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円安になっても株価が反応しない日が間近に迫っている!
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ogasawaraseiji/20140220-00032831/
2014年2月20日 13時35分 小笠原 誠治 | 経済コラムニスト
日本の株価の特徴は何か?
そうです、ニューヨークの株価に連動する。そして、円安になれば株価が上がる。
そのように誰もが思っているでしょう。特に、最近1年間の株価の回復ぶりは、誰が何と言ってもNYの株価が高値を更新し続けたことと、それまでの超円高が修正されて円安が進行したことが大きいでしょう。
そういう状況にあって、先日、渡辺国際協力銀行総裁が気になることを言いました。
「3月には市場が荒れるかもしれない」
まあ、市場が荒れるかもしれないと言われても、多くの人々はそれほど驚かないかもしれません。というのも、市場なんてよく荒れる訳ですから。
しかし、問題は、何故3月に市場は荒れるかもしれないと、渡辺国際協力銀行総裁が言ったか、です。
彼が言っていることは次のとおりです。
・2月の経常収支も赤字になり、経常赤字が5か月続くと、日本の経常黒字国だという市場のイメージが変わる可能性がある。
・この結果、政府が何らかの手を打たなければ3月に市場は荒れるだろう。
さあ、如何でしょうか?
ただ、ここで細かいことを言うのならば、2月の国際収支が発表になるのは4月になってからですので、3月に市場が荒れると言うのであれば、3月に2月の経常収支の予想値を見た結果ということになるでしょう。
いずれにしても、私は、渡辺総裁が言わんとしていることがよく分かるのですが、市場関係者はどう思っているのでしょう?
まだまだ経常黒字国という日本の体質が変わる筈がないという人が多いようにも思えます。現に、日本貿易会の槍田会長(三井物産会長)も、19日の記者会見で次のように述べているのです。
「貿易赤字の定着に違和感はない」、「国内製造業が海外生産を増加するなど、日本経済の構造の変化を反映している」、「その分、所得収支の増加といった形で、ある程度の経常黒字が維持される形になる」
つまり、日本経済が貿易赤字に転落しても、経常黒字の体質は維持されるのだ、と言っているのです。そして、それと同時に、「(貿易赤字は)悪いことではない。経済成熟の1つの形だ」とまで。
最近この手の意見が流行しているようですね。
貿易赤字の何が悪いのか、と。
確かに、貿易収支が黒字になろうが赤字になろうが、黒字だから得をしたとか、赤字だから損をしたというのではないのはそのとおり。しかし、貿易赤字が長く続き、しかも経常収支まで赤字になるということは、その分外貨の蓄えが減っていくことを意味する訳ですから、基軸通貨国の米国などを例外として、そのような状態がいつまでも続くことなどあり得ないのです。
そんなのは基礎中の基礎ではないですか。しかし、それにも拘わらず、貿易赤字の何が悪いのか、という人が増えています。
もちろん貿易赤字に陥っても、経常黒字をいつまでもキープできれば、急に不都合が起きる訳ではないのはそのとおり。(しかし、貿易赤字になるということは、日本のおける雇用の場が海外に移転すると言うことを意味し、だから労働者にとっては大変に問題です)
だから、日本貿易会の会長の言うとおり、日本が経常黒字を今後もキープできる可能性があるのなら、それほど深刻になる必要はないかもしれません。
しかし、そうは言っても、貿易赤字の拡大ぶりが尋常ではないのです。本日、1月の貿易収支が発表になりました。
なんと2兆7900億円の貿易赤字で、赤字の規模は1979年以降では過去最大なのだとか。恐らくこの調子では、1月も経常収支が赤字になるのは間違いないでしょう。
では、その後の2月はどうなるのか?
1月の貿易赤字がこれだけ大きくなった理由は、燃料輸入と駆け込み需要によるところが大きいと言います。そうした要因は、2月になっても特に変わることはない筈なので、このままでは、2月の貿易収支も巨額の赤字を記録し、そうなると経常赤字が5か月連続する可能性が大きいのです。
そして、3月以降、日本が経常黒字国であるというこれまでのイメージが少しずつ変化し始めるならば、恐らく違った意味でさらに円安に振れないとも限らないのです。
つまり、日本は経常赤字に移行しつつあるから、円安が進んで当然なのだ、と。
そのようにして円安が進行するとき、果たして市場は今までのように円安をプラスの材料として受け止めることができるのでしょうか?
私は大いに疑問だと思うのです。
何故ならば、経常黒字を背景としながら、日銀の超緩和策によって円安がもたされる今まで状況とは全く違うからであり、そうやって円安が進む場合には、金融政策の自由度も大きく制限されてしまい、お金を市場にじゃぶじゃぶ供給するような政策が採用できなくなってしまうからなのです。
そして、金利は徐々に上がり出して行き、そうなると政府は、国債の利払い負担が増大するのです。
今まで恵みの雨であった円安が、今度は日本経済の実力が落ちたことを示す円安になるのです。だから、否が応でも円安に対する受け止め方も変わるでしょう。
というか、こうして円安が続いても輸出は思ったとおりに増えないのですから。現に1月の輸出は、輸出数量ベースで見て、再びマイナスになっているのです。
政府はそのような事態にどう対処しようというのでしょうか?
本日の新聞をみると、2014年中にデフレ宣言ができるかどうか、なんてことが記事になっていますが、私に言わせたら相当遅れているとしか言いようがありません。
ついでに言っておきますが、日本貿易会の会長さんって、三井物産の会長さんでしょ?
商社にしてみれば、貿易の量が多いか少ないかだけが自分たちの利益に直結することであり、日本の貿易収支が黒字であるか赤字であるかは直接自分たちの利益に関係しないから、貿易赤字は悪いことではない、なんて気楽なことを言うのです。
以上
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