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金投資と金相場ニュースBlog 〜黄金の蹉跌〜
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アメリカは自国の経済の失速に目が向かないように、他国の危機を煽ることを繰り返してきました。
最近では、欧州危機がそうです。そうやって、他国の経済の信用を貶めることでドルの信認を守ろうとしてきました。
今年になってからは、新興国危機を煽っています。
ところが、新興国危機はすぐに落ち着いてしまいました。新興国の株価は軒並み持ち直し大幅上昇しています。
新興国危機が収まったことで今度はネタがないときのお決まりのネタの中国のシャドー・バンキング問題を蒸し返しています。日本でもネトウヨや米国カブレの市場関係者が大好きなネタですのでもりあがっています。
ところが、当事者である中国の株式市場は好調で波風ひとつたっていないようです。むしろ、騒いでいる日本やアメリカの株式市場のほうがむしろ怪しいようです。
中国経済のバブルがはじけるというネタは、ここ10年近く、定期的にでてくるネタです。
狼少年系のネタといえますが、市場も食傷気味でそれに慣れてきました。
リスクが誇張されているのが現実でしょう。
FSB基準によって算出された中国のシャドーバンキングのGDP比は10%と比較的小さいようです。これにたいしてアメリカは150%です。
世界のシャドー・バンキングの半分はアメリカとイギリスが占めているといわれていますが、中国のはその50分の1程度であるという試算もあります。
不動産価格からみても、不良債権率はアメリカやイギリスのほうが高いと思われます。
そもそも生産者年齢がピークアウトしておらず、人口も伸び、都市化が半分も終わっていない新興国にマクロの意味で不動産バブルは生じません。
資本主義が始まった頃のイタリアの不動産バブルや20世紀になってからの北欧、日本、イギリス、アメリカなどの不動産バブルをみればわかるように、バブルというのは経済成長を遂げた国で、その成長がピークアウトしてからあとにおこるものです。
シャドーバンキングは、バブルの問題ではなく、中国の金融規制の問題です。むしろバブルがおこらないように管理しているからこそシャドーバンキングが使われているといえます。バブルがおこらないかぎり不良債権が大量に発生することはありません。
理財商品などは規模が小さいので問題はありません。中国の家計のバランスシートは健全です。企業のキャッシュは潤沢です。中央政府の政府債務はアメリカや日本などより全然GDP比ですくないですし、財政も健全です。さらに、中国はアメリカの債権者であり、潤沢な外貨を保有しています。金融危機をねじ伏せるだけの余力があります。
アメリカのサブプライムバブルのように理財商品が連鎖して不良債券になるというのは非現実的です。
中国の1月の貿易統計では、輸出が市場予想の+2.0%を大きく上回る+10.6%増、輸入は市場予想+3.0%を大きく上回る10.0%でした。
数字だけみれば中国経済は絶好調にみえますが、この中国の統計に対する信用度が問題視されています。中国政府は輸出に見せかけた取引を取り締まる措置を講じていますが、そのような取引はまだ続いているとの指摘もあります。
たしかに、問題もあるとおもわれます。
毎年,統計年鑑を見てみると,各地域のGDPの合計は全国よりも10%程度大きくなっているようです。
しかし、広域にまたがるような事業もあるでしょうし、ダブルカウントしている部分はどうしてもでてくると思います。それを単純に足し算せずに、全国規模で計算するときに修正しているともいえます。
統計は7〜8割の正確性があれば十分だと思います。仮に2〜3割盛っていたとしましょう。その分を割引いても中国経済の勢いは相対的にアメリカなどよりは全然強いといえます。一部指標に問題があると、それで中国の経済はすべてダメだという、過度の一般化をする人がネトウヨ商法系の人でよくいますが論理的ではありません。
中国の経済統計は本当に信用できないのか?経済学者が教える“中国の数字”との付き合い方(岡本)
http://kinbricksnow.com/archives/51885685.html
そもそも、ゲーム理論からすると、統計を粉飾するメリットはありません。一時的に経済の強さを装えても、その後、メッキが剥げて信用度が低下するからです。
むしろ、最近では指標の信用度をあげようと悪戦苦闘している中国よりアメリカの景気指標のほうが信用できません。
速報値で都合のいい数字を出してから後から修正を繰り返している疑惑があります。QE3を開始する前は速報値では弱い数字をだしてきましたが、テーパリングを開始するときは強めの数字をだしてきました。これらは後で逆に大きく修正されています。
また、インフレ率、GDPなどの算定の基準を自国に有利になるようにころころ変更しているので基準としての安定性にかけます。
季節調整も怪しいです。労働参加率や質が低下している労働統計にも信用度がありませんし、小売売上や企業の収益もインフレ率の伸びを引けば実質的にほとんど成長していないとみることもできます。
中国の輸出入が好調なのは、新興国経済と先進国経済のデカップリングが進んでいるからだと思われます。
ジム・オニールが指摘するように、世界の貿易の中心は先進国から新興国にシフトが加速しています。中国などの新興国は先進国への輸出に頼らない経済モデルに転換しようとしています。それを支える市場が人口の多い新興国にあります。
ジム・オニール:2013年で一番重要なチャート
http://www.hamacho.net/column/archives/12598
もっとも、先進国でもユーロ圏は別です。ドイツを中心に景気が強さを増してきました。中国の輸出先でもっとも大きなシェアを占めるのはユーロ圏です。最近でも、ユーロが上昇してイタリア債の利回りが大きく低下するなど、アメリカ経済の信用低下が顕著になってきたので欧州にマネーが流れています。
中国は、モノの貿易額でアメリカを抜いて世界一になりました。世界の貿易金融に使われる通貨で、人民元はユーロを抜いて2位になりましたが、ドルを抜く日も近いです。
台湾の経常黒字もほとんどが中国向けの輸出です。中国と台湾が経済的結びつきを強め、ここにきて政治的にも接近しています。同じくインドと中国の結びつきが強くなってきています。経済の結びつきが政治的対立を緩和させています。逆にアメリカとインドの関係が最近悪化しています。インドの次期首相候補筆頭のナレンドラ・モディは、反米親中といわれています。
日本と同じアメリカの属国である韓国ですら、最近ではアメリカを見限り中国に接近を開始しているようです。ジャック・アタリは、日本は中国につくかアメリカにつくか選択を迫られるようになると予言していました。毛利か織田かどっちにつくか迷った黒田官兵衛状態です。この選択は国の命運を左右します。
イデオギー的バイアスがかかって、自国の力を過信して中国の力を低くみることで認知的不協和を解消しようとすると痛い目をみます。
鳩山・小沢体制の民主党のときは中国につくかと思われましたが、そういう政治家はユダヤ金融資本の支配下にあるマスコミを敵に回すことになるので失脚することを戦後の日本は繰り返してきました。
民主のなかでは右寄りの野田体制は民主党をのっとってから、中国と距離を置き、再び米国に接近しはじめました。そして、極右の安倍政権誕生によって日本は米国につくことを最終選択したようです。
もっとも、安倍政権は短命に終わる可能性が高そうですし、そこからさら国を二分する議論がおこると思います。
アジアがインドと中国を中心にまとまり、あとはロシアとユーロが雪解けすればユーラシアのハートランドが世界の経済の中心地になります。
新興国でもブラジルやメキシコなどは立地が悪いので今後の成長は懸念もありますが、ユーラシア圏は共通通貨の導入も予想でき期待できます。トルコ、カザフスタン、イラン、ポーランドなどはまだまだ成長の伸びしろがありそうです。
需要がなく構造的なデフレ圧力を受けている先進国と異なり、新興国は人口動態、都市化、耐久財の普及などの点から勘案してまだまだ強い需要があります。需要が強ければ当然にインフレになります。
金曜発表された中国の消費者物価指数は市場予想の2.3%を上回る2.5%でした。インフレ抑制のためか、中国人民銀行は中心レートをここ3週間で最も大きく引き上げました。
中国が金を買うのはインフレ対策と目減りし続けるドル資産の分散のためです。
中国の物価指数と金価格には強い相関があります。
金曜、上海取引所で非常に強い金需要があったのはこのためだと思います。
アジア時間に金価格が急上昇したため、テクニカルの防衛ラインをやぶりました。そのため、いつもは売られることの多いロンドンタイムになっても投機筋のショーターも買い戻しを迫られたかたちになったと推測します。
続いてNYタイムになると、米経済が弱い指標が続出しました。
そういう流れで金に投機マネーがもどってきているようです。さすがに米経済が回復しリスクオンになって株価にマネーが集まり、債券安になって利回り上昇で金が売られるというロジック的にはまったく説得力のないユダヤ金融のシナリオも色あせてきたようです。
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