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http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140220/dms1402200722001-n1.htm
2014.02.20 「日本」の解き方
財務省が「国民負担率」の推計を公表した。この数字自体は毎年公表されるものであるが、2014年度は過去最高の41・6%になる。また、財政赤字を含めた「潜在的な国民負担率」は、13年度の52・2%から0・3%低下した51・9%となった。
財務省としては、14年度の国民負担率は過去最高であるが、潜在的な国民負担率は財政赤字が減ったので、13年度より低くなって、財政再建の一歩になったと言いたいのだろう。
ただし、財務省の発表文をみると、ちょっとセコい。14年度に国民負担率が上がる理由として、「厚生年金等の保険料率の引き上げや高齢化等に伴い社会保障負担率が若干増加することや、景気回復、消費税率引き上げ等」と書かれている。
ただし、保険料の引き上げや社会保障負担率の増加は、大きな理由ではない。これは財務省の公表した資料で、国民負担率の増加1%ポイントのうち社会保障負担は0・1%ポイントでしかない。残りは租税負担である。つまり消費税増税であるが、理由の最後に触れているだけだ。
こうした理由の順番は、大きいものから書くのが常識だろうが、財務省の場合には、都合の悪いものは後回しになるようだ。
さらにいうと、「潜在的な国民負担率」という概念も、やや怪しい。財政赤字を加えるのは一つの考え方であると思うが、財務省の場合には、そこに恣意(しい)的な操作を加えている。一時的な特殊要因を除いた数値として財政赤字をとらえているのだ。
財政赤字そのものは、フローの数字であるので、会計操作により一時的に増減させることができるが、特別会計からの一般会計への繰り入れを選別的に除くのはどうであろうか。
特別会計へのつけ回しは、かなり頻繁に行われているが、それらを網羅的に調整するのであれば、理解できなくもないが、特定年次における特別会計からの繰り入れ(いわゆる埋蔵金処理)を除いて赤字をかさ上げするのは問題なしとはいえない。むしろ、毎年度の会計操作の影響が表れにくいストックベースの数字で比較すべきだろう。
また、先進国間での潜在的な国民負担の比較をしているが、財政赤字のベースが日本と欧州で異なっており、まともな国際比較とはいいがたい。
国民負担率の国際比較は、比較基準も統一されており、それなりに有用なデータである。それによれば、日本の国民負担率はОECD33カ国中7位の低さである。財務省は、国際的にみても国民負担率が低いのだから、もっと高めてもいいという魂胆だ。
ただ、日本より高い数字の26カ国中23カ国は欧州の国で、日本より低い数字の6カ国中、欧州の国は1つしかない。非欧州の国の中で見れば、日本の国民負担率は決して低いとはいいがたい。
マスコミは資料を渡されても、ろくに見ないで記事を書くのかもしれないが、この程度は資料に書かれていることだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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