http://www.asyura2.com/14/hasan85/msg/750.html
Tweet |
本株を売ったソロス・ファンド、世界景気減速を先読み[日経新聞]
日経QUICKニュース(NQN) 編集委員 永井洋一
2014/2/20 13:33
著名投資家、ジョージ・ソロス氏が率いる「ソロス・ファンド・マネジメント」が日本株を売っていた。ソロス氏は昨年末、日本を含め、世界景気の先行きに慎重な見方に転じたようだ。ただ同ファンドはもともと、日本株を大量に保有していた訳ではない。ソロス氏の日本株売りを過大視する必要はなさそうだ。
同ファンドが今月14日、米証券取引委員会(SEC)に提出した2013年10〜12月期の四半期報告書で明らかになった。
1990年代前半、英国が自国通貨のポンド防衛のために実施した為替介入に対し、空売りで対抗し、巨額の富を得たことで知られるソロス氏。その相場観は現在も多くの投資家の注目を集める。今年1月の日本株の急落場面では、「ソロス氏が売りに回った」といううわさが世界の金融市場を駆け巡ったとされる。
実際、直近の昨年10〜12月期の報告書からは、ソロス氏が日本株の売りに転じた事実が浮かぶ。ソロス・ファンドが、この期に売却したのは日本株の上場投資信託(ETF)「ウィズダムツリー・ジャパン・ヘッジド・エクイティ・ファンド」と、このETFのコールオプション(買う権利)。ETFは昨年4〜9月期中、コールは昨年7〜9月期に保有し、売却する直前の昨年9月末時点の評価額は合計5030万ドル(約51億円)だった。
ソロス・ファンドは12年10〜12月期にも「アイシェアーズMSCIジャパン」という別の日本株ETFを292万ドル(約3億円)保有していたが、翌1〜3月期には売却していた。
報告書からソロス・ファンドは、個別銘柄の保有期間が短く、「物言う株主」のアクティビストファンドに比べ、1銘柄あたりの投資金額が少ないという特徴が浮かぶ。報告書から割り出すと、13年12月末時点でファンドが運用する証券の評価額は合計約120億ドル(約1兆2000億円)に上るが、保有銘柄数も約240に達する。1銘柄当たりに引きなおすと50億円程度にとどまる。1年以上保有している銘柄は米アップル株や米グーグル株、米ペプシコ株など全体の五分の一程度にすぎないとみられる。
報告書からは昨年末までの動きしか分からず、今年になって金融市場で流れたというソロス氏の日本株の売り仕掛け説をうかがい知ることはできない。12年暮れから13年春にかけて円売りで10億ドル(約1000億円)稼いだとされるソロス氏だけにソロス・ファンドとは別の部隊で動いているのかもしれない。ただ、ソロス・ファンドの動きに限ってみれば、昨年末までに日本株買いに大きく賭けた形跡がみられなかっただけに、逆に新たに空売りで大きく持ち高を築くとも考えにくい。
むしろ気になるのは、米株の先行きに対する見方だ。7〜9月期から10〜12月期にかけて大きく持ち高を増やしたのは米S&P500種株価指数に連動したETFのプットオプション(売る権利)だった。その資産評価額は昨年12月末時点で13億ドル(約1300億円)と9月末に比べ3倍近くに急増した。これは米株が下がると利益が出る商品だ。保有する証券の総評価額は昨年9月末から同12月末にかけて3割近く増えたため、それに伴うヘッジ需要が増したとも考えられる。だが、この時期には非鉄の米アルコアのプット購入や世界的な消費関連株のVISA売却に動いており、これらを併せて考えると世界景気の先行きに慎重な姿勢がうかがえる。
米株の先行きについて慎重なヘッジファンドはソロス・ファンドに限らない。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の投機筋(非商業部門)によるS&P500先物の持ち高は今月11日時点で1年5カ月ぶりに売り建玉(未決済残高)が買い建玉を上回った。
従ってソロス氏の日本株売り説は、世界経済の先行きに対する見方の変化という文脈でとらえたほうが良いのではないだろうか。だが「安倍晋三政権の経済政策『アベノミクス』に飽きた」という言葉の裏には、経済から防衛・教育へと軸足を移しつつある安倍政権を不安げにみている外国人投資家の視線があることも確かだろう。
http://www.nikkei.com/markets/features/26.aspx?g=DGXNASFL200LH_20022014000000
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。