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建設現場、人手不足が深刻 発注きても受けられず
2014/2/18 22:12
建設現場の人手不足が深刻になっている。復興関連や公共事業、民間建設の工事が増加する一方で、就業者は減っており不足感が強い。資材値上がりも加わり建設コストが上昇。自治体の発注工事で採算割れを恐れる建設会社が入札への参加をためらう「入札不調」も相次ぐ。工事現場のフェンスの向こう側で何が起きているのか。
「鉄筋工事の会社なのに、社員寮は木造なんですよ」。東京・江東区の鉄筋工事会社、小黒組の内山聖会長は苦笑する。
昨年12月、同社は3階建ての社員寮を建設した。基礎は鉄筋コンクリートだが、建物は燃えにくい木材を使った。鉄筋コンクリートは木造より工期が長く人手を確保できなかったという。
■技能者は東北に
東京・墨田区にある矢島鉄筋工業。入り口すぐの壁のホワイトボードに工事現場名がびっしり書かれている。矢島孝夫社長は「新しい仕事を受注できるのは秋以降」と話す。例年なら冬場は北海道や東北で工事が減り、技能者は首都圏に働きに来る。それが「今年は仙台市など東北地方に取られている」(矢島社長)。人手不足で当面は新規に受注できない鉄筋工事会社は多い。
建設会社は工事面積と工期から必要な技能者数を計算し手配する。作業の遅れを取り戻すため、その後の工程で技能者を当初計画より多く配置しなければならない。その結果、ほかの現場の技能者が不足してしまう。
影響はドミノ倒しのように広がる。鉄筋コンクリートが主流の小学校の校舎や病院は昨年後半から「続々と鉄骨造に切り替わった」(建材メーカーの日鉄住金建材)。工場で組み立てた鉄骨を使う鉄骨造は鉄筋コンクリートに比べ建設単価が割高になるが、現場で鉄筋を組み上げる技能者を雇わずに済み工期も短くなるからだ。
■鉄骨造1割増
昨年10〜12月の鉄骨造の建築着工床面積は前年同期比1割増えた。もともとの需要増に鉄筋コンクリートからあふれ出た受注も重なり、鉄骨加工会社はパンク寸前だ。「年末まで仕事が埋まった業者も珍しくない」(鉄骨加工業者が加盟する全国鉄構工業協会=東京・中央)
第一藤江鉄工建設(水戸市)もフル生産が1年前から続く。サッカー場の半分ほどもある工場で十数人の作業員が忙しく働いている。稲妻のように強烈な溶接光が視界に飛び込む。H形鋼を天井からつるしたクレーンで1本ずつ動かし図面通りに組み立て溶接する。
昨秋は10カ月も先の仕事まで打診された。藤江剛社長は「工場や倉庫など設備投資関連の仕事が戻った」と話す。加工賃は建設現場の作業を含め1トン8万〜10万円。リーマン危機後に比べ5割弱高く、業界で適正とされる水準だ。だがH形鋼の切削加工など、外注費も上がり収益はなかなか戻らない。
鉄骨で建設する予定だった福岡県みやこ町の伊良原小中学校は、1月末に3度目の入札が不調に終わった。「どの業者にも赤字になると言われた」(みやこ町)。建築家の安藤忠雄氏が設計し、総事業費約8億円を投じて町のシンボルにするつもりだったが、予定していた来年4月の開校は延期を余儀なくされそうだ。人手不足に端を発する建設現場の混乱が続けば投資そのものが減る可能性もある。
▼データでみる 現場で鉄筋を組む鉄筋工やコンクリートを流し込むための枠をつくる型枠工、足場を組み立てるとび職などが建設技能者の代表的な職種だ。総務省労働力調査によると建設技能者は2013年(平均)で338万人。直近のピークだった1997年に比べ2割強減った。バブル後の建設不況で建設会社のリストラが進み経験者が離職した。
一方、技能者に払う日給は上向いている。東京都内の鉄筋工の募集日給は現在、経験者が1人1万7千円前後。1年前に比べて1割上昇した。東北の被災地では鉄筋工や型枠工などの日給は震災前に比べ3〜5割上昇している。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1303J_U4A210C1920M00/?dg=1
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