http://www.asyura2.com/14/hasan85/msg/693.html
Tweet |
10−12月期GDP速報値について
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52563032.html
2014年02月17日 在野のアナリスト
雪害が大変なときに、安倍首相が高級料亭で食事をしていた件が話題です。かつてKYで鳴らした方なので、今さらの気もしますが、政治家はパフォーマンスの職業であり、国の雰囲気を体現していないと、バッシングされます。これは国民がひもじい思いをしているときに、贅沢している政治家を叩くのと、ほぼ同じ心境です。その意味で、マイナスの影響が否めません。
ただ、こうしたネット情報が出てくること自体、安倍政権に逆風が吹き始めていると感じます。市場の下落、海外からの批判、そんなものを敏感にうけて、国全体が安倍政権へ懐疑的な目をむけている。そんな一端が、高級料亭の一件にも垣間見られている、といえるのでしょう。
日本の10-12月期GDP速報値が出ました。実質の季節調整値で前期比0.3%増、年率換算で1.0%増となりました。市場予想を大幅に下回り、年率2.6〜2.7%の目標をたてていた政府、日銀も見直しを迫られる、そんな数値です。個人消費は前期比0.5%増、と支えましたが、これには証券優遇税制の廃止に伴う、昨年末の株の駆け込み売りによる証券会社の手数料も含まれており、自動車などには消費税増税前の駆け込みが出ているとはいえ、かなり悪い数字といえます。設備投資の伸びも1.3%増でしたが、これも消費税増税前の駆け込み需要といえるのでしょう。
一方で悪いのは外需です。Jカーブ効果は依然として現れず、輸出は0.4%増に留まり、輸入を差し引くと0.5%減となりました。小泉政権当時、日銀の量的緩和によって円安となり、Jカーブ効果がでたのは、日銀の緩和により新興国のバブルがおきたため、です。今回、それがないのは先に欧米の金融緩和があり、新興国はバブル状態だったこと。つまり今までがピークであり、FRBのテーパリングによりバブルが終息、これから消費が鈍化する傾向である、ということが挙げられます。安倍政権がこれまで間違えてきたのは、小泉政権当時の成功体験を抱えた人物たちが、それをJカーブ効果と誤って認識しているため、です。なので、政権幹部にとってこの結果は意外なのでしょうが、理屈を知れば意外でも何でもありません。むしろ当然ともいえるものです。
問題はこの結果をうけ、1-3月期の期待値も剥落したこと、です。大雪で消費は鈍化、トヨタも部品が間に合わず生産停止、株式も下落し、売買代金も低調。さらに公共工事は入札不調が出ているように、建設業界のパイをオーバーしているところに来て、この大雪で壊れる道、橋、建物なども出てきた。建設業界には嬉しい悲鳴ですが、行政の発注工事が滞る懸念があります。しかしやらなければ、ライフラインの確保もできない場合があり、非常事態ともいえます。
1-3月期までは堅調、とみられていた景気が、ここで腰折れする可能性があるのです。そこで市場には日銀の追加緩和期待がでましたが、FRBのテーパリングペースを上回る緩和策を打ったとしても、下支えにはならないでしょう。金融緩和はどこかでバブルを生みますが、必ずしも資産効果を高める方向に向かうばかりではない。底を抜くよう暴れることさえあります。FRBのテーパリングで生じた新興国不安の流れに、抗しきれるものではありません。
そして10-12月期GDPの鈍化が判明したことで、1月以降の指標に悪いものが目立つことにも整合がつきました。日本は夏頃をピークに、景気は短期的な下落局面に入っていることになるのです。そして、そのタイミングで消費税増税がくる。安倍政権への逆風より、景気への逆風は先行して吹き始めている、とも言えるのです。内閣支持率は、一部の調査では依然として60%越えですが、株式市場が先行して下げている、という状況が今を正確に映しているのかもしれませんね。
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。