行の証拠は得ていないと語っているが、ロシア当局者らは、ソチ五輪開催にからんで甘い汁を吸ったり、裏金を手にしたりした業者や関係者を追及する方針を明確にしている。
国内の景気が低迷していることなどを考えれば、ロシア政府も五輪プロジェクトでかかった費用の一部を取り戻す必要があるだろう。
五輪に関わった関係者へのインタビューからは、プーチン大統領自らがプロジェクトの大半ににらみを利かせていたことが明らかになっている。施設の建設を監督する国営会社オリンプストロイを設立するよう指示したことから始まり、実際の建設経過にもチェックを入れていたという。
また複数の当局者によると、プーチン大統領はオリンプストロイに対し、厳しい期限や契約条件を設定し、期限内もしくは予算内に工事が完了しない場合はコストが発生することを周知させるよう求めていた。
今のところ、こうした条件を守れなかったと公に発表されているのは1社だけだ。スキーのジャンプ競技場の建設を請け負っていたアフメト・ビラロフ氏は昨年、工期の遅れとコスト超過をプーチン大統領から批判され、責任者の職を解かれた。
ビラロフ氏は国外に逃れたが、ジャンプ競技場の工期遅延とコスト超過で処罰される代わりに、多額の公費横領の罪に問われた。同氏は容疑を否定しており、一連の動きには政治的動機が背景にあるとしている。
<次は誰か>
ロシアでは、ビジネスや政治の世界での成功は、個人的つながりに左右される。捜査や訴追の脅威は、ソチ五輪終了時には重鎮レベルの責任が問われるのではないかという観測にもつながっている。
一部メディアの憶測は、メドベージェフ首相に集中している。プーチン大統領にとってのメドベージェフ氏は、物事がうまくいかなくなり始めた時の「いけにえの子羊候補」と広くみられているからだ。
また、ロシアの新興財閥関係者の中では、国営ロシア鉄道の社長ウラジーミル・ヤクーニン氏が最も危険な立場にあるとみられている。同社が手掛けたソチとクラスナヤポリヤナを結ぶ全長50キロの新設鉄道の工費は推定80億ドル(8160億円)に上るとされ、多くの人を驚かせた。
ヤクーニン氏の去就についてはこれまでも憶測を呼んでいたが、同社筋は、社長の任期は今年6月までであり、延長されるかどうかは株主総会での決定次第だと語った。
同国経済紙ベドモスチによると、ロシア鉄道はボランティアや派遣労働者向け住宅の建設工期を守れなかった場合、104億ルーブル(約306億円)の損害賠償金を支払わなければならなくなるという。同社の広報担当はコメントを差し控えている。
他の新興財閥企業家たちが手掛けたソチ五輪関連施設は、概ね好評だ。
ロシア7位の富豪ウラジーミル・ポターニン氏の会社インターロスは、スキー競技会場となったロザフトルの施設を685億ルーブル(約1990億円)で建設し、これまでのところ好評を得ている。
推定資産総額85億ドル(約8670億円)超を誇るオレグ・デリパスカ氏は、ソチの空港と港、一部選手村の改築や建設に携わり、港での一部のコスト超過についてはオリンプストロイを非難した。同氏とポターニン氏らは、政府に一部コストの充当を求めている。
一方、五輪担当のドミトリー・コザク副首相ら複数の当局者は、ソチ終了後に一斉捜査や関係者の「首切り」があるとの見方を否定。ソチでは、6月に主要国首脳会議(G8サミット)、10月に自動車レースF1のロシア・グランプリの開催が控えており、そうした一斉捜査などがあれば、今後の現地での作業に支障をきたす可能性があるからだ。
セルゲイ・イワノフ大統領府長官は「五輪に狂気じみた資金を費やしたという話をしばしば耳にするが、すべてのインフラはG8開催に寄与する。なぜなら、すべて準備が整っているからだ。これこそ五輪の遺産だ」と語った。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA1L00L20140222?sp=true
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