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廃ペットボトル買いあさる中国…崩れるリサイクル[日経新聞]
2014/2/20 7:00
石油などの資源に乏しい日本は「循環型社会」をめざして、使用済みペットボトルといったプラスチックごみを容器などに再生利用する仕組みを発達させてきた。このリサイクルを推し進めるうえで目下、頭の痛い問題となっているのが、廃ペットのかなりの量が海外に流出しているという事実だ。貴重な再生資源の多くが正規のルートに乗ることなく、仲介業者を通して中国などに高値で売り払われてしまっている。その背景を価格面から探った。
■中国に高値で流れていく
「採算はとても厳しい」。廃ペットを樹脂原料に再生する関東の業者は頭を抱える。昨年夏に入札で競り落とした廃ペットの価格が大幅に上がり、販売する再生樹脂の値上げが避けられなくなった。それでも原料高をすべて製品価格に転嫁するのは容易ではなく、収益悪化を招いている。
家庭ゴミなどから分別収集した廃ペットは市町村が回収し、法律に基づいて日本容器包装リサイクル協会(容リ協)が実施する入札を通して再生事業者に引き渡す。落札した再生業者が樹脂原料に再生し、容器メーカーなどに販売する流れだ。昨夏の入札の平均落札価格は1キロ約48円と、前回入札より2倍以上高くなった。最高値をつけた2年前の入札に次ぐ水準だ。
原因は諸説あるが、構造的な要因として常に指摘されているのが、入札に出される廃ペット量の少なさだ。業界団体によると、全国の自治体の廃ペット収集量は2012年度で28万9千トン。これに対し容リ協への引き渡し量(入札量)は19万5千トンにとどまる。容リ協に登録する再生業者の処理能力は年40万トンを超え「構造的な売り手市場」(再生業者)とも呼べる状態が廃ペットの高値の一因となっている。
容リ協に引き渡されない廃ペットは主に中国に流出している。自治体には回収した廃ペットを容リ協に引き渡す義務はなく、独自に仲介業者を通して輸出したほうが有利と考えているようだ。中国の貿易統計によると、廃ペットを含む「PET(ポリエチレンテレフタレート)くず」の日本からの輸入単価は13年12月時点で1キロ0.73ドル。円換算すると同70円を超える計算になり、自治体側からすれば運賃などを考慮しても容リ協の入札で売るより輸出をしたほうが利幅が大きいことになる。
中国でこれほど高値で売れるのは、きれいに洗浄された日本産のPETくずは雑貨やぬいぐるみのつめ綿用などに人気があるため。最近は円安の影響もあって輸出の有利さが増しており、13年の中国向け輸出量は38万5350トンと前年を15%以上上回った。石油由来の新品PET樹脂の取引価格が1キロ1.2ドルを超えていることを考えると、日本の廃ペットは中国側からみればなお手ごろだといえる。
■経済性に左右されるリサイクルの弱点
こうした中国の「高値買い」が未来永劫(えいごう)続く保証はない。中国側の輸入価格は2年前には1キロ0.9ドルを付けていた時期があり、今はそれと比べると値下がりが鮮明だ。中国で合成樹脂・繊維原料の増産が続く中、景気減速が鮮明になり素材需要が伸び悩んでいることが背景にあるとみられる。今後も価格下落が続けば日本から中国への輸出採算が悪化することになる。そのとき、廃ペットが国内に回帰するのかどうか。
容リ協の入札制度改革の検討委員を務めた資源・食糧問題研究所の柴田明夫代表は「ペットボトルのリサイクルは自治体や飲料メーカー、再生事業者など複数の関係者で支えられており、誰かが得をしようとするとうまく回らない。再生資源を目先の経済性だけで考えるのではなく、利益や負担を分かち合う発想が欠かせない」と指摘している。
(商品部 小野嘉伸)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDJ1301H_X10C14A2000000/?dg=1
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