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(回答先: 年金の完全理解と大改革(2) 厚生省が使い込むのは当然?! 武田邦彦 投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 2 月 17 日 00:30:00)
武田邦彦氏は相変わらずユニークな発想で面白い。
官僚から聞いた話らしいが、「年金をしまっておいても意味がないから、使ってしまえ」と言っている理由として、
「1)お金を取っておく金庫がない、
2)お金の総額があまりに大きく銀行というわけにもいかない、 」
という二つを最初に取り上げているが、二つとも理由にはなっていない。
武田氏は、より具体的に、「まずは現実的に集めたお金をしまっておく金庫がない。近い将来は150兆円にもなる厚生年金だから、日銀より大きく、市中の銀行に預けても、銀行をその現金をどうすることもできず、貸し出して焦げ付けば、銀行そのものがつぶれてしまう」と説明している。
「現実的に集めたお金をしまっておく金庫がない」という話は、年収が1億円に満たない普通の家庭感覚だとフムフムとつい納得してしまうかもしれないが、現実的には、150兆円という膨大なお金であっても日銀にある政府口座の数字をカウントアップするだけの処理で済むので、大きな金庫は必要ない。
もう一つの「市中の銀行に預けても、銀行をその現金をどうすることもできず、貸し出して焦げ付けば、銀行そのものがつぶれてしまう」という話は、デフレ状況下で銀行が預金の運用難で苦しんでいる今ならそうかもなと思うものでしかない。
「お金の総額があまりに大きく銀行というわけにもいかない」という説明も、積もり積もった年金基金が120兆円という話で、月々の保険料収入は1兆円から5兆円くらいだから、政府が銀行に預けても、誰かに貸し付け=誰かの口座の数字が増加することで処理される。
年金保険料収入が年を追うごとに増大した高度経済成長期の銀行は、資金があればあるだけ信用度の高い貸し付けができる状況で、“預金(資金)不足”に苦しんでいた。
預貸率が100%を超えるオーバーローンが日常化しており、銀行員の第一の任務が預金集めという“預金獲得競争”の時代だったのである。
そう言う時代の銀行なら、毎月1〜2兆円程度の年金保険料が預金として入ってくれば大喜びしたはずである。
現在の日本の銀行預金量は620兆円ほどだが、その金額のなかには、元は年金保険料と言えるものが含まれている。
「年金をしまっておいても意味がないから、使ってしまえ」と言いつつも、実際のところ、集めた年金保険料のほとんどは政府自身が使ってきたわけではない。
安値で売却した所も多い厚生年金施設などが目立っているが、集めた年金保険料のほとんどは、国債・株式・預金など“安全?かつ流動性が高いもの”で運用されている。
資金循環的に言えば、銀行の預金量620兆円のなかには、年金基金で賄われた国債を原資に政府が財政支出したものや政府が運用法の一つとして株式に変えたものが含まれている。
政府の事業や購買活動に対し供給した企業や個人が稼いだお金を預金すれば、元の年金保険料が預金になったと言える。
それどころか、たんに預金するという非効率なかたちではなく、経済を活性化しながら預金まで増やすという合理的手法とも言える。
武田氏は、「年金をしまっておいても意味がないから、使ってしまえ」の第二の理由として「インフレ」を取り上げている。
「3)もし1億円の年金が集まると、それを今年使えば1億円の価値がある、
4)もしそのお金を40年間、持っておくとたとえば10分の1になり1000万円の価値しかなくなる、
5)だから、年金課長が言うように「早く使ってしまったほうが得をする」ということになる。」
これも、なんとなくもっともらしい説明のように聞こえるが、年金保険料ほどの額の運用なら、短期で損失はあっても、長期的にはインフレで目減りしない利回りを達成できるはずだからおかしな説明と言える。
3)の部分をきちんと説明するなら、「1億円の年金が集まっていながら、それを今年使わないまま金庫にしまっておくと、GDPの成長がその分だけ縮小(全体は増大でも)することになるから、使うことに価値がある。経済成長が大きければ年金保険料の収入も増大するので、使っても元がとれる」というものになるだろう。
武田氏は、「いずれにしても、年金課長の言っていることは「腹立たしいが正しい」。だから最初から「積み立て型年金」に反対しなければならなかった」と書いているが、当初はともかく、現在の公的年金制度は積立方式ではなく賦課方式である。
それゆえ、「国民一人一人が年金を収めると、40年後にそれが返ってくる」という話ではなく、「現役の国民一人一人が納めた年金は、かつて年金を納め続けていた退役の国民に支払われる」ものである。
その年の年金保険料をその年の年金として支払う賦課方式であれば、本来、120兆円もの基金は不要である。
一時的な「年金保険料収入<年金支払い額」であれば、政府が一時的に肩代わりすれば済むから、デフレ下で年金保険料を引き上げるくらいなら、先に年金基金を少しずつでも取り崩すべきである。
そうしないのは、保有する国債を市中に売却することで国債市場が乱れたり、株式売却で株式市場が低迷したりする可能性もあるからだが、何より、政府の金融活動資金として100兆円を超える額を手元に置いておきたいという官僚機構の思いが、不要であるはずの年金基金を温存させているのである。
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