http://www.asyura2.com/14/hasan85/msg/739.html
Tweet |
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20140220/ecn1402200726002-n1.htm
2014.02.20 経済快説
金メダルで日本を熱狂させた羽生結弦。今後は強化費拡大と応援の品格が重要に(大里直也撮影)
男子フィギュアスケートで羽生結弦選手が金メダルを獲得したことで、五輪の話がしやすくなった。観ているわれわれは自分が努力したわけではないのだが、ある種の達成感を得た。
ソチ五輪に関して、陸上競技で活躍した為末大氏が『日刊スポーツ』に寄稿したコラムが面白かった。為末氏は、他の先進国と比較して日本の五輪選手強化予算が小さいことを挙げ、にもかかわらず選手に結果への過大な責任意識を求めることのアンバランスを、「ブラック企業を想像してしまう」と批判している。
国民が選手にそれだけ要求するなら、国は選手にもっとお金を掛けてもいいのではないか、という問いかけだ。選手に結果を求めず、その代わりお金も掛けない、という選択肢も為末氏は示しているが、氏の本意は前者だろう。
筆者は、五輪の強化費を何倍かに増額することに賛成だが、それと選手へのプレッシャーとは別に扱うべきだと考える。
端的に言って、五輪の選手強化費用を数倍にすることは、投資としてペイする。日本人は「五輪好き」だし、さらに2020年の東京五輪「興行」への効果だけでも十分なリターンがあるだろう。
夏・冬いずれでも五輪が盛り上がることは、地元・東京での五輪開催への関心を高める。ハコモノにばかりお金を掛けて、肝心の競技への関心が高まらないのでは興行は成功しない。この際、東京都もお金を出してはどうか。石原慎太郎元知事が沖縄県・尖閣諸島の魚釣島を買うために集め、今や行き場のない寄付金などは、出資者に返すのでなければ、五輪の強化費に使うのがいいと思うがどうだろうか。
なお、五輪の「強化費」はあくまでも選手のために使ってほしい。選手数113人に対して「役員」が135人といったソチ五輪の日本選手団の構成を見ると、強化費が選手でない人たちのために費消されてしまう心配を禁じ得ない。強化費増額の際には、資金配分の仕組みを見直したい。
ただ、国や自治体が支払う五輪向け強化費を増額すると、選手には、間違いなくこれまで以上のプレッシャーが掛かるようになるだろう。
国民の意識を変えないと、「多額の税金を使っているのだから、もっとマジメにやれ」と選手に圧力をかける「残念な国民」も増えそうだ。
もともと五輪は、国ではなく選手が個人単位で優劣を競う場だ。国民は、ただ優れた同国人選手を、応援すると共に少々支援させてもらっているに過ぎない。応援はしても、責任など求めないのが、正しい「旦那の道」であり、日本人なら分かるはずの「上品」の世界だ。
スポーツをナショナリズムに利用する途上国的熱狂とは一線を置いた文化を東京五輪までにしっかり育てて、外国人に見せてやりたいものだ。(経済評論家・山崎元)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。