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働く女性増加の経済波及効果?広い業界で新ビジネス創出、売り上げ拡大の起爆剤に
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140222-00010000-bjournal-bus_all
Business Journal 2月22日(土)6時48分配信
ここ近年、働く女性の増加に伴い、女性の購買力が高まっている。ニッセイ基礎研究所のリポートは、「女性の可処分所得は男性に近づいており、女性の購買力は高まっている。働く女性マーケットは、景気低迷の中でも拡大余地のあるマーケットと言えるだろう」と分析している。また、総務省が行った年収別全国消費実態調査においても、男性の消費率より女性のそれが全年収分類において上回っているという結果になっている。
今回は、こうした「働く女性の増加」「女性の購買力向上」が、広い業界で新しいサービスや商品を生んだり、売り上げ増を呼んでいる具体例を見ていこう。
【事例1】
働く女性の急増で保育園、託児所、学童保育、ベビーシッターなどの需要が高まっている。矢野経済研究所によると、その理由は「経済環境の悪化を背景とした働く母親の増加」だと分析する。こうしたニーズの高まりに対応し、業界初「365日24時間受付」を可能にするという新しい保育サービスで人気を集めているのが、ポピンズコーポレーション。利用者からも「スタッフがとてもよく教育されており、丁寧」(30代公務員)、「仕事が不規則なのでありがたいシステム」(30代飲食業)と評判は上々のようだ。
【事例2】
厚生労働省発表の「2012年度版働く女性の実情」によると、女性の年齢階級別労働力率は20〜60歳まで60%以上と高い数値をキープしている。そのデータは、家事がいまだに女性の負担となっているケースが多い中で、家事に対する代行ニーズが今後も増えることを示唆している。
そんな中で、働く女性への家事代行として人気なのが、カナダ生まれの世界最大ネットワークを誇るハウスクリーニング会社・モーリーメイド。「クオリティを追求する」という姿勢が働く女性たちの共感を得て人気となっているようで、利用者からも好評のようだ。ハウスクリーニングの業者数は10年前から比較して微増(タウンページ登録件数データより)程度だが、「女性の社会進出、夫婦共働きなどの時代背景もあり、ハウスクリーニングを依頼するニーズが高まっていると言える」(タウンページデータベース)と分析されている。日本ハウスクリーニング協会も「年々お掃除を依頼する方が増え続けていることは確かですし、働いて忙しい女性にとっては、お掃除に対する概念が10年前とはすっかり変わり、頼みやすくなってきたことも確か」としている。
実際に「値段が安ければ利用してみたい」と回答しているのは既婚女性全体の45.7%(朝日大学 マーケティング研究所調べ)に上り、料金設定によっては今後さらなる人気が出ると予想される。
【事例3】
経済情報サイト・SankeiBizによると、働く女性たちをサポートするため、時間や生活にゆとりのある高齢者のパワーを生かすビジネスが浸透してきたという。助けがほしい子育て世代の女性と、働く意欲にあふれる高齢者のニーズをマッチさせ、人件費の安さからくる低料金を武器に、働く女性向け家事代行事業を拡大しているのが、「かじワン」だ。1時間あたり1980円と相場より割安。その理由として、年金暮らしの高齢者が7割(キャリアブレイン取材より)というスタッフ体制がある。
利用者からは「まさかここまで綺麗になるとは思わなかった」(10代会社員)、「値段も驚異的に安くて助かる」(30代看護師)といった驚きが入り混じった喜びの声が多い。「家事サービス」に関する全国年間平均支出額は9486円(タウンページデータベース)とのことで、定期的に利用してもらうためには、「かじワン」のような低価格でのサービス提供が今後も求められるだろう。
【事例4】
営業職などで働く女性に必須の「女性用スーツ」。この分野でもニーズの高まりがある。その牽引役ともいえるのが、06年にこの分野に本格参入した紳士服最大手・青山商事である。同社広報室によれば、「最近ではフレッシャーズや働く女性向けのレディススーツにも注力している」という。女子アナウンサーをイメージキャラクターにした「アンカーウーマン」というキャリア女性向け新ブランドや、女優・佐々木希がプロデュースしているブランド「n line by nozomi」でも、キャリア女性向けのラインを昨年秋から展開して好調のようだ。同社広報室によれば「レディースはセット購入比率が高く、客単価は高いです。レディースの売り上げは前年比2桁増で推移しています」とのことだ。
●日本経済成長の要
このような事例のほかにも、働く女性の増加により売り上げ増が見込まれる業界は多い。
リビングくらしHOW研究所のリポート内アンケートでは、働く女性の9割が「オフィス内でおやつを食べている」と回答。特にチョコレートとクッキーの人気が高く、「食品メーカーだけではなく、他の業界の商品・サービスにおいても、オフィス内でのおやつに絡めた展開をすることで彼女たちの消費にひと押しできる可能性は十分あるのでは」と分析している。
また、「時短」というキーワードも、「働くママ」のニーズだという。同研究所発行の「くらしHOWマガジン」によると、そのニーズに合致したビジネスとして、習い事や体験をワンストップでできる人気施設・ウィズダムアカデミーを紹介している。この施設は「母親の“タイムバリュー”応援となっているのです」とのことで、約 30 種類の文科系習い事が施設内で選べるそう。今後はスイミングやダンスなど運動系の習い事もできる施設として拡充する計画があるとのこと。
総務省が発表した「12年 就業構造基本調査」によると、働き盛りにあたる25〜39歳の女性のうち、働く人の割合が69.8%と過去最高を更新したという。加えて、日経新聞電子版によると、企業による女性の活用拡大や、家計を支える収入面の事情から子育て世代も離職せずに働き続ける傾向が強まっているようだ。日本経済の持続的な成長には女性の活用が重要で、女性にとってより働ける環境の整備が必要といえそうだ。
女性の所得が向上することで、女性の消費パワーが生まれる。さらに家計の購買決定者は女性であるケースも多いことから、「働くママ」が増えると、「教育、調理食品、外食、自動車関連、通信費etc.が増え、経済波及効果はあらゆる業界に関係する」(「くらしHOWマガジン」より)ともいわれる中、三菱総研の推計では、女性労働力率は今後少なくとも2017年まで右肩上がりと予測している。日本経済の拡大にとって、「働く女性の増加」は、もはや最も重要な要因のひとつといえるのではないか。
成田男/フリーライター
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